暗号解読(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159729

作品紹介・あらすじ

文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読され処刑された女王。莫大な宝をいまも守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話…。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の「はじめに」から心を鷲掴みにされた。著者のサイモン・シン氏は、一体何者なんだろうか。目次からして言葉選びのセンスが良い。翻訳も読みやすく、一気に青木薫氏のファンになってしまった。エニグマの章では、連合国が情報戦に強いと言われていた理由が分かった。植民地にまでエニグマを配給し、裏ではその暗号を日常的に解読していたなんて、発想が恐ろしすぎる。

  • サイモン・シン「暗号解読(上)」読了。これまで暗号には関心がなかったけど、とあるプログラミング系のYouTubeの番組で勧められていたので試しに読んでみた。すごく面白かった。ヴィジュネル方陣のからくりに関心しつつ遺伝暗号やプログラミング言語など多方面の文字列に自分の興味が拡がって楽しめた。

  • レビューは下巻にて。

  • めちゃくちゃ面白い本です❕
    サイモン・シンさんの本にハズレなしです。
    暗号作成者と解読者との壮絶なるストーリーにグイグイ引き込まれます。
    現在もこのストーリーの流れの中にあり、量子コンピューターが出来れば、暗号の多くは解読されてしまうみたいですが、その時には別の暗号をもうすでに考えてあるそうです。
    世の中には、頭のいい人がいっぱいいるんですねー。
    ぜひぜひ、読んでみてください。
    お勧めの本です❗

  • 文字を置き換えるだけの簡単な暗号からエニグマ暗号機とそれを解読したシュミット、チューリングまで。歴史が進むとともに難しくなっていく暗号の歴史。順に説明してくれるのでとてもわかりやすい。

    日本語だと同じような暗号システムは考えづらいなあと思う。

  • 著者は「フェルマーの最終定理」を著した、サイモン・シン。

    スコットランド女王のメアリーの処刑という歴史的事件から始まって、カエサル暗号からエニグマまでを解説する。

    単に暗号の構造を解説するだけでなく、そこにまつわる歴史的なエピソードもふんだんに盛り込まれている。

  • 『フェルマーの最終定理』を読んでから、ずっと読みたいと思っていた本。
    換字式暗号は最も単純な暗号とはいえ、古代ギリシャの頃にこれが考え出されていたというのは凄いなと。また、スコットランド女王メアリーのエピソードも知らなかったので、面白かった♪ルネサンスの頃に既に暗号が解読されるか否かで歴史が動いていたんですね!
    こんな感じで1章目から感心しっぱなしという感じでした。
    特に上巻の後半、第二次世界対戦でドイツ軍が使った暗号機エニグマについての話になってからは面白さも倍増で夢中になって読みました^^
    下巻も楽しみ♪

  • コンピュータサイエンスに興味を持ってほしいと思う親が子供に薦めると良いかもしれない本。
    または、これからコンピュータサイエンスに進む大学生に読んでほしい本。
    あらゆる分野でコンピュータが必要になった今日の、技術の歴史が要約されている。

