パルムの僧院(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102008027

感想・レビュー・書評

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  • 下巻に入ってからの方が面白かった!

    自由主義者・ジャコバン派がどういう人たちなのかしっかり理解した方が楽しめる気はしつつ、読了。解説(訳者あとがき)があっさりしていて残念。

  • 下巻に至って、いよいよファブリスとクレリアの純愛か、叔母のサンセヴェリーナ公爵夫人の盲愛・偏愛によるファブリスの不幸か、となります。

    貴族ファブリスは恋のつまらないさや当てで、旅芸人の男を殺してしまい、当時(17~18世紀)​のイタリア公国は「お手打ち」はおとがめなしなのだが、専制君子の大公の虫の居所によって、ファルネーゼ塔という監獄にいれられてしまったのでした。

    美魔女とでもいうのでしょうか、宮廷の男性という男性を惹きつけてやまない貴族の娘のジーナ叔母(サンセヴェリーナ公爵夫人)は政治的手腕も長けていて、おまけにモスカ伯爵というもっと辣腕の大臣を巻き込み、監獄からファブリスを助け出すというが良かれと、あらゆる手を尽くすのです。

    でもそれは「いらんこと」でした。獄舎の監視将軍の純真で魅力的な娘クレリアにひとめぼれ、浮気なファブリスも「これぞ真なる恋」と開眼。

    しかし、叔母もクレリアも愛するファブリスのために他者と結婚するという、スタンダール・ワールドの流れ、手に汗握る展開が続き、大団円で終わります。

    と、さもあっさりと書きましたが、恋の駆け引き、宮廷政治の陰謀やら、当時の小公国専制政治のあらましなど、読むのに苦戦したところもありました。

    昔読んだ中央公論社「世界の文学」の『パルムの僧院』がわかりにくかった記憶があったので、この新潮文庫改版はわかりやすくなっているのかな、と思っていましたが、何のことはない同じ大岡昇平氏訳だったのでした。つまり、この文庫の初版を見ると、昭和26年(1946年)に訳されているのですね。道理で監獄の塔の高さが尺や寸で表されていますもん、感覚わかりませんけどね。でも、さすがスタンダール研究者の作家の珠玉の翻訳には違いない、とは思います。

  • いやあ、むちゃくちゃ面白かった。終盤の盛り上がり方は能の序破急を見る思いでした。スタンダールを楽しめて幸せです。でもまだ自分をThe happy fewと規定する自信はありません。

  • 描かれる恋愛については全く共感できそうにないが、現代では大袈裟と取られるようなミュージカルめいた台詞回しは結構好き。
    モスカ伯爵が一番好感が持てるかな。

  • 下巻(第二巻)は、主人公(ファブリス)と、恋人(クレリア)の恋愛劇を中心に、甥のファブリスへの献身的な愛情を注ぐジーナの策略に、公国内の政治的権謀術数が絡んで「これぞ小説の醍醐味」とも言うべきおもしろさを堪能できる。

  • 長年の積ん読の山から取り出した本。主人公の幸福な入牢生活がまだるっこい。とうやく脱走して新たな展開に期待。
    読み終わってなにこれのラスト。恋を捨て信仰に目覚めた主人公とばかり思っていたけど最後まで煩悩だらけだった。

  • 文学

  • バチバチと火花散る心理戦。これ主役はサンセヴェリーナ公爵夫人といってもいいのでは。そのくらい彼女が活躍しているし、性格もハッキリしていて潔い。男にとっては怖い存在なんだろうけど、そんな彼女が唯一思い通りに動かせない存在がファブリスというのがミソ。思い通りになってしまったらそれはそれでスキャンダラスだけど…。
    ファブリスにはちっとも同情できなかったし、ラストもそんな終わり方?というガッカリ感。政治や権力争いの描写を興味深く読めないと、半分も楽しめない作品だと思う。僧院はあまり出てこないし、ファブリスには信仰心なんてない。ヒロインには信仰心はあるけれど、影が薄い。そして最後には…。うーん、色々納得いかない。
    やはり、大公や公爵夫人、モスカ伯爵、そのライバルたちが繰り広げる宮廷の陰謀や駆け引きが主な見どころかな。個人的な結論:「赤と黒」に軍配。

  • ストーリーの展開は若干遅くて、人間関係も複雑に感じたけど、ファブリスとクレリアの情熱的な恋は最高に盛り上がる!ふたりの恋に落ちていく過程は特殊な状況ではあるけど、普遍的なものに訴えかけるのはスタンダールのセンスだと思う。

