二十歳のころ 1 1937-1958: 立花ゼミ調べて書く共同製作 (新潮文庫 た 59-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (633ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101387222

作品紹介・あらすじ

「二十歳のころに何をすべきなんだろう」「あの人は、どう過ごしたんだろう」-若き日に誰もが抱く不安、期待、焦燥。二十歳を生きる東大・立花ゼミ生が各界で活躍する諸氏に直撃取材!第二次世界大戦勃発、原爆投下、日本国憲法発布、公害問題、東京タワー竣工…帝国主義から民主主義へ、日本が劇的な変貌を遂げた1937〜1958年に「二十歳のころ」を生きた有名無名31の軌跡。

感想・レビュー・書評

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  •  著名人から一般人まで。「20歳のころ」をテーマに、東大生が興味を持った大人にインタビューをし、文章にまとめた作品集。よくよく考えれば20という数字に、特別な意味はないのだが、多くの人が何かしらの意味づけをしている。
     20歳前後で人生に悩んだ経験を話すインタビューがこれだけ並べられると、ろくに世の中も知らないまま部屋にこもって、絶望したふりをする自分が恥ずかしくなる。文章として紹介される価値すらないから黙って動こう。

  • 2021/4/30に亡くなられた「知の巨人」立花隆氏が東京大学の教養学部で主催していた、「調べて書く」ゼミナールの成果を書籍化したもの。

    所蔵情報:
    品川図書館 159.7/Ta13/1
    ※2巻も所蔵しています→品川図書館 159.7/Ta13/2

  • 【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000966657

  •  そのとき、松本零士が「自分があんなに貧乏しても、漫画家になれたのは、日本は文房具が安かったからだ」って答えていたことが印象に残っています。
     

  • 「二十歳のころ」に、模範解答はありません。その人ならではの「二十歳のころ」があります。この本を通じて、いろんな二十歳に出会って下さい

    大分大学 経済学部 (分野 貿易政策)
    教員 柴田 茂紀

  • すごく内容がでこぼこしていて、オーラルヒストリーらしさが出ている。

    その理由のひとつは、各人の「20歳体験」のでこぼこさ。
    例えば第二次大戦の体験でも、ある人は「あのころは全国民が戦争に勝つと信じてた。それを『実は戦時中にも反戦思想を持った人は多かった』みたいに言ったのは戦後のメディアや教育現場においてで、そういう言説に踊らされちゃだめだ』という人がいる一方で、「実際に当時から『はやく戦争に負けないかな』って思ってる人は多かったよ」と自身の体験から語る人もいる。
    ではどちらかが間違っているのかというと、そんなことはなくて、どちらも自身の経験に根差した真実なんだよね。

    もう一つの理由は、インタビュワーの能力からくるもの。
    読むと分かる通り、その記事の形態はひとつひとつ微妙に異なっている。おそらくインタビューの時間やかたちも異なっていたんだろう。記事の質に差があることも否めない。
    でもそれも含めておもしろい。そこから「インタビュー」という場が対象として見えてくるから。
    つまり話者の一方的な20歳のころの話だけでなく、それと対峙する20歳くらいの学生たちの存在が隠れきれずに見切れていて、その「20歳のころ」同士がクロスする点にひとつの記事が立ち上がっている。

    20歳なんてでこぼこしてなんぼなんだろうな。もちろんここでいった「でこぼこ」はすごくいいことだと思っている。

  • 非常に面白い
    二十歳前後の若者は読むべき
    個人的には大学入学後の一冊目

  • 青春とは、来るべき船出へ向けての準備期間である
    漫画家、詩人、小説家、被爆者・・・。多士済々
    31名に東大生が突撃取材。
    さまざまな「あの時代」

    誰もが不安と希望、焦燥と葛藤を抱き、だからこそ自分の生き方を発見する時期。
    それが二十歳のころだ。
    第二次世界大戦、原爆、憲法発布など、激動の時代に青春期を迎えた人々は何を考え、どう生きたのか。
    1937年から1958年に二十歳を過ごした31人に東大・立花ゼミ生が突撃インタビュー。(アマゾンより)


    印象に残った人物、言葉

    川上哲治
    「まあこれから人生を決めていくんだから、自分の人生を、ちゃんと、俺は何を持って生きていくんだっていうのを早い時期に決めたらそれを貫いていくようにしたらいいんじゃないかな。・・・ある目標を立てたらそれを貫く。中途半端にいろいろやっていると、生きてて良かった、と言う感じがなかなか出てこないんじゃないかな」

