怪人二十面相: 私立探偵 明智小五郎 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800783

作品紹介・あらすじ

日本にはかつて正義と悪2人の天才がいた――! 大物実業家・羽柴壮太郎に届いた一通の予告状。差出人の名は「二十面相」。羽柴の健闘もむなしく、家宝のダイヤモンドは思いもよらぬ華麗な手法で目の前から姿を消してしまう。勇敢な少年探偵、小林の活躍で何とか取り戻せたものの、肝心の二十面相はいまだ野放し。そのときまるで運命に導かれるように、一人の大探偵が東京駅に降り立った。劇的トリックの空中戦、ここに始まる!

感想・レビュー・書評

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  •  この本は怪盗である怪人二十面相があらゆる手を使い、盗みを行う話である。日本中に名を轟かせている怪人二十面相は幾度となく警察網をくぐり抜けてきた。それもそのはず、怪人二十面相の素顔は誰の知る所でもないからだ。彼の変装は近くで見ても決して粗がなく誰に変装しようと見破ることができない。予告状を出した血縁に変装し盗みを働く大胆さを持ち合わせる。
     もちろん、盗まれると知り何も対策を打たない人は居るはずもなくこれまでに幾人もの人たちが対策をしてきた。ある人物は警察へと駆け込みある人物は名探偵の助手に手助けを求めた。しかしそんな修羅場すらも怪人二十面相はくぐり抜けてしまう。
     この本で見逃すことができないのが怪人二十面相と名探偵と称される明智小五郎との頭脳対決である。常人には繰り広げることのできない一進一退の攻防。天才と天才の戦いには明智小五郎だけではなく怪人二十面相にもエールを送ってしまう。
     怪人二十面相とは何者なのか。天才と天才の戦いはどのように終止符が打たれるのか。その点に着目し読み進めてほしい。

  • 小学生の頃に出会いたかった。
    そしたらもっと、夢中になったかもしれません。
    悪党のはずの二十面相が魅力的に見えて応援してしまうし、明智小五郎を慕う小林少年も愛くるしい。
    少年諸君、ぜひ読みたまえ。

  • 初めてまともに江戸川乱歩作品を読みました。
    子供向けなのでスラスラ読める上、テンポよく話も進むのであっという間に終わっちゃいました(笑)

    変装が得意な二十面相なだけに、途中から、出てくるキャラクター全員を疑いながら読む羽目に。
    本物の明智小五郎なのに、最後まで「この人ホントに本物?」と疑心暗鬼になってましたね。

    人殺しは好まず、華麗に立ち回る二十面相をヒーローのように思うのかなぁと読む前は考えていました。
    でもまあ、やってることは窃盗、誘拐、監禁で犯罪ですからね。
    特に逃げ切ってくれ!とも思わず、明智さんが一矢報いてくれるのをワクワクしながら読んだ私は、遊び心を失った悲しい大人でしょうか(笑)

    明智さんの助手である小林少年が、健気に明智さんを慕って身を粉にする姿はかわいかったです。

  • めちゃくちゃスタイリッシュな表紙の江戸川乱歩大先生の「怪人二十面相」私立探偵明智小五郎!!!
    金田一少年の明智警視とか名探偵コナンの毛利小五郎しか知らずに今まできたけども、ようやく本物の名探偵明智小五郎と出会えることが出来ました!!

    少年探偵団シリーズの一作目ということで少年向けの作品やけども怪人二十面相と明智小五郎の知恵と知恵のぶつかり合いはMr.ミーハーの私にとっては胸熱でしかないです。

    江戸川乱歩大先生の作品を「D坂の殺人事件」から読んでいきたくなってきてしまってるしそれを読むならエドガーアランポー大大先生のデュパンシリーズも読まねばって思いだしてきたのでまた積読がかなり増えるペースが早くなる予感

  • 実業家・羽柴に届いた予告状。その文面通り、家宝を鮮やかに奪い取った二十面相。少年探偵・小林の活躍で一矢報いるも、恐るべき犯行予告は続く。それを阻止するため、東京に帰ってきた明智小五郎が動き出す!

    小学生の頃、先生の薦めで図書室の少年探偵団シリーズを読み漁ったのが、ぼくのミステリ原体験だった。カウンター脇に特別にしつらえた棚。そこは不思議でワクワクする冒険の扉だった。大人になって再会しても、その興奮は変わらない。二人の天才が繰り広げる堂々たる熱戦に釘付けになった。

    「貴下より無償にて譲り受ける決心をした」とか言われても!となる予告状の通り、魔法のように盗み出す二十面相。悪ながら人殺しはしないという二十面相と、命を懸けて取り返そうとする小林少年の覚悟。明智小五郎の知略と胆力。最強の探偵と最強の怪盗のバトル!めくるめく衝撃の展開に心躍る!

