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- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102165461
感想・レビュー・書評
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フリーマントルの醍醐味は、登場する人物が権力との勝負に勝つところであると後書きで書いてあった。本作は、非常にアカデミックな仕掛けにテーマを置いていた為に、未消化になっている印象を受けた。ストーリー構成を起承転結とするならば、上巻が起と承の前半であり、下巻ではフォートデリックでの研究者同士の反目をベースとした承の後半、バイカル湖畔で見つけられた新石器時代の同様の症例と思われる多数の死体を発見するという転のパートと原因特定に向かう結の部分が描かれる。このストーリーの流れを横糸にマキャベリ的な政争を含む人物描写が縦糸に描かれる。なにせ横糸の流れが複雑過ぎて縦糸が煩わしい。むしろ、250万人がその時点で死んでいるので超自然的な死体の発見ではなく、現代で亡くなってしまった患者から演繹的に導いていく方が自然と思える。おそらく、地球温暖化による遺物化した病素の復活のメタファーとして登場させたと思うのだが、余りに唐突すぎたのが残念である。
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生物学的な観点からの発想はとても面白いし、寿命に関する学術的な説得力もあります。一方で政治の駆け引きが前面に出てくるからなのか、翻訳力のためなのか、ストーリーに入り込むことができません。随所に―――というような翻訳があって、そこが気になって仕方がなくなってきました。