    水木しげる
    「好きなことをするには思い切りが要ります。最初はやりたい内容の浅い部分しか見えてないです。深いところまで行くにはやってみないとわからん」
    「本当の人生は、60歳からですよ。」

    茨木のり子
    「ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな

    みずから水やりを怠っておいて

    気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな

    しなやかさを失ったのはどちらなのか

    苛立つのを 近親のせいにはするな

    なにもかも下手だったのはわたくし

    初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな

    そもそもが ひよわな志にすぎなかった

    駄目なことの一切を 時代のせいにはするな

    わずかに光る尊厳の放棄

    自分の感受性くらい

    自分で守れ ばかものよ」

    森毅
    「受験戦争なんて何をぬかしとんねん、僕なんかの時代やとぐずぐずすると兵隊さんに取りに行かれて、人殺ししなきゃならなかった。戦後なんかはうっかりすると飢え死にする。今の日本やったら大体何したって大丈夫やろう。」

    加藤恭子
    「私は子供を育てるときに、たとえば大学受験のときでも、勉強しろとも、大学行けとも言わない。でもただ、『きけわだつみのこえ』だけ渡した。これを読んだあとでもなおかつ大学へ行きたくないのなら、それ一向にかまわないと。」


    板倉聖宣
    「海岸線に立って船が向こうから来るのを見ていると、マストの先から段々見えてくるのは、地球が丸い証拠だと言う有名な話。」
    板倉は、「もしそれが本当でも、海には波があるじゃないか」と考えてしまう。そのあとアリストテレスの山のてっぺんが先に見え、そのあとふもとが見えると言う話を聞いて、しっくりきたという。

    妹尾河童
    人を惹きつけるためには、感性を磨いておくこと。
    感性を磨くとは、絵を見ること、音楽を聴くこと、本を読むこと、疑問を持つものはすぐに調べること。自分が興味を持つものに常に応えていく生き方。

    筑紫哲也
    「理屈で災害救助だとか、社会保障だとか考えるのと実際は相当違っていて、個々の問題にぶつかると、論理的にスッスッと切って処理できない問題の方がはるかに大きいということを、土木作業をやりながら感じたわけです」

    山藤章二
    「愚かな者というのは、生涯常に不満を持っているものことをいう。賢者とは相対的な豊かさではなく、自分の満足を早くみつけたものを指す。」

    「君たちへのメッセージとしては『勝手にしろ』『お気の毒に』『迷え』だな」


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    この世代に共有されているもの、戦争である。
    本書を通して、直接的な形ではなく、それぞれの経験や人生の形に組み込まれた戦争を感じることが出来た。
    戦時中、戦後の過酷な生活環境を生き抜いた彼らは、タフでハングリーで、未来に希望を持っていた。
    現代に特有の問題も多いが、彼らの時代から良い意味で刺激を受け、未来に繋げていく、そんな気持ちにさせてくれる本だった。

  • 戦前を生きた人の20歳はやはりみな激動だとおもった。
    個人的にもっとも斬新な驚きがあったのは、曾野綾子さん。冷静で全体の事は目もくれずにひたすら自分と自分の身の回りに目を向けて、自分の能力とそれが実現できる仕事を見抜き、速い段階で小説家になることにしたのがとても印象的だった。貴賤なんていうものがほんとうにあるのかどうかはともかく彼女の見た世間には含まれていたのだということに驚き、いまの小説家の地位が高すぎるのではないかと疑問に思った。
    大江健三郎さんは大筋はなにをいっているかわからないけれど、障害児を育てることになるくだりはどういう責任を負ってその道を選んだのか、理由はかいてあるけれど何の事をいっているかわからない。これはインタビュアーが立花隆であるからこねくりまわって意味がわからなくなっているのではないかと思った。
    1巻はおおよそ戦争にまきこまれ、熱狂して喪失したひとと、それを外側からみて平静を装っている人の二種類に別れるかなと思った。どんなひとにも語るべき物語があって、それを見つけ出せている東大生とそうでない東大生がいたのかなぁとなんとなくわかった。
    2巻のほうがたのしみ。

  • 人の人生をどう聞いていくかということのヒントになる本。

    迷った時に読みたい。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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