盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388823

作品紹介・あらすじ

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

感想・レビュー・書評

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  • 辻村さんの作品を読んでいると、いつも完全に引き込まれて虜になる。
    作品の中で、主人公が、盲目的に恋をするように、夢中になる。
    いつだって彼女の作品には、登場人物の命が宿っている。

    解説を書かれた山本文緒さんの言葉が、的確にこの作品を表現している。
    「客観性を失って自分の問題しか見えなくなっているふたりの一人称を並べ、家族や仕事などの要素を最小限に留めて、彼女たちの狭い視界をきめ細かく追った。それによって、混乱の渦はより濃く、凄みのある素晴らしい作品になった」

    「恋」の章ではタカラジェンヌの母を持ち、とびぬけた美人の蘭花が、とびぬけた美男の星近と恋に溺れる様子が描かれ、
    「友情」の章では蘭花の友人、留利絵の視点で蘭花と留利絵の友情関係が描かれる。

    初めての恋、美男だけどダメな男星近とずぶずぶと溺れていく蘭花は見ていて痛々しくもある。
    親しい友人は言う「別れなよ」と。
    傷つく蘭花を見ていられない友人からしたら、適切な助言である。
    でも、蘭花は。それでも彼を好きなのである。例え彼がクズだったとしても、彼を好きなのである。
    好きという感情は、人間の心と、考える頭脳を、奪う。

    留利絵も、蘭花と星近が別れた方がいいと思っている友人の一人だ。
    ただ、留利絵の友情は、他の蘭花の友人のものとは異なる。
    もっと熱烈で強烈だ。他のどの友人よりわたしを選んでほしい、ここまで蘭花のために自分を犠牲にしているのだからもっとわたしに感謝をすべき。
    それは一方的な慕情だ。
    だからそこに、相手からの見返りを求めてはいけない。
    そんなの分かってる、それでも求めてしまう。
    友情とは平等に存在するものだ。それが、相手から選んでほしい、感謝されたいと、そこに見えない優劣が生じたとたん、その慕情は暴走する。

    わたしにもいつか、そんな風に思う友人はいた。
    でも、そんな関係は自分が都合よく頼られているとわかると、とてつもなく疲弊する。
    いつも自分だけが相手に合わせていて、なぜかいつもドタキャンされ、それを許している。
    それを許さずに彼女と関わらなければいいのに。それでもその関係性を捨てられないのは。
    ずっと人並みに扱われることがなかった自分を、人並みに扱ってくれたから。
    もうこれ以上、自分が魅力的な友人に恵まれることはないと思い込んでいるから。
    縋ってしまう、依存してしまう、期待してしまう。

    「恋の前には、友人に失礼なことをしてもいいのか、思いやりを欠いてもいいのか、恋ならばすべてが許されるのか」

    何より残酷なのは、恋と友情を天秤にかけた時、恋の方が、ガクンと下に、傾くことだ。
    気付かないうちに、人は恋人を優先する。
    つまり、自分自身を優先させる。
    だから、恋は友情には勝てない。
    結局、また友人に傷つけられておしまい。

    今はもう、そこまで強烈な思いをもって関わる友人はいないけれど。
    それが、恋なら。
    今自分が抱えている慕情が、いつか暴走してしまうのでは。
    いくら気をつけていても、その暴走に気付かなくなるほど強烈な愛情を孕んでいると、盲目になる。
    他人事ではない、そんな不安に駆られる瞬間がいくつかあった。

  • 一瀬蘭花は大学のオケで知り合った指揮者の茂実星近と付き合い出します。
    蘭花は元タカラジェンヌの娘で容姿に恵まれ、友人も多く茂実に見初められあっという間に恋に落ちたのです。

    しかし茂実には奈々子さんという先輩指揮者の40代の妻とずっと昔から関係していたことを知らされ二人が別れるつもりがないことを知ります。

    そして先輩指揮者の室井に奈々子との関係がバレて茂実は業界から干されてしまいます。

    蘭花は周りの親友の美波や、一緒に暮らすとても地味な留利絵からも茂実と別れるようにさんざん忠告されますが、蘭花にはどうしても茂実とは別れられない理由があったのです。

    それを知った留利絵は以前から仲のよくなかった美波から蘭花の親友の座を奪うためにとある行動をとります。

    茂実が留利絵に「君さ、誰にも愛されたことがないんでしょ」と言われる場面は残酷でした。

    文庫293ページにタイトにまとまっていてとても面白かったです。

    これは衝撃作です。

    • まことさん
      naoちゃん。おはようございます♪

      辻村さんの宗教団体の話は『琥珀の夏』ですね!
      あれは私は凄く好きで確か一昨年の私の三冊のブックリ...
      naoちゃん。おはようございます♪

