きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801469

作品紹介・あらすじ

『いなくなれ、群青』、シリーズ完結編! 2019年9月、実写映画化! [主演:横浜流星、飯豊まりえ]  真辺由宇。その、まっすぐな瞳。まるで群青色の空に輝くピストルスターのような圧倒的な光。僕の信仰。この物語は、彼女に出会ったときから始まった。階段島での日々も。堀との思い出も。相原大地という少年を巡る出来事も。それが行き着く先は、僕と彼女の物語だ。だから今、選ばなければいけない。成長するとは、大人になるとは、何なのかを。心を穿つ青春ミステリ、堂々完結。

感想・レビュー・書評

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  • ついに最終巻。
    やはりこれは成長の話なのね(たぶん。まだ自信ない)。
    成長の過程で選び取るもの、捨てるものがあって、で、「大人って何よ?」「どうなったら大人なのよ?」的な永遠のテーマともいえる疑問を大地から投げかけられて・・・

    誰のどの考えが正しいのかはさておき、みんなが大地のために行動して、という姿勢がうれしいものの、元(?)魔女の時任が作った世界に、現実から一部を抜き取られた大地の両親がいて、大地は二人に会いに行く、だとか、現実に戻った大地は魔法の力で、自由に階段島と現実を行き来するとか、「えぇのん?それ」みたいなところが多々あり、真辺が魔法を使って大地の幸せをシミュレーションし出してからは、もう、正直何がなんだか。

    捨てる捨てない、諦める諦めない、日常的に大なり小なり選択していることを深堀りしたらこんなに哲学的な話になるのだろうか・・・。

    にしても、予想とは違う物語の着地や、それはしょうがないにしても、なんかモヤモヤするラスト、そして、トクメ先生などなんだか置き去りにされている登場人物が多いことなどで、とにかくスッキリしない最終巻だった。

    あ、真辺と堀の両方を想う七草には、階段島で堀と、現実で真辺と過ごせるという一番美味しい結末になったということか?!え?そういうこと?!(誰か教えてー)
    さすが、諦められない七草。(←もう決めつけた)

    なかなかに面白い設定の物語だったものの、たぶんどの登場人物もあまり好きになれず、感情移入できず、魔法が突飛すぎてついていけなかったことが原因で、そこそこ面白いけど・・・という感想にとどまってしまうかな。

    なんだか惜しいと思う反面、途中(真辺がシミュレーションするところ)飛ばし気味に読んだせいだけでなく、自分自身の読解力もないのだと思った。まだまだ修行が足りません。

  • 七草も真辺も本当は隣にいてほしいと思っている。
    だけど真辺は七草を頼る自分も拾いに来て、七草と結婚して、階段島には真辺を信仰する七草だけが残る。
    結婚した七草が拾いに来てもそれを拒否するのは、
    真辺から言われたセリフが頭に残っていたのかもしれない。
    ピストルスターとしての信仰がなくなればいつでも真辺にすぐに会いに行ける。
    だから今はまだ星を追いかけている。
    それは幸福で、そして少し切ない。

  • 大地の幸せを探す模索を軸にしつつ、魔法をめぐってだいぶ観念的な話になってしまった感じがします。それでもお話をちゃんと完結させられるのは、この作者のすごいところですね。

  • シリーズの最初から追い続けてようやっと終わった!という感じ。
    大昔、「優しさとは」みたいなことを考えさせられたのを思い出した。

  • 人生に正解は無い。    
    人生に近道は無い。    
    群青色ってどんな色だっけってPCで調べたけど、こんな無機質な色なんかじゃなくて、自然界の中で見られる本物の群青色を見てみたいなって思った。

  • 長かった。
    2014年からなので、もう5年になるんですね。
    以下、ネタバレ注意。



    途切れ途切れの記憶を辿りながらだと、どうも見えなかった部分はある。

    「愛情」を預けてしまった母親と暮らす大地を、幸せにしてやりたい。
    そこで、真辺は魔法の力で、母親が大地を愛するようなシミュレーションを何度も繰り返す。
    失敗する度に傷つき、トライアンドエラーを繰り返し、やっと得た小さな幸せにも、満足しない。

    そんな真辺の崇高さに、七草は感嘆しながらも、対峙する。
    大きな幸せ、持続的な幸せという、たった一つの正解を探し当てるまで、トライアンドエラーを繰り返すのなら、真辺はこの世界から永遠に出られない。
    それはつまり、シミュレーションが現実にはならないことと同じだと突き付ける。

    彼女が壊れる前に、彼女を止めたのは七草だった。
    小さな幸せを積み重ねた世界を持って、真辺は階段島を去ってゆく。

    そして、七草は階段島に残る。

    自分の中の不要なパーツを残していける世界。
    不要なパーツたちが安心して暮らせる世界。
    それは魔女である堀の、人に対する優しさから生まれた、少し悲しい幸せの世界だった。
    その中で、七草は「何も捨てなくても、人は成長できるか」を目指そうとする。

    受け容れるということは諦めだけではなく。
    受け容れることが出来て、成長もあるのだと。
    私なりに勝手に落ち着けたのだけど、今の自分にはこう思えると、スッキリする。

    見たくない部分を切り離せたら楽で、現実世界と適応しない部分を、病的に遮断してしまわなければ生きていけない人もいる。

    こんな自分だったらいいのに、と思うことはあって、でもそこに辿り着く道筋は、きっと切り離すことだけではない。
    受け容れることは、難しい。
    どうすれば、諦めたのではなく、受け容れたことになるのかは、正直分からない。

    けれど、受け容れるべき部分があるのなら、それはつまり、切り捨てたかったパーツを明らかに出来るのなら、きっとそこから始められることがあるんじゃないかと思う。

    後半は、本に対するレビューというより、七草の結論に対する個人的な思いになった。
    随分、考えさせられたシリーズだった。
    難しいけれど、面白い。

  • シリーズ最終話。
    悩みに悩んだ末にこの結末にたどり着いたのかと
    納得。

  • 階段島シリーズ最終巻。現実の大地にとって一番良い世界を選ぶ為それぞれ奔走する七草と真辺。とは言ってもどちらも自分の信念に基づき過ぎているのでそれ大地にとっては本当に一番なのか?なもやもやが残る。結局真辺が放つ理想の光がいつか消えると怯えてならばと吹き消そうとしたけどその光は七草がいる限り輝き続ける、とある意味完璧な二人の世界を再確認する結末でこう結ぶかと納得。しかし時が進んだ現実はどうなったかとか堀と安達の魔法を巡る対決は?とか色々語られないままのエピソードあるけど二人の物語だから語るのは野暮か。

  • 「いなくなれ、群青」シリーズの完結作。「愛」や「友情」、「憧れ」という青春時代の重要な価値観を基軸にしつつ、「理想」と「現実」の狭間で思い悩む少年少女たちの物語。
    魔法は誰にでも使えて、誰も使えなくなるもの。ただ、それがある内だけでも、守りたいものを守り続けることが、僕たちにできるささやかな抵抗なのだろう。

  • 『階段島』シリーズがとうとう完結。
    最初、シリーズが始まった時は、こういう方向に展開するとは思っていなかったので、巻が進むごとに楽しみだった。
    次回作がどうなるのか解らないが、期待している。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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