サンタクロース少年の冒険 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102181522

作品紹介・あらすじ

不死の妖精たちが暮らすバージーの森に、ある日突然赤ん坊が迷いこんだ! クロースと名付けられたその子どもはすくすくと成長するが、人間たちの厳しい暮らしぶりを見て森を出ることを決意。子どもたちに夢を与えるため、玩具作りを始めたクロースだが、世界には人間に嫌がらせをする怪物が跋扈していて……。『オズの魔法使い』の作者が子どもたちのために書いたクリスマス・プレゼント。

感想・レビュー・書評

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  • オズの魔法使いの作者が描く世界的にもあまり類を見ない「サンタクロースの伝記」が、100年の時を経てようやく日本に初上陸。

    装丁と挿絵を担当したのは、『大家さんと僕』で有名な矢部太郎さん。

    著者の世界観が美しいからか、ライマン・フランク・ボームさんの作品はどれも装丁が美しく感じる。

    さて、日本でも知らない人はいないほど有名なサンタさんだが、意外にも彼の謎は多い。

    クリスマスをテーマにした小説の中でもサンタクロースが主人公の小説はめずらしく、著者の想像の世界とは言えどもサンタさんの人生を知れてよかった。

    作中では子供たちのために毎日おもちゃを作り届けるサンタクロースだが、そんなサンタクロースの姿が、子供たちのために数多くの素敵な物語を残した著者の姿に重なってならない。

    物語を通して多くの感動を与えてくれた著者は、私にとってはサンタクロース同然の存在だ。

    この作品も、私の今年の最高のクリスマスプレゼントとなった。

  • 時期的には1ヶ月程、先駆けていると思ったのだが、近所の図書館に面展で置かれているのを見て、気になり、つい借りてしまいました。

    内容は、サンタクロースはこうして誕生したんだよといった子供向けの物語で、文体が大きく読みやすかったり、矢部太郎さんの、ほのぼのとしたイラストも馴染みやすく感じました。

    また、子供向けということで、お伽話の要素が色濃いのか、私には奇妙に面白く感じられる点もありました。

    理由も分からず、いきなり森で泣いていた赤ん坊の「クロース」を、不死の種族の「ニンフ」の「ニシル」があっさり掟を破って、人類の入ったことのない森での子育てを、樵の長に請願するのだが、これが意外に、正論で論破するやり取りで許されるのが面白いと思ったら、緩い設定の悪役と不死の種族がクロースの為に、戦争を始めたりと大味な展開もあったりして、なんか面白い。

    ただ、面白いだけでは終わらず、クロースがおもちゃを手作りして、直接子供に渡して、子供が大喜びする。すごくシンプルな場面だが、これにすごく心を動かされました。

    子供というのは、弱くて、まだ独り立ち出来ない存在であり、周りの大人による、きちんとした庇護が必要であることを、クロースは分かっていて、自作のおもちゃで子供を喜ばせたい、その一心でサンタクロースへの道を歩き始める、クロースの無償の親切さは、物語の中で、作者自身がその親切を、闘いや政治や学問よりも尊ぶ表現をしていることもあって、改めて私自身、すごく大切な事を再認識した気持ちになり、大人が読んでも、何か感じることがある作品だと思いました。

  • 不死の妖精たちが暮らすバージーの森に捨てられていた人間の赤ちゃんは、ニシルに育てられクロースと名付けられました。成長したクロースは子ども達に夢を与えるため、玩具づくりを始め、、、という「オズの魔法使い」の著者による、サンタクロースの生涯と冒険。古めかしさを感じず宗教臭くもなく且つ、グローバル。時代の移り変わりも感じ、奥行きのあるサンタクロース像が描かれていて、もう、サンタクロースとは、これ。で、いいとすら思える完璧な物語でした。流石だなぁ。ブラボーーーー 厶。⬅台無しw

  • 可愛らしい温かい気持ちになれる本でした。
    こうやってサンタさんがおもちゃを届けてくれるようになったんだなぁと納得のいくストーリーです♪

  • とても優しい物語だった。短い話だが、ファンタジーの良さが詰まっていて、しばしおとぎの世界に浸ることができた。ただし、話の筋自体は極めて論理的で、いかにして今のサンタクロースが成立したのかが順を追って説明されており、そこがまた面白かった。私の中では、これをサンタクロースの正史にしようと思う。