      辻村さんの宗教団体の話は『琥珀の夏』ですね!
      あれは私は凄く好きで確か一昨年の私の三冊のブックリストに入れました。

      『黄色い家』読まれてるのですか?
      あれは話題になっているみたいですがちょっと暗い感じがしてしまって、私は『琥珀の夏』の方が断然好きだったなあ。
      私は図書館で借りたけど辻村さんの『闇祓』も面白かったですよ!
      2023/03/14
    • naonaonao16gさん
      まことさん

      あ、そうですそうです、『琥珀の夏』!

      今未映子さんの『黄色い家』読んでます!こういう暗さ、結構好きなんですよね~
      『闇祓』も...
      まことさん

      あ、そうですそうです、『琥珀の夏』!

      今未映子さんの『黄色い家』読んでます!こういう暗さ、結構好きなんですよね~
      『闇祓』も結構暗そうな感じしますけど、こちらはまことさん、面白かったんですね!!

      『闇祓』も文庫待ちです!
      文庫待ち溜まりすぎて、文庫出た頃には興味が別の作品にいっていることばかりです笑
      2023/03/14
    • まことさん
      naoちゃん♪

      私は『黄色い家は』作品としては星5だけど私の好みとしてはちょっと違ったかな。
      『闇祓』はホラーだったと思います。あれ...
      naoちゃん♪

      私は『黄色い家は』作品としては星5だけど私の好みとしてはちょっと違ったかな。
      『闇祓』はホラーだったと思います。あれは面白かったです。
      2023/03/15
  • ギョえ~Σ(  Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
    この本はいつから積読本だったかも忘れた頃に見つけたので読んでみた、数時間で最後まで読了。

    恋愛と友情が同じ時間軸で語られていく2部構成!?盲目的とは?がピッタリ感じらる。
    まじ、ぎょえー、、、、です。

    恋愛の方の話は、まあ、わからなくもないけども、、冷めることないのか。もしや私がいないとこの人ダメになっちゃう…よく聞くケースなのか、、
    てか、これこそ傲慢なのでは?とか、色んな感情を引き出す辻村さんは流石ですね。

    友情の方の話は、こわい。。女同士って怖いわ~
    なので私は基本的に女子会というものが苦手です。美味しい~かわいい~と言う女子会めんどくさいから昔から行かない派。笑
    男子のグループに混じり野球やサッカーの話しながら飲む方が楽しい!
    終始気持ち悪いというか、めんどくせーと思って読んでたけど、途中からイライラして最後はもう恐いわ:(´ºωº`):の感情です。

    辻村さんがすごい。なんでこんなにも人間の感情を描く、引き出すのがうまいのか。。

    1番無理なのは、(ここから下は登場人物の悪口みたいな、個人の感想なので読んだ人だけ)












    菜々子さん。まじで気持ち悪い。
    恐ろしい。。。バレた後のこと、もっと読みたかった!!こゆひとほんと嫌い。(>_<。)

  • 久しぶりの辻村深月さん。
    盲目的な恋をする蘭花と、その蘭花に盲目的な友情を感じる留利絵のニ篇構成です。
    個人的には、辻村深月!!を感じたのは留利絵篇の方です。美しい「親友」蘭花に病的とも言えるほど執着している留利絵の心情がダークに綴られていました。

    ー病的とも言えるほど執着
    これは留利絵が女で、かつ彼女の執着は女友達に対しては重すぎるからこその表現です。異性に執着するのは「恋」と呼ばれるのに、留利絵の「友情」にそこまでは許されない。

    蘭花篇には留利絵は数多くいる友人の一人としてのみ登場します。留利絵にとっての蘭花と蘭花にとっての留利絵は対等ではありません。

    ハッピーエンドに繋がったかと思いきや、二人の間のギャップは最後まで埋まりません。救いがない話です

  • 女のドロリとした雰囲気だすのうまいなー。
    勝手に短編小説だと思いこんで読み始め、1話が長いなぁと思いながら。
    あ、長編のたぐいだったか…と思いました(笑)

    美月?さんはそんなに悪く言われるような人には思えなかったけど…
    恋愛と友情。
    似ているようで全く違う2つ。
    確かに順調にいくまでは恋愛を重視する人が多いのかもしれないな。
    友達としては淋しいけどね。
    自分の〇〇してあげたのに!ていう気持ちは相手に押し付けるものでは無いと思う。
    間違ってはいなかったけど、ちょっと重いし怖い。
    オチはなんとなく予想通り。

