毒魔 (新潮文庫 フ 46-4)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102021149

感想・レビュー・書評

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  • シアトルのバスターミナルで、乗合バスから降りた乗客が次々倒れ、運転手も大量の血を吐きながら絶命した。封鎖された区域に、地下から忍び込んだジャーナリストのコーソは、防毒服を盗んで見聞に立ち会う。犯人は何を撒いたのか…。

    あとがきを読むまで、シリーズの4作目などという感覚がないくらい、前作は関係のない作品。

    ネタバレになるほどではないだろう程度で書いておくと、散布されたのは出血熱のウイルスで、即効性が有り、すぐに死滅するという設定である。ストーリーはそこそこにスリリングな展開となっているため、特に後半はどんどん読み進められるであろう。

    で。

    訳がひどすぎないか?
    始めから終わりまで、一貫して「何がどうした」がわからない。最初の細かい部分から「???」となる文章がつづくのだが、車が列車にふっとばされるという大きな事件が有っても、誰の載っていた車なのか、しばらくわからないという始末。

    文章として成り立っていないセンテンスも多くあり、関係代名詞を習った中学生が、2つの文章を1文にできなくて、苦し紛れに断片だけ継ぎ足したというような物が多々見られる。したがって、主語がないために何が何だか分からないという状況のまま読み進めなくてはならない。

    一番辛いのは、改行が入ると視点が変わるのだが、警察の視点なのか、ジャーナリストの視点なのか、テログループの視点なのか、コーソの視点なのか、主語がなかなか出てこないので、まあわからない。特に警察署などの背景は、おそらく原作には書かれていたものと思われるところが端折られているように感じる。

    また、誤訳、誤植も多いのも困ったもの。ウイルスだと何度も言っているにもかかわらず「保菌者」という言葉を使い続ける。翻訳ソフトで「carrier」を検索でもしたら出てきたのか知らないが、日本語に「キャリアー」という言葉は定着している。編集は何やっとんねん?

    あと、細かいところだけど、遺伝子工学のマッドサイエンティストがいたとして、ウイルスの生存できる長さを変えたり、何故か植物の胞子に閉じ込めたりはできるわけがないし(どこでウイルスを増やすわけ?)、冷凍したら無効化するって、逆やろ?そのへんは原作者の底の浅さ。まあ、ウイルスをネタに使うミステリなんか、日本でも松本清張のショボさを過去にレビューしたとおり、同様であるが。
    https://booklog.jp/users/tikuo/archives/1/4101109621

    なんとかストーリーでフォローしながら読み進めていったところで、結末は「えぇ…」となるので、うーん、この同じ作者と訳者のコンビなら、もういいわ。

  • なんともしまりのない話だった。
    シリーズものの主人公フランク・コーソらしさが全く出ていなかった。というか出番少なすぎ。
    たぶんこの作家の傾向として、善悪を語ることの難しさ(それがたとえテロ行為であっても)を伝えたかったのだと思うが、このシリーズの中で描くには少し毛色が違い過ぎるテーマだったように思う。
    最後、隔離された船内での一幕だけは、物語のエピローグ的なところとしては深く、読ませる力を感じたが、それ以外、犯人グループの底の浅さや、ほとんど展開がなくひたすらテロ行為のありさまを描くに徹された前半部分などは退屈と言わざるを得ない。

  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    シアトルのバスターミナルで劇物が空中散布された。被害者は口や鼻から血を流し、数分で116名が倒れた。たまたま現場近くの恋人の写真展に来ていた元辣腕記者コーソは捜査を開始する。米政府は本土に対する新たなテロと断定し、イスラム過激派などの洗い出しに全力を注ぐ。しかし、その頃コーソは誰もが想定しえない犯人を追っていた。先がまったく読めない至高のサスペンス登場。

    このテロ一番怖いかも。
    ひねりも何もないけれど、盲点、盲点をついていくけど、一番怖いなぁ。
    テロってある意味復讐がベースなのよね。
    思ったよりコーソが受身だったけどおもしろかった。
    次早くでないかしら。

    Red tide by G.M.Ford

  •  「黒い河」「憤怒」「白骨」の元雑誌記者コーソと、カメラマンで全身タトゥーの美女メグのシリーズ。
     
     バスターミナルで、細菌兵器がまかれ、たまたまそばを通りかかったコーソは事件にまきこまれていく。

     相変わらず、タイミングの悪いときに、悪い場所に出くわすコーソなのである。つか、このタイミングって、ほんの少し間違っただけで「ご都合主義」になるのだが、そのヘンはとっても上手いフォードなのだ。
     が、しかし…うーーん。
     今までの作品のような面白さ、エンターテイメントにかけるんですけど。
     コーソ、犯人、警察、政治家(いろいろ)そしてメグと、色々主観がかわるのが、上手くいかなかった気がする。事件の全貌を見せるためには、必要だったのかもしれないが、手品はトリックをかくしているから面白いのであって、へんに見えるのは、興醒めなのだ。
     うーーーーん。
     コーソシリーズ、このあとの2冊、すでに上梓されてるが、日本での翻訳は微妙みたい。
     新潮社さま、お願い、ちゃんと続きだしてください。
     これで、このシリーズ終りっていうのは、いくらなんでもないよお。
     (最後の最後の展開って、これはないでしょ)

  • バスターミナルでエボラ出血熱を使ったテロが発生した。メグの個展の開会レセプションに参加していたコーソは、好奇心駆られその発生現場に行く。メグは自分にタトゥを入れた男を見かけその後を追う。その結果2人はそのテロ事件に巻き込まれることになる。謎解きよりもサスペンス的な要素で話は展開していく。というより最後の数ページまでは、すべてが終わったものと確信していた。最後のどんでん返しはある意味見事。

  • フランク・コーソの4作目です。
    んがぁ・・・・・あれ??って感じでした・・

    実は、先週末にインフルエンザの予防注射を摂取、そしたら、その夜から・・なんか変・・
    翌日には発熱・・節々は痛いは、喉や鼻の奥は痛いは・・
    これはプチ・インフル??
    私の体調と、本の波動が合わなかったのか、遅々として進まず・・
    今までのコーソらしさがちっともない・・ここから読み始めたら、きっと私はコーソファンにならなかったなって思います。
    なんせ、この本から手にして、過去に遡り、コーソシリーズ1作目から読み始めて、今までずっと片思いだったジョン・レインの次に好きな人になったのにぃ・・・
    コーソの相棒(?)のドアティも、とってもいいお膳立てをしてあるのに、あれ?っていう調理法・・(・_・)
    なら、切ってお皿に盛るだけの方がドアティらしいんじゃないの?って思ったのは私だけでしょうか・・^_^;

    で、あれですね・・生れ落ちた国や立場、教育で、随分と辛い暮らし向きや生き方になってしまう・・よく耳にする話ではありますが、こちらの本にもそんな感じのことが・・
    日本は果たして本当に平和で幸せな国なのでしょうか・・
    物知らずなのか・・私なんかいいんじゃないの?って感じちゃうんですけどね・・

    5作目?
    たぶん、読みますよ・・これで終わらせたら、折角の良い出会いがねぇ・・・^_^;

  • 事件に自ら巻き込まれていくノンフィクション作家、フランク・コーソ・シリーズの第4作。シアトルのバスターミナルで劇物がまかれ、大勢の人々が命を落とす。コーソは自力で謎を解こうと事件を追い始める。この作品は、主人公と脇役の設定を少し変更すれば「ダイハード」シリーズになりそうです。

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