十年交差点 (新潮文庫nex)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800738

感想・レビュー・書評

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  • 君が忘れたとしても・・・が一番好き
    ちょっとイライラするけど
    良かったなあ〜〜と思える

  • 「10年」をテーマに五人の作家が物語を書く。

    中田永一 地球に磔にされた男
     時間を超える懐中時計の様なマシンを手に入れた男の幸せ探し。

    白河三兎 白紙
     中二女子、生き残るかor一家心中か、最悪の結末に。

    岡崎琢磨 ひとつ、ふたつ
     欠けたものを持つ人が、幸せに向かって行く物語。

    原田ひ香 君が忘れたとしても
     幼い甥っ子のために身を引いた女性が、青年になった甥っ子に再び合う物語。

    畠中恵 一つ足りない
     中国から泳いできた河童達、日本の西に住み着いた。
     河童と猿の大合戦に。
     

    普段触れることのない作者を知れたので、楽しかった。

  • 5人の作家によるアンソロジー。
    中田永一 「地球に磔にされた男」
    白河三兎 「白紙」
    岡崎琢磨 「ひとつ、ふたつ」
    原田ひ香 「君が忘れたとしても」
    畠中恵  「ひとつ足りない」

    一番好きなのは、姉が亡くなった後、残された男の子を育てる女性の話「君が忘れたとしても」
    慕ってくれた甥だったが、姉の夫が再婚したため甥に会うことも叶わなくなった。もう会えないと思っていたが、甥が成人するのを機に会いたいと手紙が来た。
    甥は自分のことが分かるだろうか。もし自分を見つけられないようなら・・・

  • 秀逸なタイトル。
    ①中田永一「地球に磔にされた男」が凄く良い話だっただけに、勝手にどの話もハッピーエンドで終わると思ってたら、いきなり②白川三兎「白紙」に唖然。勝手な思い込み、決めつけは良くないと学んだ。
    だからこそ、③岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」も④原田ひ香「君が忘れたとしても」も最後の最後まで油断できなかったが、前向きな結末に一安心。最後の⑤畠中恵「一つ足りない」は異色だったが、ラストの九千坊と禰々子(禰豆子じゃないよ)の立ち振る舞いの王道味含め、落語のような雰囲気とオチに魅力を感じた。
    良い構成で楽しめた。

  • どれも面白かったけれど、その中でも“白紙”が1番心に残った。
    伏線の張り方が夏目漱石の“こころ”に似てるなと思った。

  • 「十年」をテーマにした短編集。タイムトラベルもの(厳密にはちょいと違う気もするが)や河童の冒険譚など、読後が良さげなものもあるが、女子生徒と教師の話は背中を急に蹴られた感じで終わってしまった。プロポーズものや亡き姉の子どもとの過ごした歳月とか、生きているといろいろあるよね、としか言えない。。。

  • 『地球に磔にされた男』
    時間跳躍機構を使って自分の幸せを見つけることができた主人公に安心しました。
    『白紙』
    「10年」というこの短編集の表題が重くのしかかってくる作品でした。胸が痛くなりました。
    『ひとつ、ふたつ』
    『春待ち雑貨店 ぷらんたん』を以前読んだことがあったので、「同じじゃん」と驚きました。
    『君が忘れたとしても』
    母のように子供を大切にしていて、子供も母のように慕っていたとしても、周りの人間がそれを許すかは分かりません。当たり前は当たり前ではないのだから。
    『一つ足りない』
    最初は、主人公の九千坊は頭ではあってもあまり強くないのかとか失礼ながら思っていたのですが、後半になっていくとどんどん活躍する場が出てくるので、読んでいてわくわくしました。

    短編集で少しものたりないかもしれませんが、そんなふうに思う作品があったら妄想するチャンスです。この作品もそんなふうに思える作品に出会えるといいですね。この作品もぜひ、手にとってもらえると嬉しいです。

  • ぷらんたんのお話が一番好きでした。岡崎琢磨、確か珈琲ミステリーも書いてたよね?持ってた気がするので今度読み返そう。このアンソロジーの中で一番好きな文体でした。というか新潮文庫nexのアンソロジーは読み応えがある上に全部面白いので本当に読んだ方がいいと思います。

  • 「十年」をテーマにした5人の作家による短編集。

    SF、ミステリー、恋愛、人の繋がり、ファンタジーと多彩な内容。

    ほっとしたり、ゾクっとしたり、涙ぐんだり。
    贅沢な時間を過ごせます

  • 中田永一「地球に磔にされた男」☆☆☆☆
    中田さんらしい。
    パラレルワールドに移動する手段を得た男の話。
    自分の悲惨な状況を覆そうと、幸せに暮らしている自分を探して、その人生を乗っ取ろうとする。
    しかし、様々な可能性の自分に触れていくことで考え方が変化していき……。

    この間読んだ入間人間の『時間のおとしもの』にも同じ題材の短編があって、おもいっきり自分を殺していた。
    それと比べると、優劣とかではなくて、作者の違いを感じておもしろい。


    白河三兎「白紙」☆☆☆
    中学の作文の課題「十年後の自分」を白紙で提出してきた生徒。
    まじめな生徒だったはずなのにどうして?
    先生は理由を探ろうと話を聞くが、どうやら秘密があるらしい。

    白河さんの作品は、以前小説新潮に載っていたクリスマスがテーマの短編以来。
    そのときの温かいイメージを想像していたのだが、予想外。
    ラスト手前まではなんて良い話なんだと思っていたのに。
    そのままの方向性で結末を迎えてほしかった。


    岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」☆☆☆
    彼氏にプロポーズされた主人公。
    しかし、自分が不妊症であることを伝えていない!
    どうしよう?

    障害があるとか、なにか欠けているとか、そういう人の気持ちははっきりとは分からない。
    だからなのか、主人公の女性がめんどくさいやつだなぁと思ってしまった。
    彼氏の「ちょうどいい」というセリフは僕も読んでいて引っかかったけれど、もう少し彼氏の心情を酌んであげても良いと思う。
    まるで自分だけが悲劇のヒロインかのよう。
    ただ、以前の経験が態度を頑なにさせてしまっているのかと考えると……ううん、難しい。


    原田ひ香「君が忘れたとしても」☆☆☆☆
    姉が急に亡くなって、その夫(義理の兄)と一緒に姉の子供を育ててきた主人公。
    子どもが自分になついてくれることを喜びつつも、本当の母親ではないからと、いつか来る別れを漠然と意識している。
    そんな折、義理の兄が再婚することとなり、子どもと会えないこととなってしまう。

    いやあもう母親だね完全に。
    子どものことだけでこれだけ心が振り回されるんだなあ。
    本当の母親の心の内はわからないが、きっとリアルに表現されていると思う。


    畠中恵「一つ足りない」☆☆
    「しゃばけ」のスピンオフだそうだが、そちらを読んだことがないせいか、あまり楽しめなかった。
    このアンソロジーの「十年」というテーマもまったく関係なし。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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