  • まさに盲目的な恋と盲目的な友情。
    恋愛への執着は経験があるが、友情への執着は経験がなかったので、友情パートはいろいろと衝撃かつ考えさせられた。
    友達の友達にマウントとるなんて学生までで終わってほしい(^_^;)と、完全に美波タイプの自分なんかは思ってしまうが、蘭花パートも留利絵パートも共感とは違う新鮮な気持ちで読めた。

    茂美、完全アウトな最低男だが、「誰にもきちんと執着されたことがないから、友達のことをまるで自分のことみたいに躍起になるんだよ。」は真理だと思った。でも留利絵の言った、「好きって気持ちは何もかもより一番偉いの?それは蘭花ちゃん自身の快楽と欲だよ。それが周りを苦しめてるんだよ。わかるよね?」って台詞は頭に残る。
    経験することが違いすぎると価値観が似ることは難しい。価値観が違う友情も楽しいがここまでくると痛々しかった。

    辻村深月さん、外さないな〜。

  • ヒグチユウコさんのカバー装画に惹かれて購入しました。
    珍しく恋愛物でも読もう、と読み始めました。
    一気読みです、あっという間に睡眠時間は削られた。
    終わってみれば、完全なるイヤミスっ‼︎
    今回はブラック辻村さんだったのか、と。

    一人の男との恋愛に溺れる主人公蘭花と、蘭花に執拗に執着する女友達の留利絵。
    その二人の目線からのお話。
    『盲目的な恋』は、そんな時があってもいいなって思えるけど、『盲目的な友情』は怖い…
    度が過ぎてしまうと、それは狂気そのもの。
    留利絵の蘭花に対する独占欲や執着心が、もはや身勝手…
    でも本人には、そんなつもりは少しもないし感謝されるべきだと思っている。
    同じ出来事を各々の目線で語った時に、二人の感覚のズレや温度差がはっきりと分かる、何が余計なお世話なのかも。
    ラストには、ゾワッとする結末が待っています。

    男女の恋愛のやりとりや、女友達の微妙な会話や雰囲気など、さすがの辻村さんです。
    わかるわかる〜、いるいる〜、です。
    イヤミス苦手でなければ、おすすめです。

    • あゆみりんさん
      ほん3さん、イヤミスでした。
      自覚の無い盲目的な友情、怖いです。
      辻村さんの文章は、こう自然にザワザワさせてくるんですよね_:(´ཀ`」 ∠...
      ほん3さん、イヤミスでした。
      自覚の無い盲目的な友情、怖いです。
      辻村さんの文章は、こう自然にザワザワさせてくるんですよね_:(´ཀ`」 ∠):
      2022/06/22
  • 一気読み必須です。
    読んでて感じたのが、辻村さんっぽくないなと
    感じたことです。まったく無いわけじゃないですが、どこか洗練されているというか、上手いなと感じました。「恋は盲目」とは、よく言われますが、
    「盲目な友情」とは、どういうことなのか、ぜひ
    読んでみてほしいです。

  • タイトル通りの「盲目的な恋と友情」についての話で、ドロドロした感じにとてもゾクゾクする作品でした。
    本作は2人のヒロイン、それぞれの視点から2編が描かれる作品で、それぞれ恋と友情に溺れていく様子が描かれています。

    このお話を読んで、最近結婚した友達が言ってたことをふと思い出しました。その友達曰く、「結局、自分の芯がないと恋愛や結婚は上手くいかない。自律した大人同士が交わるのが大人の恋愛。自分の好きなことを優先して、相手が嫌がらずについてきてくれるのがベスト。それが相性。」

