- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102120019
感想・レビュー・書評
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「水いらず」
この文章に出会えたことに感動。。ほとんど音楽みたい
>人生にそんなことはありようがない。人生はリュリュの上に襲いかかり、アンリーの腕から奪い去る大きな波なのだ
性と人生をこんな風に描けるの素晴らしすぎる。この考え方を捨てることでより楽に生きていけるのは明らかで、でも、こういう文学が存在するのが救いでしかない
肉体はなぜあるのか?自己から肉体を切り離したときの嫌悪感だけではなくて、おかしさも感じられる
水がなくても一緒にいられるし水族館だって、これが水族館と言えば水族館なのだ
「壁」
極限状態では意味がすべて無くなっていき、最終的には肉体の重さが残る。重さは死ぬまでわたしを手放さない
「部屋」
狂人と生活を続ける娘が実存と向き合ってないとするなら、父親もまたそういえるのではないか詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
哲学書は読みずらい。考えたことをわざわざわかりづらく翻訳しているのではないかとさえ思う。サルトルの『弁証法的理性批判』など、いったい何を言いたいのやら皆目わからない。そんなサルトルがちょっとは理解できるのが、『水らず』等のサルトル初期短編集である。
「アンガージュマン(自分の態度を決めること)とは文学作品をとおした状況への異議申し立てだ。あるいは状況の受け入れだ。」とサルトルはいう。
不能夫を持つ妻の浮気『水入らず』、銃殺を待つスペイン内乱の反政府兵『壁』、周囲と自分の存在を疑う青年の成長記『指導者の幼年時代』など、どれも気持ちのよい状況とは思えない中からのアンガージュマンを描く。日本の戦後文学にも大きな影響を与えた作品群である。
今回再読して気づいたことがある。『水入らず』の女主人公リュリュは「リュシエンヌ・クリスパン」であり、『指導者の幼年時代』の男主人公の名はリュシアンである。リュシエンヌはリョシアンの女性名である。名前の意味は「光」という。何か意味深長である。 -
ストーリー的なところとか、細かいところは習作感があってプロっぽくないけど、この不穏な空気はなんだろう。ある意味嘔吐よりエネルギッシュでこういう小説好き。
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水いらず
性がテーマになっている。登場人物が各々に、本音とは真逆の言動をしているように感じられ、ある意味では滑稽で、面白かった。
壁
「数時間後には死ぬ」という漠然とした状況設定だが、未知ゆえの興味が湧き面白かった。感覚を確かに失いながらも、やたらと働く思考の様子が描かれている。
一指導者の幼少時代
家庭に抱くコンプレックスから始まり、「自分とは何者か」という錯乱の中過ごす少年期の、心の変化の話。
自分の身の置き場を二転三転しながら、どこにいてもしっくりこない感覚に共感も覚える。
全体的にかなり軸がしっかりしていて、説得力のあるものに思えた。実存主義という全体背景の中に無意識に自分を溶け込ませながら、寂しさと心強さを、同時に得られた気がした。 -
サルトルの短編集。彼の哲学書に挫折した方は、本書から入ってみては?
『嘔吐』もそうだが、サルトルの「いわんとしていること」を、「理解」というより「体感」できるのではないだろうか。 -
しっかり読みこんだのは「水いらず」だけ。
あとは事情で駆け足。
再読必須の予定。
話の面白さとか、そういうものではない。
難解な言葉は特に無く、ただよくある男女のもめ事が
一人称と三人称を混合した視点で描かれているだけ。
だがそれは文章以外に、決して表現できない世界だった。
その表現の奥深くに存在する様々な人間の確かさ。
確かでありながら、多くの不可思議と矛盾。
それらのぐちゃぐちゃと混乱した存在を否定することは
生きて存在している私たちには不可能だ。
これはもう、丸ごとの人間そのもの。つまり実存。
そして物語の結末では「人間は自由という刑に処せられている」という
有名なサルトルの思想を彷彿とさせられた。
サルトルの描いた小さな世界のなかに、
ぎゅうっと詰め込まれたサルトルの哲学、思想、叫び、苦しみ、諦観・・・
それは文にのみ許される言葉による芸術だ。
・・・ということで「水いらず」の感想でした。 -
「部屋」のピエールとエヴが好き。
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☆は全て、「壁」に対してです。
「壁」ほんとよかった。
呼んでいたら、「羅生門」を思い出しました。 -
実存主義
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一指導者の幼年時代、読むべし。
サルトル、かっこいい。
うちふるえる。
珍しく二回読んだ。
それというのもインドの空港で30時間過ごさねばならなかったのでこれが無かったら孤独死していたと思う。
19冊目。