- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102184615
作品紹介・あらすじ
四色あればどんな地図でも塗り分けられるか? 一見簡単そうだが、どうにも証明できない難問として人々の頭を悩ませ続けた「四色問題」。ルイス・キャロルをはじめ幾多の人物が挑戦しながら失敗。一世紀半後、ふたりの数学者がコンピューターを駆使して解決するが、「これは数学じゃない」と拒絶反応も。天才たちの苦闘の歴史を通じ、世紀の難問が解かれるまでを描く興奮の数学ドラマ。
感想・レビュー・書評
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ロビン・ウィルソン「四色問題」読了。どんな地図でも四色あれば数ある国々を塗り分ける事ができる。1750年頃から始まったその証明に至る経緯と数多の情熱からこのシンプルな問題に潜む奥深さを垣間見た。またこの証明には数学史上初めてコンピュータが活用され物議を醸した事を知り時代の転機を感じた
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他人からしたら些細なことを一生懸命に取り組む人々の物語。この手のノンフィクションは大好き。しかも「四色問題」はまさにその「些細なこと」の代表と思います。
「四色問題」とは「四色あれば、どんな地図でも隣合う国々が違う色になるように塗り分けることができるのか?」という問題。一見簡単そうに見えますが、世紀の難問です。本書はこの問題に取り組んだ1世紀半に渡る人々の挑戦を描きます。
四色問題が初めて提起されたのは1852年。それ以来、この問題に熱狂したのは数学者だけではなく、ルイス・キャロル、ロンドン主教、カリフォルニアの交通巡査などなど様々な人々。そして手法は単に塗り絵だけではなく、ケンプ鎖、C可約、D可約、不可避集合、放電法といった奇怪な概念が並びます。そして1976年、2人の数学者がこの問題を解きます。彼らの方法はコンピュータに1000時間以上も計算させるというもの。しかし、数学者の間では、人間の手で結果を直接確認できないのに問題が解決されたと考えてよいのかという批判が起きます。本書を読了すれば、その批判も心情的に理解できます。
著者のロビン・ウィルソン氏は多数の著書を著した数学者。脳科学者に茂木健一郎さんの翻訳もわかりやすく、娯楽性の高いノンフィクションになっています。ただ、本書で紹介されている理論はなかなか難解。それでも、わかった気にさせてくれて、数学物語の面白さは味わうことができました。お勧めの1冊と思います。 -
翻訳がひどくて読めたものじゃない。
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415-W
文庫 -
原題 FOUR COLOURS SUFFICE
四色あれば、どんな地図でも
隣り合う国々が違う色になるように
塗り分けることができるのか?
四色あれば足りる(four colors suffice)
ようやく読めた。嬉しい。
1852年10月23日の一通の手紙から、1976年7月22日の証明の発表まで、124年。
簡単そうに見えて恐ろしく難しい問題、証明に人生を賭ける人々、考え出された様々な証明方法、ついに証明、でも「あんな解は数学じゃない」という拒絶反応…やっぱ面白い。
〝美しくない〟1936個(翌年1482個、最終的には1405個にまで減らされた)の可約配置の不可避集合の構築と、正しさが確認できないコンピューターによる検証。
「数学は、簡潔でエレガントであるべきなのに」
〝途方もない偶然の一致のように見える〟
としても証明は証明だ。新しい概念の。
尚、地図製作に携わる人たちは、四色問題を全然重視してない。こういうのも好き。
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近代に説かれた数学の未解決問題の解決に関連する成果として、ヨシオ シマモトという人が、シマモトの馬蹄形という問題を提起し、D可約性を課題とする環の大きさが14の配置に関する課題があったということを知りました。
また、コンピュータを使って証明されたことが、検証の妥当性に疑問や懐疑を投げかけられたということを、この本で初めて知りました。
「コンピュータは疲れを知らない」反面、電磁的な不具合があった際に、検出可能であることが証明されていない場合があるかもしれません。
いずれにしても、四色問題という数学的にしか価値がないような問題を、一部の数学者による批評では美しい数学的手法ではない方法で解決されたということが、数学のおもしろさと、コンピュータのおもしろさを知るきっかけになるかもしれない。
「人生で影響を受けた本100冊」の1冊。https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/16af53acbb147a94172e -
2018.07.09 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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四色問題の証明について、なんとなくのイメージはあったけれど、きちんと全容に触れている本を読むのは初めてだった。その意味では日本語でこういう本が読めるのは良いことだと思う。
新しい概念が散発して出てくるため、一読した今証明の全体像が分かったかというと、そんなことはなく。基本概念、基本手法に関する説明と、人間模様とを、合わせて書こうとするためにかえってわかりにくくなっている気がした。
翻訳書のわりには読みやすい部類だけれど、証明を知りたいという目的で読む本ではないような気がする。
四色問題の証明そのものについては、不可避集合の可約性を示せば良いところまでの道のりが、かなり長いというところが想定していなくて驚いた。
コンピュータでいくつもの例を計算した結果の証明、としか知らなかったけれど、あとは計算するだけのところまでの論証もかなり骨が折れそうだった。
もっとシンプルな証明がありそうなのに、と思ってしまうのは計算機の利用に対する無理解のためなのだろうか。
数学を理解する活動をしたいという欲求がとても刺激された。
170911 -
平面に描かれた地図において、隣接する領域を異なる色で塗り分けるには、最低、何色が必要か。
一見単純なこの命題に、人類は124年もの歳月を費やした。フェルマーの最終定理と同じように、一見単純そうな命題ほど、その証明は困難を極めることがある。
しかもその証明方法は、コンピュータを利用し、「放電」と呼ばれる手法で、不可避集合を見出すことによって、「証明」されたのだ。
果たしてこれは、「証明」と呼ばれるべきものなのだろか。プログラムにバグは無いか? ハードウェアそのものには問題は無いか? それらは誰によって保証されるのか?
数学的な「証明」という行為そのものの意味合いに、問いを投げかけた命題ではあったが、現在、本証明を疑問視する数学者は皆無のようだ。
ただ、個人的には、「エレガントな証明」を切望する。
それが存在するかどうかは、正に「神のみぞ知る」のだろうか。 -
簡単そうで、難しい。