    一つ気になるのは、本文の雰囲気と挿し絵のテイストがやや合っていないこと。もう少し写実的な絵の方がしっくりくるような気がした。もっとも、この表紙にひかれて購入したので、これはこれで良いのかもしれないが。

  • 福音館の古典童話で、完全版のオズを読んでから、ボームの作品のあっけらかんとしたところ、説教臭の少なさ、など現代的な感覚が気に入ったので、ちらっと見かけたこの本を読んでみた。
    冒頭、人間の子が、不死の世界で妖精たちに育てられ、愛され、そしてそこを去る様子は、アーサー王のランスロットや、十二国記のタイキを思い出す。
    しかし、アークやリル、ヌーク、オーグワなど、知らない単語ばかり。(ニンフはアーサー王でおなじみ。)元ネタは北欧神話かな?
    サンタクロースだけど、キリスト教色が少なくて神話のようなおとぎ話で読みやすかった。我慢が美徳、というのが存在せず、主人公の生活の糧はすべて不死の世界が手伝うので、主人公はおもちゃ作りに集中、というのも好感がもてた。あらすじは単純で、サラサラした話だったけど、最後にはおもちゃ屋や両親がサンタクロース代わりになる経緯まであり、ここも現代的な、かつ、アメリカ的な感覚が見えて面白い。
    役者による解説もとても良かった。
    イラストは可愛らしいのだけど、作品の世界観とは合わない気がしてもったいなかった。
    山田章博、皇なつき、水谷玉緒、波津彬子とか、そういう耽美系にニンフをかいてもらったらよかったとおもう。

  • クリスマスが近づいてきたので、心に優しい物語を読みたいなと思い、手に取りました。
    このお話を読んで、『サンタクロースって、いつ、どこで誕生したんだろう?どうして子どもたちにプレゼントを配ってくれるんだろう?』という、私の子どもの頃からの疑問が解けました。


    この物語のなかで、私が出会った一番好きな言葉を書き記します。

    (引用)102ページ
    『子ども同士は同じなのではないかしら。同じものでできているでしょう。富は服のようなもので、身に着けることもできるし、うばわれることもあるけれど、子ども自身は変わらない。』

    私は思いました。
    どんな子どもでも、楽しいことが好きです。褒められたら嬉しいし、誰かから優しい言葉をもらえたら元気になれる。そして、誰かと一緒に笑い合うことで、幸せを感じられる。

    ひとが人であることで、傷つけ合い、奪い合い、涙を流すこともあります。
    でも、誰だって、幸せを感じたいのです。

    それを叶えたいと願った先人の誰かが生み出したサンタクロースという存在を、ますます好きになりました。

    人が人を想う。
    その気持ちが大切なんだと気づかせてくれる優しい物語。
    ぜひ、一度手にとってくださいね。

    ちなみに、私は小学生の息子に読み聞かせました。

  • 矢部太郎氏の愛らしい表紙に惹かれて読みました。
    不死の妖精が暮らす森に迷い込んだ赤子がクロースと名付けられて妖精に育てられ、自分と同じ人間と言う種族を知り、その子供たちに手作りの玩具を与えるように。
    人間であるクロースがその功績を認められて不死の者になり、毎年子供たちにプレゼントを贈る理由が書かれた童話でした。
    ほのぼのとした内容が挿絵と合っていました。
    煙突が無くてもプレゼントを渡すことができる理由もちゃんと書かれているのが微笑ましかったです。

  • いい意味で絵本というか童話だな〜という感想です。子供でも読みやすいのではないでしょうか!
    サンタさんへの感じ方?が少し変わりますねw
    ザ・ファンタジー!

  • サンタクロースのお仕事と今の世の中を無理なく、上手に繋げた心温まる物語。大人でももう一度サンタクロースの夢を見ることができそう。いつかのクリスマスに、誰かにプレゼントしたい。

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著者プロフィール

ライマン・フランク・ボーム
1856年、アメリカのニューヨーク州に生まれる。裕福な父親をもち、病弱だった少年時代は、家庭で教育を受けながら、読書や詩作、物語の創作をして過ごした。新聞の発行や演劇の興行など、さまざまな職をへたあと、四十代で童話の創作を始め、1900年に発表した『オズの魔法使い』で大成功を収めた。以後、読者の要望に応えて全14巻のオズ・シリーズを執筆している。1919年逝去。彼の死後もオズ・シリーズは他の作家によって書きつがれた。

「2022年 『オズの魔法使い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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