- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102451144
感想・レビュー・書評
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文章で映画の内容が詳細に描かれているところが、読んでいて不思議な感覚になった。
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面白かった。2時にネットカフェで、読みはじめ、読み終わったら8時になっていた。一気に読める。
読後、帰りの車の中で色々頭の中で反芻してみても、顔に痣とか、それぞれのキャラがたっているし、それぞれの行動にいちいち納得がいった。すごく緻密に練りこまれてると感じた。間に挟まれるショートストーリーも印象ぶかく、頭に残る。喜劇と悲劇のコントラストとか、励ますときに下品な言葉を吐かせるとか、色々なところでうまい。 -
ストーリーの中にストーリーを織り込む。
のがうまい。
内省的、なところがいいなぁと思ったが、今回はムーンパレスとは違った。
でも、「ルーツを探す旅」というテーマは、共通している。
喪失感を抱えた人が、出会いをきっかけに自己再生していく物語。
というのを一貫して描いている。
「スモーク」を見た。
主人公は、街の交差点みたいな人、「場」としての存在で、彼がじっとしていようといまいと、その周りで起こる群像ドラマを描いている。
どんなに孤独でも、顔を上げて周りを見てみれば、世界はひらけている、ような気がしてくる。 -
悲劇のどん底にある中年男性が、喜劇映画のワンシーンに救われる。
自己の崩壊から再生。喪失に始まり、喪失に終わる。
すべてが灰塵に帰した世界にあり、絶望的な展開であるにも関わらず、ラストのジンマーの言葉に、未来を生きる人間の強さを感じる。 -
失踪した映画監督へクターを巡る、まるでドキュメンタリーのような物語でした。主人公がへクターについて書いた本や、へクターの作った映画のストーリー、さらにその伝記を書いている女性の語るへクターの波乱万丈の人生、と、小説の中にいくつも別の物語がちりばめられていて、それらが絡み合って全体に複雑な深みをもたらしている印象。それらがすべてタイトル「幻影の書(The Book of Illusions)」=誰にも読まれずに終わった本のイメージに集約されて、なんともいえない余韻が残ります。
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1920年代に突然いなくなった映画監督の人生や、大学教授の人生や、いろいろな人の人生がごちゃまぜになっているお話です。
悲しいけど、美しいお話でした。こんなにいろんな人の人生が錯綜しているのに混乱させないのはさすがだな、と思いました。
ただちょっと叙述が多過ぎて読み疲れるところがあったかも。 -
失意の主人公がある映画監督の人生を 辿ることで味わう数奇な再生の物語。“ 物語の力”ってこういうものだと思うの です。
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ポールオースターの本は2冊目。妻と子供を失ったが、金には苦労しない状況となった私は、昔の映画俳優に関する本を執筆する生活に入る。特殊な設定に対して、細かい描写を重ねることでリアリティが増し、つい引き込まれました。村上春樹やカズオイシグロと同じ香りのする作家ですね。気に入りました。
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学生のお薦め図書 -
おもしろくってぐいぐい引き込まれた.ポール・オースターを読むのはここ何年かの課題で,本屋さんで偶然目に入ったので遂に買って読んだのだが,もっと早く手を付ければ良かったと激しく後悔.
特に,本書は謎解き,入れ子構造,映画,とこちらのツボを激しく突いてくる.最近の英語圏の小説は,ジョン・アーヴィングとか,やたらと長いものが多いが,本書のように中編規模で,しかしながら中身が決して薄っぺらくない,しっかりした小説は久しぶりで,かえって新鮮だった.