- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101362816
作品紹介・あらすじ
1995年3月、日本中を震撼した国松孝次警察庁長官狙撃事件。特別捜査本部を主導する警視庁公安部がオウム犯行説に固執する一方、刑事部は中村泰なる老スナイパーから詳細な自供を得ていた。だが、特捜本部は中村逮捕に踏み切らず、事件は時効を迎えてしまう。警察内部の出世とメンツをかけた暗闘や、中村の詳細な証言内容など極秘捜査の深層を抉るノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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この男のパートナーが逮捕直前に自決するのは、「小説より奇なり」を地でいく。名著
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上司に勧められて読みました。
とにかく面白くて、読む手が止まらなかった。
自分はこの時まだまだ幼くて、正直、この話の舞台すら知りません。しかし、歴史として日本で大変なことがあったのだと言うことは認識しています。
真実が全てこの物語に詰め込まれているのではないかと思うくらいよく調べられており、興味深い内容ばかりでした。 -
めちゃくちゃ面白い!
日本の警察が黒いため白が黒になり白が黒になるという現実に打ちのめされる。 -
2020年12月放送『警察庁長官狙撃事件の真相~真犯人の告白…東大中退の老スナイパーに迫る』
https://youtu.be/PzcTjGcZr-Y
映像にもなっていますが詳しく知りたいなら是非読むべき本。
組織の論理や派閥の力、面子によって事実が歪められてしまう。
同じ時代には警察の腐敗の象徴とも言える稲葉事件も起きている。
オウム真理教と関連付けようとする公安内部は何処を向いていたのか?
アジトに残されてい事件を綴った自作の詩の存在や偽装パスポートなど偽装品の数々、実弟が語った縁戚関係(ここには書けない)。
日本国内では非常に特殊な、過去の犯罪では使用例の無い拳銃と殺傷能力の高い銃弾。
入念な取材を基に書かれている。思想犯の怖さを感じた。 -
2022.1.14
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限りなく真実に近いのか?NHKスペシャルでも視聴したが、緊張感を持って読むことができた。
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面白すぎて夢中で読みました。
時効を向えてしまった「国松警察庁長官狙撃事件」にいた、有力容疑者についての本です。
その男「中村泰」の人生の凄まじさに、目を丸くしました。大量の銃器を日本に持ち込んで保管していた事実など、
驚きの事実。
ここまで明白な証拠が揃いながら、自分たちのメンツのために警察があえて立件しなかったのが事実であるのなら、警察は恥を知るべきだと思います。
読書好きのすべての人に読んでもらいたい、面白すぎる本でした。 -
中盤にかけて、ミステリー小説を読むようなおもしろさがあった。映画にしたらおもしろいかも。何が真実かなんて一市民にわかるはずもないが、取材に相当な労力をかけていそうだし、その結果として示されていることに説得力もある。この中村という人物が実行犯、もしくは実行グループの一人である可能性は相当高いと思った。ただ、あの当時、この犯行をオウムと関連付けてしまうのは仕方ないことだと思う。思い込みから逃れることは本当に難しい。
それにしても、警察にオウムを捜査させるために、何でこんなことしなければならないのか?その思考回路が独特。陰謀・謀略好きも度を越すと相当困った人になる。実行力を伴ってしまうと尚更。 -
1995年に起こった地下鉄サリン事件。その直後、当時警察庁長官であった圀松氏が自宅マンションから登庁途中に狙撃される事件が発生しました。犯人はオウム真理教信者であった警察官という見立ての中で、犯人は特定できず時効を迎えました。
実は、この事件には自らの犯行である旨を供述している中村という人物が存在し、警察もその裏付け捜査を行っていたという事実がありました。その人物に関しては犯行動機、狙撃に使用した特殊な銃や銃弾の入手経路に至るまでの裏付け捜査が達成されていながら、真犯人として送検できなかったという状況に陥っていたのです。その原因は、警察内部の権力闘争とも言える公安部と刑事部との対立であり、「犯人はオウム真理教信者」と信じて疑わず、ほかの可能性を全否定して捜査を指揮した警察幹部による操作のミスリードであったという事実を克明に描いています。
真犯人と思しき人物は、東大中退ながら自ら狙撃術を獲得するために渡米、組織によるバックアップもない状況で各種銃砲類を密輸するなど実行力・計画力に富んだ人物でした。この人物の供述を交えつつ、その動機や犯行の真相に迫ります。「中村の長官狙撃事件における容疑性が極めて高く、真犯人と確信し、刑事訴追できるだけの材料がそろっている事実。それを、特捜本部を主導する警視庁公安部が最後の最後まで握りつぶし、封殺しようとする理由。そして、東大中退の老スナイパーは何故、警察庁長官の暗殺を企てたのか、その深淵なる動機。これらを読者にお伝えしようという本書執筆の意図は、ある程度達成されたものと自負している。」この一文だけで本書の内容の深さが伝わって来ます。巻末解説の立花隆氏が「これほど面白い本に、ここ数年出会ったことがない」と書かれているのも決して大げさではありません。 -
兎に角、抜群に面白い。
国松警察庁長官狙撃事件について、この本に書かれていることは真実の一端ではあるのだろうが、全貌ではない(そりゃそうだ、未解決事件なんだし)。
中村泰という男が実行に至った経緯、動機も描かれているのではあるが、彼もまた何者かに利用されていると読むのは穿ちすぎだろうか。
それにしても保身とか面子とかそういった体裁を気にすることによって、組織というのはダメになっていくものだな。