    まぁその友達のバックグラウンドも知ってるので、こうした達観した意見が出るのも、色々な恋愛経験をしてきたおかげなのだろうとは思います。

  • 表紙と口絵のヒグチユウコさんのイラストに惹かれ、図書館から借りてきました。
    内容についての予備知識がないまま、恋愛ものとして読み始めました。
    大学の管弦楽団に所属していたバイオリニスト一瀬蘭花と、楽団を指導するプロの指揮者の茂実星近の恋は、盲目的です。
    蘭花はこの恋に溺れ、傷つきます。
    恋というより「快楽」と「欲」だと指摘されても、終わらせようとはしません。
    麻薬のようだと思いました。
    蘭花は思います。
    なぜ、みんなは茂実の美しさに気づかないのか。
    なぜ、凡庸で、美しくなく、特別でもない相手で満足できるのかと。
    読みながら、蘭花の言い分には呆れました。
    恋愛観が一つに固定されていて、視野が狭くなっています。
    ただ、呆れる一方で、わたしの周りには、茂実のような危険の香りのする男はいないなぁ、もしいたとしても、わたしは選ばれないだろうな、選ばれることがあったとしたら詐欺だろうな…と自虐的な気持ちにもなってしまいました。
    ところが、途中から、この話はサスペンスだと気づき、そこからは面白く読めました。
    辻村深月さんの小説は「かがみの孤城」だけは読みましたが、構成が巧みで感動も大きかったです。
    「盲目的な恋と友情」も、テイストは違うものの「恋」の章と「友情」の章の二部構成になっていて、構成がよく練られています。
    「恋」の視点で始まった物語を、後から「友情」の視点で解き明かしていくというミステリーでした。
    選ばれた者が見た地獄と、選ばれることがなかった者が見た負の感情の沼が交錯して生まれるズレ。
    そのズレが導く結末にハラハラしながら物語に入り込みすぎて、一瞬、自分が読んでいる場所が病院の待合室であることを忘れそうでした。

  • 『どうして、いつの日も、友情は恋愛より軽いものだというふうに扱われるのだろうか』留利絵の心情を現したこの表現がこの本の全てだと思いました。今までこんな風にこの両者を比較する、比較して考えたことがなかったので、なかなか感想の言葉さえ上手く浮かばないですが、読み終わった後、確かにどうしてだろうと考えこんでしまいました。

    「盲目的な恋と友情」書名そのままの作品だと思いました。
    最初の<恋>で、『気高く他人を見下す』茂実が壊れていく描写。辻村さんって男性が壊れていく描写が本当に上手いです。ただ、『気高く他人を見下す』ということで指揮者が登場というのは、設定として上手いなあと思う一方で、自然とそう感じてしまう自分の卑屈さも感じてしまってなんだか微妙ではあります。いずれにしても、これでもかという位にものすごく<盲目的な恋>のお話でした。当事者になったらと思うと、とても怖い展開。ただ、次章に比べると明暗がハッキリしていた分まだ救いがありました。

    一方で、次の<友情>の薄暗い怖さ、絶望感は格別です。最初から最後まで光の当たらない日陰の世界。そこで蠢く<盲目的な友情>の沈鬱さ、もどかしさ、凄惨さ。この世界はあまりワイドショー的ではないけれど、その分逆にそこかしこにありそうに感じてしまうところが絶妙だと思いました。ただ、決定的な証拠があったとは思えないこと考えると、結婚式の最中にそれで中断という展開は流石にないかなぁと。いろいろとリアルに描かれていただけにそこがちょっとひっかかりました。

    いずれにしても、この本で淡々と描かれる一人の女性の情念の世界。一般的に、<友情>という言葉からは何だかとても美しい響きを感じますが、この章<友情>を読んでしまった後では、<友情>って何なんだろうと思ってしまいました。

    それにしてもダークだ。

  • 恋も友情もゾッとするくらい異常だなって思ったけど、展開が気になってすぐ読めた。
    たまにダーク系の読むの良い

  • 可愛い装丁にダークな中身。
    恋も友情も盲目的になるのはヤバい。

    ネコ好きをくすぐる、ヒグチユウコさんの絵に惹かれて手に取りました。
    恋に盲目的な大学生・美女と、美女への友情に盲目的な大学生・喪女の物語。
    方や元タカラジェンヌの母親を持つ聡明な美女、方や両親からも同級生からも容姿を揶揄される陰キャ。
    対象的な2人でも、周りが見えなくなると同じ。
    どっちも何かにつけて『特別』になりたかったんだろうな。。
    何事も執着しては道を外しますね。
    膝を打つ結末に、一気読み推奨です。

  • やめられないのです、最後まで一気読み
    ホントはダークな話は嫌いなはずなのに
    「黒辻村」にはまります
    恋対友情
    うーん
    独り占めしたい
    自分だけを見つめてほしい

    それにしてもこの著者にはやはり惹きつけられる

    過去にあったノンフィクションより
    明日起こりそうなフィクションを書く
    そう言い切る「黒白辻村深月」
    これからも楽しませていただきます

    ≪ もう見えぬ その妄執が 壊してく ≫

  • 全2章構成で紡がれる、痛々しさ満点の恋と友情。
    前半は己の美貌に無自覚な蘭花の盲目的な恋の話。
    後半は蘭花の友人でコンプレックスが強い留利絵の盲目的な女同士の友情の話。