  • 難解さゆえに知的好奇心をくすぐる作品です。
    人類が生み出した最も知的パズルである暗号の歴史をできるだけわかりやすく解説しようと努力している意図が伝わり(にもかかわらず、十分に難解です)、その発展の歴史は戦争という野蛮な行為抜きには語ることができないのも皮肉ですが・・
    暗号は、他人に知られたくない秘密の文書を直接伝えることのできない相手に届けるために発明されたものですが、暗号を考える人と解き明かす人との攻防により、より高度で難解な暗号として発展することになりました。
    特に、死命を決する戦争という状況での伝令はまさに国家の存亡がかかっているわけで、科学者や数学者たちが戦争協力者として極秘に招集されチームとして解読に当たっていましたが、(下巻で難攻不落で有名な「エニグマ暗号」にチャレンジした孤高の天才、アラン・チューリングがでてくるあたりではやっと知っている事例がでてきたこともありホッとします)、結局は彼らの功績や貢献は戦後も機密扱いとされ正当な評価を受けずにいたという事実は悲しい話です。
    それにしても、当時のドイツ軍暗号の難解さは、ゲルマン民族の知的水準の高さを表しており(音楽や小説などの芸術分野でも秀でている)、連合軍が苦しめられていた様子がよくわかります。
    そして、現代における暗号はネット社会での安全性の担保(個人情報が漏洩しない、勝手に国家権力に利用されることがないなど)という大事な役割を担っているようです。とはいえ、こうした暗号の発展を手放しで喜ぶのは危険で、近未来での量子コンピューターの登場は、おそらくネット社会の存続自体を不可能にしてしまう危険性がある(どんな暗号も意味をなさない)点は留意しておくべきでしょう。
    1999年出版の原書では、作者から懸賞問題が提示されており、(2000年10月1日までに全問(または最も多く)正解した人に1千ポンド(約15万円)と栄誉が与えられるとされ、2000年10月7日にスウェーデンの5人組によって全問正解された)、巻末にには問題と解答と解説が収録されていますが、私はさっぱり内容が理解できませんでした。
    サイモン・シンの翻訳を数多く手掛ける青木氏が本書のあとがきで、暗号の歴史を読み解くアプローチには軍事面や数学面にフォーカスすることもできたのだろうが、あえて人間に焦点を置くことで、「血なまぐさい謀略や裏切りの連続であるはずの暗号の歴史が、卑小も偉大もひっくるめた愛すべき人間の営みとして浮かび上がってくる」からこそ感動があると、本書の魅力を的確に言い表しています。
    そう、これだけ難解な本がベストセラーになるのにはちゃんとした理由がありました。

  • 情報化社会が進み現代ではなくてはならない「暗号」。本書では暗号がどのように歴史に携わってきたか、また暗号ひとつで歴史が変わった瞬間などがドラマティックに描かれております。一見誰にも打ち破られなさそうな暗号の驚くべき解き方も載っているので、謎解きに挑んでも楽しい一冊。解読者に打ち破られては生き物のように進化し続ける暗号の歴史をお楽しみください。
    (理学系物理学コース M1)

  • 初期の頃の暗号は自分で頻度分析で手を動かして解けた。
    解けたときの快感たるや。
    エニグマは、大学入試の英文に出てきたときに初めて知ったが、それをこんなに分かりやすく知れるのは素晴らしい。

  • 歴史は戦争の記録だという有名な言葉がある。その中で華々しくクローズアップされる「民族の英雄」もいれば、表に出てこない功労者たちもいる。
    この『暗号解読』という本は普段日が当てられることがない情報戦を明るみに出してくる。
    こちらの情報を知られないよう複雑な暗号を生み出し、敵の情報を握るべく日夜研究する人々を取り上げている。

    情報が筒抜けになる恐ろしさは、ミッドウエイ海戦がよく知られている。日本軍はここで敗北し、それ以後どんどん追い詰められていったのは有名な話だ。
    「第2次大戦中にほとんど海外に知られていないナバホ族の言語が暗号として使えることに注目し、実際に利用していた」という解説があり、ああそういやそんなことがこの本に書いてあったなあと思い出した。
    ほかにも、とっくに解読した暗号機「エニグマ」を植民地に解読したそぶりも見せず下げ渡して、植民地の情況をしっかり探っていたというのは戦略としては正しいのだろうけど、えげつないね……。

    暗号の解読は第二次世界大戦で使われたエニグマまでしかついていけなかったが、読んでいてわくわくしていた。
    暗号を解く知的興奮だけでなく、暗号を解いた人々やその置かれた社会情勢を含めて面白い。

    もちろん情報戦ばかりではなく、古代文字も一種の暗号と取らえてシャンポリオンがどうやって解読したのか、プライバシーを守る暗号や、未来の暗号はどのようなものかも書いている。
    そして公開鍵番号は以前解説されたときもわかったようなわからないような微妙な気分になり、それを上回る量子論はさっぱりわからなかった。もっとものを知れば理解できるようになるんだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「読んでいてわくわくしていた。」
      難しいけど楽しませて呉れるライターですよね、サイモン・シンは。。。
      その中でも「代替医療のトリック」が一番...
      「読んでいてわくわくしていた。」
      難しいけど楽しませて呉れるライターですよね、サイモン・シンは。。。
      その中でも「代替医療のトリック」が一番お気に入りです。
      2013/03/28
  • やはりサイモン・シン、面白い。

