風と共に去りぬ 第2巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091074

感想・レビュー・書評

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  • 激動の2巻。
    南北戦争が佳境に入り、読み進めるごとに事態は悪化の一途を辿る。戦争最中の人間の感情の動きやアトランタの変貌ぶりが手にとるように描かれていて、映画を一本観たかのごとくイメージされる。

    アシュレとの別れのシーンではまさかスカーレットが良い意味に捉え舞い上がるシーンで、つくづく自己肯定感が強い人だとドン引きしそうになったけれど、笑 2巻最後のシーンでは、その自己肯定感と、アイルランドの血を受け継いだスカーレットの並々ならぬ覚悟と強さ、逞しさが溢れんばかりで圧倒させられる。スカーレット、がんばれーー!



    「興奮と、パーティと、そして感激!万歳!ジョンストン将軍は二十二マイルのかなたで北軍をくいとめているのだ!」


    「彼女が、こどものように奉仕されるのは、今夜が最後なのだ。青春は去った。彼女は、いまこそ一人前の女になったのだ」

    「彼女の重荷は、彼女自身のものであり、そしてその重荷は、じゅうぶんそれに耐えうる強い方があるからこそ負わされたのだ」


    「タラこそ彼女の運命であり、戦場だった。彼女は、それを征服しなければならないのだ」

  • 2巻はほぼ冒険物だと思っている。
    スカーレットの勇者っぷり。いつもギリギリの難関が訪れるのに、困難に立ち向かって制してしまう姿が本当に強すぎる。しかも全て本意ではないのが面白さになっているのかな。
    戦争の悲惨さの描写は凄まじい。アトランタの戦いで戦況は南部に不利とわかっていたが、南部の人々には信じられなかっただろう。たった4か月でなごやかだった地名は戦闘、死闘、負け戦を意味するものになった。死んでいく負傷兵の悲惨な様子。義勇軍には年配者や少年兵も。恐れていた包囲戦。メラニーはよく生き延びたなと思う。難産にも耐えて。
    みんなで命からがらタラにたどり着いたら悲しい出来事が待っていた。でもここからは頼れる人は誰ひとりおらず、全員が19歳のスカーレットだけを頼りにしているのである。タラはスカーレットが思い描いたのと全く違う状態でそこに存在していた。
    性格は問題あるけど応援したくなる主人公である。ここからメラニーへの自分の本当の気持ちに気づくまでの出来事と心の動きを観察できるのが醍醐味。メラニーを見捨てられるわけはなかった。アシュリは関係なく。

  • この巻を読むと「だから!アシュリーなんてどうでもいいから!レット!レット!」と言い続ける母に完全同意しか出来ない。恋愛物語の顔をしながら、戦争の表と裏が残酷に描かれていてすごい。

  • 激動の第2巻。ハラハラしながら、読み終わるのが惜しいと思いながら、でも読んでしまった。
    裏ページのあらすじでなんとなく先はわかっていたが、色々と予想外で面食らう展開だった。

    戦争はつらい。いつの時代でも、どこの国や地域でも、あとに残るのは悲しみだけだなあと感じられる内容だった。
    号砲の響くなか、メラニーのお産をなんとかやってのけるスカーレットが本当にすごい。いくらアシュリと約束したと言えど、ミード医師が来てくれないと言えど、放ってひとりでタラに帰るかと思ってた。(それか、お産によってメラニーは母子共々死んでしまうのかとも予想していた)
    それがまさかの、すごい責任感。そして全員連れ出してタラに帰るのもびっくり。なりふり構わず、牛まで連れて。

    最後…
    老いた父親、逃げた召使たち、死に目にも会えなかった母親、病気に苦しむ二人の妹。食べるものも飲むものもろくにない。
    変わり果てたタラを前に、明日から自分が養っていこうと決意するスカーレットが本当に立派。
    自分がやらねば!という責任感が本当に頼もしい。ただの裕福な家庭に育ったお嬢さんでなく、胆すわってて強くてカッコいいなと思う。尊敬。

    これからどんな展開になっていくのか、続きが気になる!!3巻も4巻もネットで注文したので、届いたら早く読みたい✨

    …番外。
    アシュリのことがどれほど好きかということが、1巻に引き続きよくわかる描写が面白い。そこら辺は、ほんまおもろいなぁスカーレット!って感じやけど、アシュリも彼女をまぁまぁ好きなんだと判明。
    レットのような破天荒で強引な男のほうが私は断然好みなので、レットとスカーレット二人きりの場面はドキドキした!笑
    この先レットが出てくることあるのだろうか?私達は似た者同士って言ったから、また会えるのかしら。今後もどこかでスカーレットを助けてほしいなあ。
    …自分の気強いところがスカーレットと似てるので、本当に気になる(笑)

