恋細工

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003137

感想・レビュー・書評

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  • 良かった、これは。読んだ順番も良かった。
    ぜひ西條作品の「涅槃の雪」「六花落々」を読んでから、これ読んでほしい。水野忠邦、鳥居耀三、鷹見泉石、天保の改革、このあたりの時代背景なども重なっているし、より世情が身に迫るとおもう。実際、このあたりの作品は、参考資料や構想時期なども重なっているのではないかな。でもやっぱ西條作品はお武家の話よりも市井の江戸町民を描いた作品がいちばんすき。まずお凜が好きだ、こういう性格、こういう生き方。お千賀もいいよなあ、ふたりの関係もいい。そしてお清も!じつは一番のキーパーソンでは。時蔵にも、私も惚れたよ。だれかのため、なにかのために自分の大事なものを捧げられるっていうそういう精神が、いちばん涙腺を刺激する。物語の至るところにちりばめられた いろんなひとの「決意」に何度も涙でた。平戸細工とは、はじめて聞いたのだけれど、調べたらなんと美しい技術があったものか。実物みてみたいなあ。繊細で自由な技術。芸術だよね。
    終わり方もすごくよかった。大団円ハッピーエンド、ではないけれど、つらいこともあったけれど、ぽっとひとつ希望の灯がともって、幕。みたいなの、すてきな余韻だった。ひとにも勧めたいし、いつかまた自分でも読み返したい。良作です。

  • 期待した程ではなかったかな。
    最初、何を作っているのか、全く想像出来なくて、話に入っていきづらかったです。
    お千賀ちゃんの姿勢が、すっぱりとして良かったです。
    お凛ちゃんには、やっぱり跡目を継いで欲しかったですね。
    継がない理由が分かりませんでした。

  • 終盤の展開が少し急ぎすぎた
    できればハッピーエンドで終わってほしかった
    でも、とてもいい小説だった。

  • この作家さん、初読みです。前から気になっていた作家さんです。
    序盤から引き込まれて一気に読んでしまいました。簡潔な文章で読みやすいです。錺職人の話だったからかしら。 主人公のお凛や幼馴染の生駒屋の娘お千賀の闊達さも、読んでいて気持ちのいいところ。
    西條さんの別な本も読んでみます♪

  • 本当に面白かったです。
    江戸の頃の時代背景
    銀細工の話し
    職人と、商人の時代背景
    男女の話と
    読み応えがありました。

  • 「技や意匠をいくら精進しても、独りよがりでは優しい品にはならないと」四代目が語る。はっとさせられる、”やさしさ”を持った櫛、簪とは。

    錺職人といえば、「必殺」しか知らなかったけど、当然、師匠/弟子があり、老舗がある。頭領は男性しか襲名できない為、跡目相続をめぐる争いで、四代目が立てた奇策が、お見事。というしかない。

    最後は、予想外の展開となったけど、事件が起きなければ跡目争いは分裂するかも、揶揄する。
    「時蔵は職人ではない」とお凛さんが語る通り、五代目は無理だと思う。お凛さんが前面に出るしかないのか。それはそれで、大変だ。

    幕府の天保の改革と、江戸町民の活力。町民の熱い勢いのようなものを感じる。故に幕末なのかもしれないけれど。

    最後に、秋田の工芸品に秋田銀線細工というものがある。始まりは、秋田藩主・佐竹家とも言われている。数百年前の香炉が残っているかどうかは分からないけれども、まるで、物語が現代に続いているようです。時蔵、お凛さん、そして最後に江戸に修業に来た七郎らが繋いだ技術が伝統となって、いま私たちが目にしているのかもしれない。

  • 結末はちょっと悲しい。
    どうして、時代物は結末を悲しくする傾向にあるんだろう。ハッピーエンドでいいのになぁ。

    主人公は、女性の職人がいない時代にこっそりと修行に励む錺屋の娘。性格も身なりも地味。そして読む限りは顔立ちも普通。なぜもてる。という納得のいかなさは、いかんともしがたいなぁ。。。普通でよかったんじゃない?とそこは興ざめ気味かな?

    修行に打ち込む姿はかっこいいけど、これもまた上手くいきすぎ。逆に片手間でした修行で、並みの職人を出しぬける腕前が身に付くとは思わない。

    外れ者の職人の時蔵との恋も、もう少しときめきが欲しい。

    アンハッピーエンドなおとぎ話といった感じ。

  • また、出てきたよ、水野様と鳥居様。
    この二人がいる時代は、お話になりやすいのかな。
    この時代の「奢侈禁止令」のおかげで、途絶えてしまった日本の伝統もあるのかな、と思いました。

  • 時蔵は,職人ではなくて,天才肌の芸術家だったのですね。あの時代には,受け入れられない存在だったのだろうな。

  • 時蔵とお凛は良い夫婦になったんだろうにな。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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