    ただ、最後は量子コンピュータについての話が出てくるんだけど、何のこっちゃ分からん\(^o^)/
    「エニグマ」あたりがギリギリ肌感を持ってついていけるので楽しめた。

  • 子どものころ暗号作り、やったなあって懐かしい。秘密を守りたい、秘密を暴きたい、人間の根本的な欲求に沿った「暗号化・複合化」と「暗号解読」の世界は、現在も続いている歴史を紐解くとそれだけ真剣で深い戦いの歴史があった。壮大。久々に一気に読んだ本。
    メモ:単純な置き換え暗号からヴィジュネル暗号に、エニグマ機、アリスとボブとイブの鍵配送、そして量子コンピュータ。

  •  暗号解読はなぜかくも面白いのだろうか。暗号の魅力にとりつかれるのは、最先端の数学者やコンピュータ技術者だけではない。文字を理解し始めた子どもですら、メッセージを絵や形から読み解く「パズル」や「宝探しゲーム」に夢中になる。人間の営みの中でもこれほどまでに人を虜にするものが他にあるだろうか。
    本書はどうしようもなく暗号に魅かれてしまうその「暗号欲」とも言うべき人間の欲求に、たっぷりと答えてくれる。読み終わった後は、何だか世界の大いなる秘密を知ってしまったかのような満足感が残る。
    人間は本来、隠すこと、隠れること、そして隠されたものを見つけることを「楽しい」と思う動物なのかもしれない。そういえば、子どもは「かくれんぼ」が大好きだし、赤ん坊ですら「いないいないばあ」には強い興味を示す。
    そんな人間の、隠すことと見つけることへの欲望によって紡がれるドラマには、人間の知と力と金が存分に注ぎこまれてきた。そして今や暗号は我々の日常に寸分のすきも無く入り込んでいる。もう我々は暗号の無い生活には後戻りできないだろう。
    とにかく人間について、人間の欲望について考えさせられる一冊である。

  • 「フェルマーの最終定理」コンビの、作者・サイモン・シン氏&翻訳・青木薫さん。同じような難解なテーマを取り上げたが、「フェルマー」ほどは人間くささが感じられず、量子コンピュータなどは???という感じだけが残り、ちょっと残念。でも面白かったよ。

  • エニグマ暗号機のあたりもの凄く面白かった。暗号作成方法が詳しすぎるのでそこでちょっと飽きるかも。

  • アラン・チューリングは現代のコンピュータの基礎を作った人なので、もっと多くの人に知られるべきだと思った。チューリングのように活躍した人でも、その社会の中で差別されてしまうと、生きてきけないことに恐ろしさを感じた。そういう人たちがいることで今があることを再認識させられた。

  • 809-S-1
    文庫(小説・エッセイ以外)

  • 『フェルマーの最終定理』を読了後、本書にも興味がわいた。スコットランド女王の悲劇から、暗号の必要性と、その暗号を復号する人々の努力と苦悩を知ることができた。単アルファベット暗号、ヴィジュネル暗号という基礎的知識も得られた。ビール暗号が現在も解読されず、ガリンペイロを魅了していることも初めて知った。本書の約半分を占める第3~4章は、あの有名なエニグマ(謎)だった。もし傷心の元ドイツ軍人がいなければ、エニグマの謎は解けなかったかも知れない。

  • 夢中になって読めた。こんなの絶対に解けないだろうと自分でも思える暗号が、幾度も解かれていく様は気持ちがいい。説明もわかりやすい。

  • 人類の歴史を振り返ると、通信の秘密が敵に知られないことは何よりも増して重要な課題だった。

    通信内容が知られるか知られないかで、膠着状態にある物事が一気に解決に向かう。場合によっては、暗号が破られないか否かに人の生命がかかっており、暗号作成と解読を繰り返しながら複雑に進化してきたのが暗号の歴史といってもいいのかもしれない。

    最初はごく簡単なカエサルシフト暗号から第二次世界大戦におけるドイツ軍のエニグマまでの変遷が上巻は描かれる。


  • YouTubeの「ゆるコンピュータ科学ラジオ」で『暗号解読』が取り上げられていたのがきっかけで手に取りました。
    暗号の世界については何も知識がない状態から読んだので、古代で使われていたシーザー暗号からヴィジュネル暗号、エニグマ機までどれもワクワクしながら興味深く読みました。
    上巻の最後、エニグマ機の詳しい解説などは私には難解すぎたのでサーっと読んでいきましたが、知識を持たない人にもわかりやすく書いてくれている印象を受けました。