  • 日本の戦争の記憶は太平洋戦争だが、アメリカの戦争の記憶は南北戦争である。アメリカの災厄の時代の物語。


     あいかわらずスカーレットは性格が悪い。でも、体裁はきちんと取り繕っているんだから、実に気高い。
     この巻でスカーレットの良さに気付き始める。子供の頃はただのわがままに見えたけれど、大人になって力や責任を持つようになって、自由になって、その本領を発揮してきたという感じ。



     なにより、この巻の軸はレット・バトラーである。

     スカーレットと名前も似ているが、思想の根源も似ている。女性だから本心を出せていないスカーレットと、自分を自由に表現できている男のレットが良い対比構造になっている。

     スカーレットは自分の鏡であるレットを見て、頭では拒否するが、心が惹かれてしょうがない。合理的な物の考え方は、まさに自分のやりたいことなのである。

     そして、彼の存在がこれからの彼女の在り方に大きな変化を与えるのだろう。

     スカーレットは解放される。



    ______

     どんどん物語に引き込まれていく。

     あと、レットバトラーの戦争観が日本人の共感を呼ぶよね。
     世界のどこでも太平洋戦争時代の日本みたいなことやっていたんだね。ただ、欧米はそういうの近代に終わらせていて、後進国の日本は技術の進んだ20世紀にやっちまったから大惨事になったんだな。南北戦争の時代に核兵器があったらアメリカ南部は焦土と化していたね。

  • 感動という言葉以外の何物でもなかった。
    一巻だけを読んだ人からすれば、この「風と共に去りぬ」は単なる恋物語で、スカーレットのこともわがままで子供っぽいお嬢様、というイメージで終始しただろうと思う。
    実際私もそうで、スカーレットのアシュリーへの思いも、あの自由奔放な性格も本当に本当に愛しているし大好きなんだけど、この第二巻はまたそれとは全然違った魅力があってもうずーっと感動のため息をつきながら読んでいた。
    何より、スカーレットという女性の強さ。
    勇敢さ。
    壮絶な経験をしながら少女から女性へと成長していく、彼女の姿に胸を打たれない人などいるの?
    本当に、今でも十分有名な小説だけどもっともっと有名になるべきだと思うくらい素晴らしかった

  • こんなにガッツリ南北戦争について書かれているとは思ってもいませんでした

    スカーレットやレット・バトラーは創作キャラですが、軍人や地理、年表はノンフィクションだったので、ふつうに立派な歴史小説です

    アメリカ南部人の盲目的なご都合主義を呆れながら読んでいたのですが、人のことを言えた義理じゃなかったなと
    日清日露の勝利で調子にのった日本の大衆とか、南部人そのまんま(苦笑)
    戦争を始めるのは愚かなマスコミと民衆なわけです…
    (昨日、ロシアがウクライナに侵攻しましたが、あれはまたロシア特有の事情…ですよね(余談))

    それにしても相変わらずスカーレットはひとり異質な存在でした
    こんな女主人公 見たことないです、悪役令嬢でしか(笑)

    しかし2巻のラストの命をかけたアトランタからの脱出を経て、若さゆえの自分本位の部分は嫌でも抑えざるをえなくなり、芯の強さと男気だけが残りそうで、楽しみなような、ちょっと寂しいような

    とにかく、ここからが、彼女の人生の本当のスタート

  • レットの不可解な行動。
    スカーレットの不屈の魂。葛藤しながらも、前へ進んでいく。タフになっていく。

    「背負う」ことを考えた。背負うものは、意図せず、背負わざるをえないものとなる。背負うものは重い。背負うものはなくならない。背負う者は一人だ。誰かの手伝いはない。

  • スカーレットのことが大好きになった。レット·バトラーのことも。
    いよいよ戦争が激しくなり、窮地に立たされた時の行動力、自分を奮い立たせるその姿になんだか涙が滲んだ。
    これから先、わたしに辛いことや苦しいことがあった時、きっときっと、タラへ戻るために馬車を走らせたスカーレットのことを思い出そう。

  • スカーレットからみたアシュレとレットの比較が、克明に記載されていて面白い。
    アシュレとレットは、実は勝ち目のない戦争に巻き込まれている現状を把握できている似たもの同士なのだが‥レットは憤然と周囲に立ち向かうけど、アシュレは諦め半分に運面に流されていく夢追い人‥
    そのことを考えるとスカーレットは訳が分からなくなるのだ。

    しかし、なんといっても2巻の、スカーレットの燃え上がるような強さは、読んでいてスカッとする。戦争の外にいるアウトサイダーであるのに、自分のこと、自分の希望、ひいてはアシュレへの想いを第一に考えながら、メラニーを守り、プリシーをこき使い、タラのみんなを取り仕切っていく。

    相変わらず素晴らしい訳で、どんどん読み進めてしまう。

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