パラダイス・サーティー〈上〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425283

感想・レビュー・書評

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  • 【あらすじ】
    30を前にして家を出て新しい恋にのぼせ上がる栗子と、性同一障害である菜摘の奇妙な共同生活と友情を描く。


    それにしても乃南アサは性格に難がある女性を書くのがうまい。それも物語上「嫌なヤツ」という役割が与えられ、そのことがアピールされているキャラではなくて、素で依存心が強かったり、責任感が薄かったり、自分勝手なところがあったり、男にとって都合の良い女を受け入れてしまったり、自己評価が過剰に低かったりする女性だ。『パラダイス・サーティー』の栗子も一人称で書かれている部分を読むとそうでもないのだが、冷静に客観視するとその言動は結構イタいし。



    作者のこうしたある意味ではリアルな女性描写は、『女のとなり』に見られる やけに恵まれた友人関係と、作者の女性に対する粘っこい視線から生まれているのだろうと納得させられる。

  • 中学の同級生だった栗子と菜摘。
    栗子は、ごくごく普通のOL、30才目前の結婚予定なしの
    ちょっとふてくされた感じの、どちらかというと、「女女した女」

    菜摘は、幼い頃から自分の中の性同一障害に気がついていて
    20歳のときに、家族に打ち明け、カミングアウトとともに
    家から追い出され。
    わりと裕福な家庭に育った菜摘だったけれど、それからは
    「一人」で生きていくことに・・
    世間からは「オナベ」と呼ばれる世界
    レズビアンの世界、水商売で成功していく菜摘。
    それとは別に私生活では複雑な恋愛を繰り返し
    傷つくことの多かった菜摘。

    栗子だけは、女どうしでもなく、恋愛関係でもなく
    「友人」として、「幼馴染」として、自然に接することのできる
    唯一の人だった。
    その栗子は、菜摘の店の常連客だった通販会社の青年実業家社長
    古窪に出会い一目ぼれ。
    日増しに強くなっていく恋心。
    そして偶然の再会からデートに発展。
    みるみるうちに恋人に・・・・
    ところが、まるで結婚の話は出てこずに焦る栗子。
    菜摘も菜摘で、店の常連客だった酒癖の悪いオトコの妻に一目ぼれ。
    これが、ヤクザの妻だったりする。
    そんな二人の恋愛模様を描きながら、
    2つのストーリーが書かれているんだけど。
    私は、この菜摘の世界がとても面白かった。

  • 30歳を間近に控えた栗子と菜摘。
    中学時代からの友人のこの二人をとりまく愛憎事件の数々。読みやすい。
                 2007.8

  • 【2004.01】
    結婚願望の強い栗子、レズの菜摘2人を取り巻く世界。30歳を前にしたふたりのそれぞれの生き方を描く。まだ30歳には遠いけれど、歳を経ることは嫌なことばかりではないと思った。とても前向きになれる作品。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    薬品会社のOL栗子は、30歳を目前にして落ち込んでいた。職場はお局扱い、結婚見合いも断られ、家族も勝手気まま。とうとう家を出る。落ち着いた先は、幼なじみでレズビアン(オナベ)の菜摘の部屋。そんな栗子はある日、菜摘が経営するバーの常連客、古窪伸を紹介され、彼に一目惚れ。二人はやがて深い仲に。プロポーズを待ち望む栗子だが、どうも伸の態度が煮え切らない…。

  • 女も30近くなるといろいろ考えるのだね(しみじみ)。
    「もっと軽はずみになりたいなあ」に共感(笑)。

  • 栗子は幼すぎだろう…実際29歳でこんなに精神的に子供な人がいたら引きますね^^;最後に問題が起きましたが、どうなるのでしょう…。ところで栗子は、カバーの絵みたいにかわいいのだろうか?私のイメージとちょっと違う。

  • 30代楽しもうぜい

  • 小説をドカ読みするきっかけとなった一冊。微妙に感情移入しながら読めました。やっぱりアタシ、ゲイとかのお友達が欲しい。

  • 本当に精神的大人になる為の30歳前の女の心理を書いた恋愛成長小説。心のモヤモヤが吹き飛びます!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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