リセット (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373287

感想・レビュー・書評

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  • 「時と人」シリーズの第三弾。
    シリーズと言っても、テーマが共通しているというだけで、続き物というわけではない、らしい。
    実は借りて読んだのでよく知らないし、一作目と二作目も読んでいない。

    『リセット』と聞くと「やり直し」を想像するが、そういう意味合いのタイトルではないことは最後まで読めば分かる。
    淡々と描いていく感じの文章で、話も時間軸上をあちこち飛ぶので、途中までは何が起こっているのか読み取りづらい。
    が、物語の最後は、色々な意味で非常にきれい。

  • そう来たか…。と最後のあたりで驚愕。この展開は読めなかったです。なんてスケールが大きい愛なんだろう。

    自分の大事な人とも、このようなつながりが実はあるのかもしれないなぁ。
    北村作品に出てくる品の良い女性が好きです。あこがれる。

    そして中原淳一美術館に行きたくなった。河口湖は閉館してしまったらしいけど、巡回展示はしているようなので一度訪ねてみたいと思います。

  • 最初の戦争時代の章は、正直言って読んでいてもあまり面白いと思えませんでした。女性の語りがただ坦々と続くだけで特に何かが起こるわけでもありません。最後までこんな調子で終わるのだったら、期待はずれな本だったなぁと思ったのでしょうが、物語が進みだすのは2章になってからでした。
    2章と3章でやっとリセットの意味が分かりました。
    こんな風に生まれ変わって、記憶と魂がお互い惹かれあったら・・・。
    なんとも素敵な物語でした。

  • 良かった、の一言です。
    「スキップ」も「ターン」も良かったのですが、この「リセット」が一番良かった気がします。
    読み終わってすぐに「もう一度読みたい」と思い、立て続けに2度読んでしまいました。
    この「時と人」シリーズ(?)、3作ともまったく違った物語なのに読後感がよく似ています。(切ないような、懐かしいような、すっきりしたような。うまく言えませんがとにかく心地よい感じです)
    文庫の巻末に私の好きな宮部みゆきさんとの対談が掲載されていたのも嬉しかったですね。

  • 時と人シリーズ3部作。
    スキップ、ターンとは一味違うお話。

    読み終えた今、はじめから3分の2くらいの話が必要だったんだとわかるけど、読んでる間はあまり興味がわかなくてつらかった・・・笑
    5回目くらいにしてやっと最後まで読み終えた。

    前2作よりも、ストレートなロマンチックな話。
    じわじわくる幸せを味わいたい方は、辛抱して最後まで読んでほしい。

    戦時中の子供たちの心境はこういうものだったのか、と思った。

  • リセットと言うと、全部忘れてなくして、もう一度最初からだと思っていたけど、ここで言うリセットは、生だけがリセットで、魂と記憶はつながってた。
    記憶がリセットされないほどの強い想い。もう一度、その人に会いたいと言う強い願い。
    ただ、一度二度会っただけ、ちょっと言葉を交わしただけで、そこまでの思いになるのかなぁ?とか思ったり。淡い恋心・・・だったのが、戦争のせいで不条理に引き裂かれ、だからこその募る思いなのだろうけど、も。
    といいながらも、文章の、情景のさわやかな感じつか、清涼さでもって、そこまでの思いがあるって言うのは、見て取れるんだけど。少女趣味的な意味合いで。
    乙女心には響きました。
    あーでも、3部のお父さんの吹き込みはちょっともにゃったなぁ・・・。

  • 時と人のシリーズ。

    時と、人。
    不思議に結びあわされる。
    時空をこえて、あなたと出会う…

    はっきりいって、途中はつまらん。
    展開が、じれったい。

    でも、でも、
    言葉の美しさにうっとり。
    やっぱり、いい。
    じっくりゆっくり読むと、
    世界にはいりこんじゃう。

    たまにはゆっくり読書もいいじゃない。

    おすすめです。

  • この本の何が良かったといって、昭和初期の女学生の描写が何より良かった。今とは違う、言葉とか潔癖さとか、あの頃の雰囲気、文化。

  • 北村薫の「時と人シリーズ」最終巻。戦時中の神戸が最初の舞台。丁度終戦記念日に読んでいたので、何だか不思議な偶然を感じた。シリーズの中では一番気に入った。前作までの「スキップ」「ターン」の主人公の女性は過酷な運命を背負う。それに対して、今回の「リセット」は、ロマンチックで温かい。
    物語は、時代を超えてもなお、生まれ変わって再び出会う運命の二人の話。
    一行でまとめちゃったけど、話の進行の仕方がユニーク。
    まずは、戦争の太平洋戦争の末期を生き抜いた1人の女子の目線で描かれる。
    そして次の章では、ある父親風の男性が、自分の子供たちに自らの少年時代の思い出話を語るように進んでいく。自分の、初恋の人の思い出話を。
    非科学的なことはあまり信じてないけど、「生まれ変わり」は何だか信じている。そう考えた方が長い人生ずっと楽しい気がするし。

  • スキップ、ターンに続く3部作ということで、続けて読破。

    戦争や鉄道事故など、重たいテーマが扱われているが、日常を描いている前2作よりも読みやすい。

    前作では、当たり前の日常に大しての苦悩や、時の流れに対する諦めといったものが感じられた。一方で本作では時間の流れや、「死」さえも超越して人間が結ばれていき、読後感も清々しい。そういった意味でも、三部作の最後に位置づけられているのも納得。

    三部作を通して、恋愛、愛が描かれつつも「性」についてはほとんど触れられない。描く必要が無い、と言えばそれまでだが、どことなくあるべきはずのものが欠けているような印象を受けた。日常や人間関係についての細かな心の動きが書かれているだけに、そう感じたのかも知れない。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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