  • 歴史において長い間、暗号作成者と暗号解読者の戦いは、暗号解読者優位が続いていた。(多くの暗号は解読方法が発見されてきた)というのが、現代とギャップがあって面白いポイント。

    暗号史において、エニグマ解読にまつわるエピソードがやはり一番の読みどころ。

    72

    コード:単語やフレーズを置き換える暗号(暗号化することをエンコード、解読することをデコードという)

    サイファー:文字を置き換える暗号(暗号化することをエンサイファー、解読することをデサイファーという)

    平文(ひらぶん)と暗号文

    48 アルファベットを別のアルファベットに置き換える暗号は、各文字の出現頻度のばらつきを分析することで解読ができる。

    161 ビール暗号の話(開拓時代のアメリカで財宝を埋めてきたという男の暗号)

    193 電波の発明により、暗号の重要性が高まった

    233、257 ドイツ人のシェルビウスがエニグマを開発。最終的にドイツ軍がそれを採用することに決まった

    237、270 一般的に暗号作成者は繰り返しを避けたがる。「反復は機密保護の敵」

    280 エニグマ解読を最初に成功したのは、ポーランド人数学者、レイシェフスキ(後にエニグマの暗号が強化されたため、イギリスとフランスの協力が必要になる)

    298 アラン・チューリングの参加。エニグマ解読成功後も長い間、解読に成功していたことは、チューリングの死後数十年間、1974年まで公表されなかった。

  • 暗号開発と暗号解読の歴史本。
    素人も暗号の仕組から理解できます。

    暗号の歴史に与えた影響の大きさと、その特性ゆえに生きてる間に功績が認められなかった人々の存在に心震える。

    エニグマの凄さとか、暗号鍵の大切さとか、お腹の底に響きました!

  • 『フェルマーの最終定理』が面白かったので、こちらも読んでみた。
    結果的にいうとフェルマーの最終定理ほどはハマれなかったが、アメリカ軍が先住民族の言葉を暗号に使った話や、古代文字の解読などはとてもおもしろくよめた。上下どちらも⭐︎3にしているが、厳密にいうと上⭐︎3、下⭐︎3.5といったところ。
    戦時中暗号に纏わる場所で活躍していた人々が、秘密保持の観点からその活躍を世間に長い間知られてはいけなかったのは切ない話である。
    下巻のエピソードの感想は下巻のレビューに。

  • 誰にだって秘密にしたいメッセージがある。メッセージを暗号化した歴史は長く文字を入れ替え表を使い機械を発明し……暗殺を、宝の場所を、戦争の状況を伝えてきた。
    暗号を制したものだけが笑うことが出来る。が、私にはこんな忍耐力はない!

  • 面白かった
    エニグマのあたりは知ってたけど理解深まった

  • サイモン・シンの『暗号解読』を一気に読んだ。
    これまでにサイモン・シンは『ビッグバン宇宙論』と『数学者の楽園』と『フェルマーの最終定理』を読んだ。サイモン・シンはハズレはないが、その中でも今回の『暗号解読』は最高に面白かった。
    紀元前のオリエンタルの古代の単純な暗号から、最新の量子暗号まで、時代を追って色々な暗号技術の歴史が語られている。
    しかも基礎知識のない素人でもその暗号の技術がよく理解できるだけでなく、新しい暗号技術の開発とそれの解読に挑戦した科学者たちのドラマと歴史に及ぼした影響を目の前の出来事のように楽しめる。
    特に最終章の量子コンピューターと量子暗号に関しては、たった1章が割かれただけなのに、これまで読んだ色々な本と比べても面白くてわかりやすかった。

  • 面白かった。ただ途中の詳しい暗号の原理は難しくてさらっと読んだ。世界史選択じゃなくても十分楽しめる。エニグマのところは映画『イミテーションゲーム』で既習ずみだったからより楽しめた。

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著者プロフィール

イラストレーター

「2021年 『世界じゅうの女の子のための日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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