十二枚のだまし絵 (新潮文庫 ア 5-18)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102161180

感想・レビュー・書評

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  • どうしても欲しい高価なネックレスを手に入れるための、見事な策略を成功させた人妻を描く「割勘で安あがり」、夕刻車で友人宅へ向う途中に追跡車に気づき、必死で逃げる女性の恐怖とその意外な結末「高速道路の殺人鬼」、四通りの全く違う結末が用意され、読者が好きなものを選べる「焼き加減はお好みで…」など、いずれも奇想天外なアイディアと斬新な趣向を凝らした十二編を収録する。
    原題:Twelve red herrings
    (1994年)
    — 目次 —
    試行錯誤
    割勘で安あがり
    ギダー・モーティマーの右腕
    バクダッドで足止め
    海峡トンネル・ミステリー
    シューシャイン・ボーイ
    後悔はさせない
    高速道路の殺人鬼
    非売品
    TIMEO DANAOS
    眼には眼を
    焼き加減はお好みで…

  • 刊行当時は「だまし絵」の邦題で納得されていたのかなぁ。

  • 「高速道路の殺人鬼」と「眼には眼を」が出色の出来。

  • 〇 総合評価 ★★☆☆☆
     翻訳モノの短編集はあまり面白くないことが多い。原因は文化の違い。ちょっとした小話やネタの意味が分からないので面白さを感じにくい。この作品は12作品のミステリ…というより世にも奇妙な話系の話がある。そもそものオチ・ネタが弱く,話づくりがそれなりにうまいというイメージ。これだけの話づくりのある作家であれば,日本人で日本人に分かりやすい小ネタを入れてあれば,それなりに楽しめる作品を量産しそうではある。
     それでも,よく分からないアメリカンジョークはそこまで多くない。よって,★3程度には楽しめる作品がそれなりにあった。しかし,やっぱり何か違う。最後の「焼き加減はお好みで…」など,蒼井上鷹などの日本人作家が書いていたらもっと細かい部分に「なるほど」と思わせる技巧をこらした作品にしていたと思う。全体的に大味。★2かな。

    〇 試行錯誤 ★★★☆☆
     法廷モノ。ジェレミー・アレクザンダーという男と妻に裏切られた男の話。80頁ほどある中編で,メインの一篇なんだろう。ちょっとした叙述トリックがある。妻と友人に裏切られた主人公のリチャードは,殺人罪で1度裁かれ,殺人未遂でもう一度裁かれることになる。
     主人公のリチャードが,妻と友人であるアレクサンダーにはめられ,アレクサンダー殺しの罪で裁かれるが,実はアレクサンダーは生きていて別人になりすましていたというもの。富豪である主人公のリチャードは,私設の捜査員を雇って真相を暴く。法廷モノでありサスペンスでもある。これはそこそこ面白かった。★3

    〇 割勘で安あがり ★★★☆☆
     ミステリではなく,ちょっとした小話。ある魅力的な女性が二人の男に半分ずつ金を出させて高価なプレゼントを買わせるというだけの話。これだけたわいのない話をそれなりに読ませる短編小説に仕上げるジェフリー・アーチャーの話作りの上手さが発揮されている。★3で。

    〇 ダギー・モーティマーの右腕 ★☆☆☆☆
     昔のボート・レースの英雄ダギー・モーティマーが八百長をしていて,そのためにせっかく主人公が買い戻したダギー・モーティマーの右腕がまた廃棄されるというだけの話。オチもないし,あまり面白くもない話。★1

    〇 バグダッドで足止め ★☆☆☆☆
     サスペンスに近いノリ。バグダッドから亡命した男が飛行機のトラブルでバグダッド空港で降ろされ,住んでのところでバグダッド政府に連れ戻され、死刑になりそうになるがなんとか助かるという話。しかしオチの部分,なんで主人公のゼーバリが助かったのかが腑に落ちない。★1