  • 下巻から面白くなった。不幸を知らずバカだった主人公は、望みが叶わずに苦しむことで成長…は多分していない。相変わらず自分のことだけ。
    おばさんの公爵夫人と恋人の伯爵が良い脇役だけど、主人公カップルは幼稚な印象。

  • 上巻とはかなり雰囲気が変わり、緊迫した展開が続くが、基本はメロドラマ。
    何かであらすじを読んだことはあったが、ここまでしっかりメロドラマをやっているとは思わなかった……。

  • 主人公が収監されてからようやく面白くなってくる。
    よくあるよね、脇役が活躍する回の方が面白いTVドラマとか。そんな感じ。
    小説の主人公がダメ人間でも共感できなくても別にいいんだけど、それならそれなりのテンポ感で読ませてほしい。
    新潮文庫版の訳は格調が高いと言うか、斜め上過ぎて、その点楽しくない。
    いずれにしてもこれが海外の長篇第28位。

  • 下巻に入ってやっと運命の女性クレリアと巡り会う主人公ファブリス。その恋は成就することなく囚われの身となるが。フランス人であるスタンダールがルネサンス期のイタリアを舞台にして、なぜこの作品を書いたのか。よく分からないまま物語は終焉を迎える。なんだろう。その時代、宮廷政治という奇怪な状況、その中での純愛というものが理解しにくいのは確かである。この作品が名作と呼ばれる理由はなんだろう?

  • 愛が狂気に変わっていく様がありありと見えて恐ろしい。この作品の中の真の主人公は公爵夫人だと思う。意志を持った女性は強いなと思わされる。

    一言でまとめるなら、世代違いの叶わない恋に身をやつした女性の物語。でも、それがかわいそうだとも思えない所にこの物語の魅力がある。むしろ女性の末恐ろしさを感じさせる。。

    てゆーかクレリア…「純粋すぎるけど可愛いっ絶対最後幸せになってね(*´∀`*)」て思ってたのに、、ラストでショック受けた。

    私の胸の高鳴り返して( ´Д`)
    最後の10ページは私にとっては不要です・゜・(つД`)・゜・

    ファブリスのどうしようもなさが最後に垣間見えたのは個人的には良かった。そんなもんだわさ。

  • ・何で牢獄に戻っちゃうかなぁ、ファブリス。
    ・手は血塗れ、片方の肩を脱臼して、そして多くの人に助けてもらって脱獄したのに。
    ・服役中にかわしたクレリアとの僅かなやり取りは、それは確かに恋する者の情熱を駆り立てるだろうけれど。
    ・「顔を見ない」という誓いを守りつつも逢瀬を重ねているクレリアは、自分の気持ちに素直になったのだろうか。

  • 途中の盛り上がりが尋常じゃない。風呂でコツコツ読もうと思ってたのに、『絶賛脱獄(させ)計画進行中本人全然乗り気じゃない』辺りにさしかかったら、もう風呂から上がった後も読み続けずにはおられなくなって…結局徹夜で一気読み。徹夜に反省。
    なのに、なんでラスト付近であーなっちゃうの?情熱の方向が、いきなりねじ曲がっちゃってるわ(温笑)
    あとスタンダールが、フランスよりもイタリアのが好きなの!っていうのはビシビシ伝わってくるんだけど…登場人物の描き方とか、なんかそんな気がする。
    「赤と黒」と比較すると、ファブリスはやっぱりジュリアンと違っておぼっちゃんなんだなーってのが、なんかよく伝わってくる。どこか鷹揚で、野望への執着が薄いあたり…。
    更に、ブルジョワとしてのおぼっちゃんであるリュシアン・ルーヴェンとも比較すると面白いかも。

  • 愛する叔母サンセヴェリーナ公爵夫人、その愛人である宰相モスカ伯爵。彼らの必死の努力全てを水泡と化し、クレリアと会うためだけに牢獄へと戻ったファブリス。暗闇で育まれる愛の行為。妄想とも呼べるほど激しい恋の数々に、どこか滑稽ささえ感じさせられる作品です。

  • 上・下巻あわせて800ページに及ぶ大作。 舞台は18世紀イタリア。 学生の頃愛読した本です。
    確か赤い表紙の世界文学全集の一冊でした。

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著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタンダールの作品

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