使用人探偵シズカ: 横濱異人館殺人事件 (新潮文庫nex)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801087

作品紹介・あらすじ

謎の絵の通りに、紳士淑女が縊られていく……。ご主人様、見立て殺人でございます――。死人の唇をした無感情の使用人・栗花落静が、閉ざされた洋館で、奇怪な難事件に挑む! 「あと、二人、死にます」使用人は容赦なく云った。嵐に閉された異人館で、「名残の会」と称する奇妙な宴が始まった。館の主は謎めいた絵を所蔵する氷神公一。招かれたのは画家に縁のある6人の男女──。次々と殺されていく招待客たち。絵の下層には、なぜか死んだ者が描かれていた。縊られた姿もそのままに。絵は死を予言しているのか。絵画見立てデスゲームの真相とは。使用人探偵ツユリシズカの推理が冴える本格ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 時は明治。嵐に閉ざされた異人館で「名残の会」という宴が始まった。館の主はいわくつきの絵を所蔵する老人・氷神。画家に縁のある6人の招待客は、絵に隠された見立て通りに殺されていき──。

    父を亡くした秋月は、形見分けにもらおうと蔵から出した絵の下から現れた秘密を知る。そこには死んだ男が描かれていた。その不気味な絵を高く買うと言われ、持って向かった先が横濱居留地にある氷神の館。なんとそこには絵に描かれた死んだ男が実在していて?!ぼくだったらもう意地でも帰りたい(笑)

    断崖絶壁に建てられた館は、嵐と吊り橋が落とされたことでクローズド・サークルに!謎だらけの「名残の会」で巻き起こる見立て殺人。遥か昔に描かれた絵に、予言めいた死が隠されていた理由とは?!解くのはなんと使用人のシズカ。探偵顔負けの推理力で真相へ続く縄を手繰り寄せていく!使用人なのにいつの間にか場の中心人物になっているのがすごい。冷静沈着な観察眼に、時には自分を差し出すことも厭わないシズカ。彼女にも何やら秘められた過去がありそうで──。

    オーソドックスなクローズド・サークルでの見立て殺人が味わえる一冊。ミステリ好きなら気づくヒントがありつつも、その奥に隠された因縁まで見通すことができるかが勝負。半分くらいまでの章タイトルは普通なのに、中盤以降は破り!返し!崩し!連発で必殺技かな?という謎の勢いがある。おどろおどろしい見立ての雰囲気がありつつも、シズカの推理力もあって物語はサクサク進んでいく。

    内容を振り返ると盛りだくさんだったなと。ただ、登場人物の掘り下げがあまりないのと、細かいトリックへの疑問、後半の盛り上がってるのに淡々と駆け足に進む感じが惜しい。サクッとミステリーが読みたい時にはほどよいボリューム感かなと。

  • 設定には惹かれるし 途中までは面白く 引き込まれてサクサク読めるんだけど 後半ごちゃごちゃしてきて 急にわかりづらくなりスピードダウン。ついでに気持ちもダウン。
    読み終わったあとも なんだかスッキリしない。
    シズカのこともキライじゃないんだけどなぁ。
    アイデアはいいんだけど 腕がなぁってこと?

  • 没落華族の家にあった油絵。風景画の下から縊死した男の苦悶の表情のもう一枚の絵。明治時代の横浜居留地を舞台にしたクローズドサークル。
    メイド探偵が活躍する話なのだが、コメディライクでなく、おどろおどろしい展開が続く。
    と思いきや、油絵の下の絵に見立てられて、連続殺人が始まると、見立てを破ろうとして、絵を鍵のかかった部屋に隠そうとしたり、見立てを先に暴いて絵を削ろうとしたり、、、やはり、コメディミステリかバカミスとしか思えない展開が続く。(その間もガンガン人は死ぬ)
    終盤は、本格らしい展開が続き、隠された真相とどんでん返しが続きますが、いわゆるバールストン・ギャンビットなので、ミステリ読みには目新しさは感じないのでは。とはいえ、本格好きにはたまらないベタな展開のオンパレードなので、近年の特殊設定ミステリに食傷気味の方にはオススメ。長さもちょうど良い。

  • メイドのシズカの性格が悪いなぁ。
    それとは別として、彼女は雇いたくない人かも

  • ロジカルにものごとを考えるとこうなる、というオチなんだと思う。もちろん時代背景等もあるだろうけど、それはむしろ動機だし、クローズドな環境で起きたこととそこに存在する要素を対応させたら、そうならざるを得ない。

    だけどそれだけだと面白くないわけで、今回は世界観の設定やキャラクターを際立たせたという感じがある。日本でありながら治外法権まかり通る異国世界は、どちらかといえば異界に近い雰囲気で描かれているし、人形のような双子とか、ゴシックホラーをねらってるんだろうなという印象。

    そういう意味で良くも悪くも淡々とした文調で進む。読み終わったら、紅茶、かな。

  • 舞台は明治の横濱居留地にある異人館!父が遺した謎めいた絵を高額で買い取りたいという金持ちが現れた。条件は所持者の直系の親族が持ってくること。

    集められた画家に縁のある人々は怪しさ満載でフラグがたちまくってる状況から始まる連続殺人。
    しかも謎めいた絵の下層にはなぜか死んだ人が描かれていた。

    明治の横濱異人館、怪しさ満載で金の匂いプンプンの集められた人々、死体の描かれた絵とその死体にそっくりな人、逃げた方がいいという匿名女とやたらと泊まることを進める館の主、フラグたちまくりの中でやっぱり起こった連続殺人!もちろん館は孤立したクローズドサークルに!犯人は?犯人の目的は?事件の真相とは???

    今までいろんなパターンのミステリー作品を読んできてるのにこんなに楽しめるなんてミステリー作家さんはすごいなって思えてくる。逆にいろんな作品を読んでるからこその楽しみとかまで出てきてしまって本当に面白い。

  • シリーズの一作目だが、自分が読んだのは4番目。
    一冊目からこのシズカシリーズの世界観だった。
    横浜の感じも異人館の感じもあまり出てこなかった。
    洋館でメイドがいるために必要な舞台設定だったのかな。ゴシックで現実感のない世界観に浸れる一冊。
    犯人の予想は、ちょっぴり当たった。

  • 炎舞館が面白かったので、1作目から。
    シズカの完璧さがちょっと怖い。横浜居留地の断崖屋敷に閉じ込められた、遺産に関わる名残会の面々。そして絵画の見立て通りに死んでいく登場人物たち。シチュエーション的にはめちゃめちゃ好みでした。見立て殺人からの見立て返しの、見立て返し返しで、途中かなり混乱しました…

  • よくある展開と結末な気がします。基本のクローズドサークルという感じ。

  • 見立て殺人って飾りくらいの認識だったが、それを軸に推理を展開し犯人と出し抜き合戦をしていく。見立て殺人をここまでフィーチャしたミステリを読んだ事がなかったので新鮮だった。

    探偵役のキャラ設定が独特。
    基本は頼りになるのだが、唐突にやべー奴感を出してくるので、人物像を把握しきれないまま読み終わった。

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