    とにかく読みやすい!弾丸のように走り抜ける気持ちよさ。展開がどんどん移り変わっていって読む手が止まらない。明智と二十面相のバチバチな会話劇が好き。あと、小林少年のあれはインパクトあるよね。ダイナミックすぎる。いやいや気づけよ!ってなる(笑) その後の諦めない小林少年もカッコいいよね。このままシリーズを読み直したくなった。

  • ミステリー書評
    読書レベル 超初級
    ストーリー ★★★★★★!
    読みやすさ ★★★★★★!
    トリック  ★★★
    伏線・展開 ★★★★
    知識・教養 ★★★
    読後の余韻 ★★★★
    一言感想:
    初心者向けの推理小説としてオススメです。主に最近のミステリ小説や名探偵コナンを愛読していますが、だからこそ読んでおきたいと思い、手にとった作品でした。江戸川乱歩の著書は初読です。本作品は各章が3〜10頁ぐらいで構成されていて、且つストーリーとして全て繋がっているため非常に読みやすいです。
    1936年(昭和11年)に連載された少年向け推理小説シリーズの第1話(Wikipediaより)という事で、自分が生まれるよりずっと前に出来上がった作品でありながら、この令和の時代にあっても、色褪せることないストーリーは、心が弾むような楽しい気持ちで読むことが出来ました。

  • 大物実業家・羽柴壮太郎に届いた一通の予告状。差出人は「怪人二十面相」。健闘虚しく、家宝のダイヤモンドは思いもよらぬ華麗な手口で奪われてしまう。少年探偵小林くんの活躍で取り戻せたものの、怪人二十面相は次なるターゲットに予告状を送りつける。野放しの怪盗が世間を騒がせる中、一人の大探偵・明智小五郎が東京駅に降り立った。二人の天才が繰り広げる圧巻の頭脳戦!

    小学生の頃に出会いたかった…!小さい学校の図書室だったけど、「少年探偵団シリーズ」はきちんと全作品揃えてあった…。表紙が少し怖かったからだろうか?乱歩作品に手を出すのは、ハードルが高かったあの頃…。
    読んだことがないのに、この頃の東京に生きていないのにどこか懐かしさを感じる。明智先生も好きだし、二十面相も何だか憎めないのは、2人とも確かな才能と美学とプライドを持っているから。そしてそれぞれの美学と正義がぶつかることで、後世にも残るような化学反応が生まれる。今まで様々なジャンルで江戸川乱歩作品に直接的ではないながらも触れてきた身として(某探偵漫画等)、どれだけの影響を与えてきたのだろうとその歴史にも感服させられる。

    てか学校の図書館司書に「いい借り方」「悪い借り方」なんて言われたくないんだが??図書館の司書はたとえ学校の司書教諭であったとしても、利用者の探す本、読みたい本を公平に貸し出すのだぞ?「利用者の求めに応じて」って司書課程で習わなかったのかしら??

  • なんて面白いんだ


    という感想。
    子ども染みてるが、単純にそう思いました。

    明智小五郎の全能感。怪人二十面相の真っ当な悪人感。小林少年の活躍。
    冒頭から物語に引き込まれて、小林少年と怪人二十面相の闘いには手に汗握り、明智小五郎の登場では心の中では「待っていました!」と叫んでしまう。

    また期待通りの対決。

    これがシリーズもので、まだまだ楽しめることも嬉しい限りです。
    娘に是非読んで、小説にときめいてほしいな

  • 怪盗が盗みを働き、それを阻止しようとする勢力。という構図が複数回展開されるわけだが、その殆どが各章の冒頭3、4ページでオチの検討がついてしまう程にあっさりしたものだった。しかしこの現象は、それだけ推理作品が現代の世間一般に浸透したからこそ起こりうるものであり、およそ1世紀近く前の作品であるこのシリーズが、某人気アニメの元ネタになった他、あらゆる推理小説メタの原本的題材になっている(と予想)と考えると、 川の源流にたどり着いたような気がした。

  • 新潮版は初読。小林少年のファンなので今作はお気に入り!

    皆さん小学生の頃に出会いたかったと書いていて、小学生の頃に出会えた私は幸せだなと思った笑

    探偵小説ではあるがむしろ勧善懲悪の英雄譚の側面も大きい。この時代の「オヤッ」「じゃないかしら」のような言い回し、味があって好きだ。明智探偵や小林少年が負けるはずがないと思っていてもなおドキドキしてしまうような、トリックや展開の面白さはやはり褪せない。サクッと読めるし楽しかった。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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