    〇 海峡トンネルミステリー ★★☆☆☆
     主人公と友人の作家の話。女が絡む。主人公の作品を読んでいない友人が,女から聞いたあらすじを自分の作品のように話,その内容が主人公の書いた作品だったというオチ。それなり。★2

    〇 シューシャイン・ボーイ ★★★☆☆
     北大西洋の真ん中の島に赴任した男のもとに,総督が急にやってきて,急場しのぎの使用人で対応するが,見抜かれていたというオチ。三谷幸喜の舞台やドラマのようなシチュエーションコメディ。デキはそれなり。★3で。

    〇 後悔はさせない ★★☆☆☆
     生命保険がらみの話。健康診査で友人の尿をだして審査を欺くが,生命保険会社員の罠で見抜かれる。しかし,最後は,嘘をついた男も自然死で死んでしまい,生命保険を得るという話。話づくりはうまいがオチは予想の範囲。★2かなぁ。

    〇 高速道路の殺人鬼 ★★★☆☆
     殺人鬼が後ろから追い掛けてきた車ではなく,女性の車の後ろに乗っていて,後ろから追い掛けていた車はそのことを教えようとしていたというオチのサスペンス。それなりに面白い。★3

    〇 非売品 ★★☆☆☆
     画家の卵の少女が,画商で出会った男に裏切られる話。しかし,画家としては成功の兆しがある。最後に事故に遭い,その事故が報道されたおかげで有名になる話。つまらなくはないが,面白くもない。★2

    〇 TIMEO DANAOS… ★★☆☆☆
     銀行員が旅先でお土産の銀の食器セットを買おうとする話。都会に近づくにつれてお土産の価格が上がり,最後は騙されて遠くの店で結構高めの値段で買うことになる話。★2

    〇 眼には眼を ★★★☆☆
     眼が見えないと嘘を言っている被告人に対し,敏腕弁護士が眼が見えていることがばれていると知らしめるために義眼の弁護士の眼をはずさせるという話。これはそこそこ。★3

    〇 焼き加減はお好みで
     映画館で女性に出会う男の話。後半部分が4種類に書き分けられる。4通り別々の結末を用意しているだけで,他の話と何か関連があるとか,そういった趣向がない。特に面白くもない。★2

  • 読んでる過程は面白くてどんな結末なんだろう、とサクサク読めるけど結末はがっかり。焼き加減…は、四通りの結末があって結末はパッとしないけど、楽しい試みだと思った。

  • お勧めです。

  • 今回の短編はこれまでの12編のお話より、物語性が高く落ちもストンと分かり易いものでした。
    最後のお話の「焼き加減はお好みで」は結末を読者に委ねるもので、全部読んでしまいましたが、確かに焼き加減で味が違うものが賞味できました。

  • あんまり記憶に残らなかった

  • ジェフリー・アーチャーを読むのはこの短編集が初めてだったが、なかなか面白かった。

    個人的には『試行錯誤』『割勘で安あがり』『バグダッドで足止め』『非売品』が好き。

    特に『バグダッド~』は手に汗握る展開にひやひやした。

  • ジェフリー・アーチャーは短編集と長編を交互に発表していますが、短編集の中でも「12枚のだまし絵」「12の意外な結末」「12本の毒矢」の3冊は着想も構成も非常に良くできており、おすすめの短編集です。

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著者プロフィール

ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Howard Archer)
1940年生まれのイギリスの政治家、小説家。一代貴族の貴族院議員。オックスフォード大学卒業後に政治家に。大ロンドン議会議員、庶民院議員(3期)、保守党副幹事長などを歴任したが、 1973年に投資で失敗して財産を全て失ったことを契機に、1974年10月の総選挙時に政界から退いた。
1976年に発表した『百万ドルをとり返せ!』が大ヒットして借金を完済、1985年に政界復帰し党副幹事長を務め貴族院議員に列されたが、偽証罪によって2001年に実刑を受け服役。2003年以降、作家活動を再開した。
代表作に『プリズン・ストーリーズ』、『クリフトン年代記』シリーズなど。

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