善人長屋

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003144

感想・レビュー・書評

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  • 丁度間に合いました。今晩から始まるNHK・BS時代劇。

    前振りでこのドラマ「善人長屋」が始まると知り、時代小説など読んだことはないんですが、図書館で借りて読みだす。なかなか、面白い設定、表向きは善人だが、裏はみな裏家業を持つ悪党ばかり、そんな長屋に加助という男が転がり込んで物語が始まる。

    どの話もドキドキ、ワクワク、人情にあふれた長屋の連中にほっこりと。

    「人の運てはそういうものだよ。悪い運にはどこかに必ず、良い巡り合わせもついてくる。それをすくうことができるか否かは、その人次第だ」

    「決して嘘偽りを見抜けないわけではない。人の嘘や悪意から目をそらせ、善意だけを見ようとしている」

    善意と善人は、ちょいと違う、そんな気にさせてくれる「善人長屋」でおます。

    まずは、NHK・BS時代劇、毎週金曜よる8時、BSプレミアム、視ようと。

  • あなたが思う「善人」って、どんな人でしょう?
    困った時に泣きつくとなんとかしてくれる差配の儀右衛門は、人望厚く、その長屋は人呼んで「善人長屋」。そこに住まう人たちも力を合わせて、お困りごとを解決してしまう。さぞや善い人たちなのだろうと思いきや、みな裏の顔を持っていて…
    その善人長屋の空き部屋に、同じ穴のムジナのはずの加助が越してくるのですが、実はこの加助、どう見ても心底善人で…

    とてもよい人情噺なのですが、私は少し苦手かも。実際に私の身近に加助さんのような人がいたら、かなり辛いな。自分の腹黒いところを自覚させられるみたいで嫌になります。
    でも、加助さんにも心のうちに抱えたものがあるようです。続編も読みたいと思います。

  • 面白かったです。「善人長屋」にそんな秘密があったとは(笑)。
    長屋の一人一人に愛着というか情が湧いてきそうです。今度はどんな面倒に巻き込まれるだろうとわくわくしながら読みました。
    こういう人情モノが大好きです^^

  • 店子たちは、裏稼業を持つからこそ、普段は善人を装う。
    ついたふたつ名が善人長屋。
    設定が面白かった。
    裏稼業をしているのも、止むに止まれぬ事情が多く、ひどい悪党には思えない。
    むしろ人情味があって、時にじーんとくる。
    本当の悪を懲らしめる、痛快さもあった。
    書き下ろしエピソードで、話がぐっと引き締まった。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-7a75.html

  • いやぁ、西條さんの人情もの時代小説はいいですね!ゴメスシリーズのような派手さはないけど、ほっこり和めてちょっと泣ける、いい塩梅の短編集だと思います。長屋の住人みなキャラが立ってていいですが、私は特に文さんが好き^^あの兄弟の苦労話とか、お縫ちゃんとのその後なんかも読んでみたいです。

  • これはいい。
    ファンタジーと呼べるほどに上手く事が進んでいくけど、そんなものは気にならないくらい設定と登場人物が魅力的。そして裏家業を持つ人たちの心意気というか、矜持というか、そこに心を打たれる。

  • 話の流れがするすると繋がっていく。短編が書くのが上手い人の文章で、若い人が書いてるのかな?と思ったけれど、1964年生まれの人で驚いた。読みやすい。

  • 裏稼業を持つ長屋の面々。そこに入ってきた善人の加助さん。必殺仕事人の様に格好良くないけれど、頼もしい。人情の厚さが重くならずにさらりと清々しい。

  • この長屋、ただものじゃない! “真面目で気のいい人ばかり”と噂の「善人長 屋」。しかし陰に回れば、大家も店子も裏稼業の凄腕揃い。そんな悪党の巣に、根っ からの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底な しのお人好し……。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子た ちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!

  •  真面目で気のいい人たちばかりが住んでいるからと、付いた名前が『善人長屋』。
     しかし実際は、盗人に情報屋に美人局、騙りなど…裏稼業に手を染める悪党ばかりが集まる長屋だった。
     そこに、過ぎるほど善人の加助がやって来る。
     人助けが生きがいと言っていいほど善人の加助が持ち込む厄介ごとに、長屋の人々は巻き込まれ、人助けを加担するはめに。

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     悪党が主役側なので、読む人によっては、え…それでいいの? て思うかもしれないけれど、まぁ創作なので、その辺はそんなに向きにならなくてもいいのかな、と私は思う派です。
     ただ、盗人には盗人の流儀がある、てルパン三世的な感じで、自分たちだって悪党なのに、より悪い悪党を退治しちゃうところがね、笑っていいのか何なのか。
     気軽に読めば、楽しいかな。

     この本に収録されている書き下ろしの話で、加助さんの素性なんかも分かったりして、これで終わりなのかと思ったら、続刊があるらしいから、続きも読んでみようかな。

著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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