    共に同時期(大学時代から卒業後数年までの間)の
    出来事について、違う視点で描かれていき、最後まで読むことで真実が見えてくる。

    狭い世界で必死に生きる彼女らの自意識、嫉妬に狂っていく姿が勢い良く描かれており、主題もシンプルで話も非常に読みやすかったものの、読みながら「ぐにゃあっ」となってしまいました。

    • ゆうりさん
      ユッディさん、こんばんは。
      この物語、展開があまりに怒涛すぎて衝撃ですよね…。
      辻村さんの作品はいくつか読みましたが、こちらが1番刺激的でし...
      ユッディさん、こんばんは。
      この物語、展開があまりに怒涛すぎて衝撃ですよね…。
      辻村さんの作品はいくつか読みましたが、こちらが1番刺激的でした(; ´ᵕ` )
      2024/04/02
    • ユッディさん
      ゆうりさん、コメントありがとうございます。
      確かに、仄暗い感情が勢い良く行くところまで
      行ってしまった感がスゴかったですね…!(´∀`)
      ゆうりさん、コメントありがとうございます。
      確かに、仄暗い感情が勢い良く行くところまで
      行ってしまった感がスゴかったですね…!(´∀`)
      2024/04/07
  • 読んだ感想としては、ううわぁ、みたいな感じ。
    ハラハラドキドキする展開が続きます。
    読む手が止められませんでした。

    タイトルのとおり、盲目的な「恋」と「友情」について2部構成でできています。
    主人公たちのずぶずぶと人間関係の沼にはまっていく感じ、客観性を失っていく感じ。
    共感できるかどうかは別として、程度に違いはあれ少なからず誰しも経験はあるんじゃないかなぁ。

    傲慢と善良を読んだ時も思いましたが、辻村深月さんはほんとに、人間の胸に秘めた誰にも悟られたくない醜い部分を描くのが達者だなぁ、すごいなぁと思った1冊。

  • 面白かった〜。物語の真相というものが一応ありはするけど、そこにではなく、語り手の心理描写に重きを置いた作品(黒辻村らしい)。恋パート、友情パート、どちらの語り手も方向性は全く違えど、盲目的。理解できそうでできなくて気持ち悪い。

  • 1人の男との恋愛に溺れる主人公「蘭花」と、蘭花に執着する女友達の「留利絵」、その2人の目線からのお話。

    「盲目的な恋」はなんとなく想像がつく感じに対して、「盲目的な友情」は衝撃的で、留利絵の拗らせた思いと欲求がただひたすらに恐ろしかった。

    同じ出来事を各々の目線で語った時に、2人の感覚のズレや温度差がはっきりと分かる感じが恐ろしくも面白かった。

    ラストには「え…っ」となるような結末が待っている、完全なるイヤミス。

    ミステリー系はあまり好きじゃないかもって思っていたけど、これは面白かった。

  • 蘭花と留利絵、それぞれの側から同じ時間、場面のことが書かれているが、どちらもさもありなんという感じ。重たいし切ない。
    ただ、ラストは想像をひっくり返された。友情と呼んで良いのか分からないけど、自分も同じ境遇なら同じ行動、言動を選んでしまうかもしれない。
    二人とも解消しようの無い長年のストレスが溜まって、最後に爆発してしまったのかな。切ない。
    最後の解説にこれまた好きな山本文緒さんが登場するが、美波を主役にという発想も面白い。全く違った感じの本に仕上がりそう。
    いずれにしても、辻村さんらしさを感じる面白い本だった。

  • まさに、題名どおり。容姿端麗な女子大学生、蘭花が恋に落ち、のめり込み、破滅するまでのお話を、蘭花目線と、その親友、瑠利絵目線で綴られています。

    ストーリーは、読みながら先の見える、危うい恋人同士のお話なのですが、辻村さんの、女性の心理描写が、細やかで、同じ女性としてギュッと心をつかまれ、納得する所も多く、引き込まれました。

    親友である瑠利絵は、小さい頃からニキビ顔で、きれいな姉と比べられ、小学校からずっと、からかわれてきた女の子。大学時代に蘭花と出会い、その容姿、しぐさ、すべてに魅了され、彼女の一番の親友になりたいと思います。大学卒業後、ルームシェアをして、一緒に暮らすようになり、だんだんと、蘭花に、異常な執着を持つようになります。その行き着く先が、蘭花の結婚式の披露宴で現れます。瑠利絵の行動は、蘭花を手放したくない、独り占めにしたいという気持ちからのもの。静かで、冷たい恐怖を感じました。

    この本は、のめり込むと、一気に読めてしまいます。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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