さきちゃんたちの夜 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359441

作品紹介・あらすじ

その夜〈さきちゃん〉は、小さな奇跡に守られていた。失踪した友人を捜す早紀(さき)。祖父母秘伝の豆スープを配る咲(さき)。双子の兄を事故で亡くした崎(さき)の部屋に転がり込んだ、10歳の姪さき……。彼女たちに訪れた小さな奇跡が、かけがえのないきらめきを放つ。きつい世の中を、明るく正直に。前を向いて生きようとする女の子たちに贈る、人生の愛おしさに包み込まれる5つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。5編の主人公達の名前がさきちゃん。家族や知人との別れを愛おしみ、そこにスピリチュアルをほのめかす。よしもとさんって、感じでしょうか。それぞれのさきちゃんに繋がりはありません。
    文庫裏に、人生の愛おしさに包み込まれる5編とありました。離別もこんな感じに過ごせたら良いなと思います。

  • いろんな「さきちゃん」の短編集。

    よしもとさんと同じく、「鬼っ子」が私も好き。
    小鬼の置物がたくさん出てきて、ちょっぴりスピリチュアルな作品。雰囲気とか、家族関係のあり方とか、関係は複雑かもしれないけど、書き方がとてもきれいで、スっと心に入ってくる。
    「癒しの豆のスープ」で、無料の豆スープを求めてやってくる人に対する描写は、リアルすぎて辛辣というか、人の醜い部分がきちんと書かれていて、少しゾッとした。

    前を向いて、少しだけ背筋を伸ばして、1日1日、コツコツがんばろう、そんな風に思わせてくれる作品ばかり。よかった。

  • 久しぶりによしもとばなな氏の文章に触れられてよかった

  • 登場するいろんなさきちゃん達みたいに、
    いろんな〇〇ちゃんがいて、私もきっとその1人で、みんなそれぞれ自分の人生を生きているし、
    いろいろあってもとにかく生きていかないといけないのだと感じました。

    どんなに辛くても本気で死にたいと思うことは無いし、落ち込みながらも割とポジティブに生きてる方だけど、それでもやっぱり落ち込んだり、どうしようも無い気持ちになった時にまた読み返そうと思える作品、

    そう思いながら読了した数日後に、人生で1番理解できない不幸な知らせがあり、不思議なタイミングで読み終えていたのだと今では感じる。

    保育園から30歳になる現在までずっと一緒に生きてきた親友が亡くなり、2人だけで共有している思い出が多すぎたので、ずっと血を流しながら生きてしまっている感覚で過ごしていました。
    心に刺さる本や言葉がいくらあったとて、それらは現実を解決したり救ったりしてはくれないなと、正直思いながらも、それでも読んでいてよかったとも思いました。
    吉本ばななさんを好きになったきっかけの、キッチンと同じく。

    正面から向き合うことだけを美化した言葉ばかりではなく、生きるために、自分のために、逃げ道だったり、とりあえず…という考え方は時として大切で、自分や自分の大切な人を救うと思いました。
    素直な表現が良かったです。

    ーー本文からーー

    一個でも楽しいことを増やしておけば、逃げ場を増やしておけば、たいていのことがかわせると思うから。

    全てが面倒くさい。でも、つまりはそれが生きていくってことなんだ、それがわかるといっそうめんどくさい。

    兄の分まで生きるなんて私には決して思えない。
    ただ、面倒だなと思いながら自分の人生をひたすら生きるだけだ。

    面倒の海を意外な方法で乗り越えながら、一見超平凡に、時に大胆に

    ーーー
    私ごと含めての記録。
    先の自分のために。
    ーーー

  • とってもとっても、とってもよかった。 


    ばななさんの文章、表現、言葉の1つ1つは
    どうしてこんなにもスーッと入ってくるんだろう。
    自分の大事にしたい部分、いま向き合っている壁や
    消化しきれない何かが反応するように
    あっという間に包み込まれてしまう。 
    優しさだけじゃなくて、時には厳しい目線もあるからこそ安心できる。


    物事の表と裏、人間の美しさと醜さとか
    そういうものはいつだって隣り合わせで
    これからどうなるかなんてわからないし
    その時に自分がどんな感情を抱くのかもわからない。
    日々いつも思う。人間って、生きるって大変だし面倒なことも多いなぁって。
    そんな世の中に立ち向かうチカラがこの作品には
    たくさん込められていて
    明日からまたがんばろうって、無理することなく自然体で心からそう思えた。


    どの話も好きなんだけど
    「さきちゃんたちの夜」の崎に
    自分を重ねて読んだ。
    わたしも、長年の自分のペースが
    確立されているからそれが乱れようものなら
    動揺したりもする。
    だけど、その乱れには新しい風を運んできてくれる心地よいものだってあることを思い出した。


    日々たまっていく疲れと重み。
    そんな今、この時にこの作品を読めたこと。
    なんだかそれだけで、これからすべてがうまく回り始める予感すらしてくる。
    ばななさんの言葉1つ1つには
    そんな不思議ななにかがきっとある。


  • よしもとばななさん好きになった。
    他人に対しての真の厳しさという考えに出会った。

  • なんか避けてたの。よしもとばななを読むと嫌な気持ちになるなと思って。嫌ってほんとうに嫌じゃなくて、なんていうか苦い気持ちというか。
    全部リアルすぎるんじゃなくて、絶対フィクションだってわかるようなところがいい。リアルすぎると愛し愛されて生きるのさって感じに押しつぶされる。
    全体的に好きだったけど「さきちゃんたちの夜」が好き。

  • 人生で何度も読み返したい

  • 『癒しの豆スープ』が特に好きでした。
    心情描写の繊細さに驚く。吉本ばななは心の輪郭を知っているのか、と思うくらい。
    優しさの中に隠された鋭さにハッとさせられる一冊。

  • 天使とさきちゃんたちの夜がすき。

    沙季さんは僕の天使でした。
    なんて、言っちゃう鈴木さんかわいすぎる。
    スキップも。

    エビピラフ食べたいな。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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