グ、ア、ム

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 340
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103017721

作品紹介・あらすじ

母・姉・妹の女3人、いざ南の島へ!(父は留守番)…しかし、天気も気分も荒れ模様。緊張感漂う2泊3日、壮絶で痛快な本谷流ホームドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 女三人。母、長女、次女でグアム旅行。
    真面目な次女は姉の気ままな生き方をどうしようもなく思っているし、長女はすべて自分の生まれた時代(ロスジェネ世代)のせいにしている。

    せっかくのグアムなのに台風のせいでずっと雨だし、姉妹は仲が良くない。これじゃおかんが可哀そうやろ、ということで姉妹はテンションを上げて仲良しなフリをする。

    最終日の朝、空はエメラルドブルーの快晴だった。
    けれど、次女が痛み止めだと思って飲んだのは睡眠剤でもう台無し。母は、曇天のほうが落ち着く、と言い出す始末。
    長女は眠ってしまった母と次女を驚かせるため、部屋中の時計を進めておくことにした。
    (そのころ、日本にいる父は、飼っていたうさぎが死んでしまったので新しいうさぎを入れ替えていた)

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    素晴らしい喜劇。
    旅先で喧嘩してしまって散々な思い出になってしまいそうなところで、母親のために雰囲気を良くしようと気持ちを入れ替える姉妹だったけど、結局うまくいかない。ぜんぜん関係ないところで父親も意味不明な行動をしている。
    いかりや長介さんなら「だめだこりゃ」で締めるような終わり方。感動も感傷も後腐れも何もない感じがとてもよかった。

    新潟に残った父親のキャラクターが強烈で素晴らしかった。この人も旅行に行けば、もう少し雰囲気が良くなったか、もしくはもっと台無しになったかもしれない。
    面白会話とうさぎへの執着心。この喜劇のMVPは父親。父親へのお土産は小物入れ(ドングリ入れ)。

  • 母、姉、妹が女3人でグアム旅行に行く話。父は留守番。
    長女は・・・次女は・・・といった語り口で主要登場人物の名前は一切出てこないことが印象的。
    自分の現状をロストジェネレーションのせいにしてしまうワーキングプアな姉。そんな姉を反面教師に堅実すぎる人間となった妹。少市民で間の悪い母とすっとぼけている意味不明な感じの父。
    そんな家族の家族だからこその気まずさやダメっぷりさが笑えます。細かなところが面白い。
    でも、言いた事はよくわからないお話です。
    おもちが歴代続いていることが衝撃でした。

  • 幼い頃は年齢だけで「上」と「下」が決まるけど
    大人になり、職業や収入など社会的なものさしで
    見るようになると姉妹の上下の関係は危うくなる。
    小説と同じ家族構成なので、姉妹の微妙な空気感は
    なんとなくわかる気がする。

    インパクトは弱めだけど、コメディタッチでさらっと楽しく読める。
    読書灯のくだりと、お父さんのキャラクターが好き。

  • 8月にグアムに行ってからずっと読もう読もうと思って放置してた本。グアムの良さゼロ! 痛快すぎるほどにゼロ!
    さすが笑
    この本グアム旅行に持って行こうと思ってたんだけど、ちょうど文庫本でた頃だったし、でもやめてよかった。
    そしていま読んでよかった。曇天! 台風! 名前の出てこない不仲姉妹と母親の、グアム旅行記!!

  • おもしろかった!
    家族ってこんなもんだよね。
    ドロドロしすぎず、気取りすぎずな文章で好きだった。読後感もよかった。

  • んー

  • 北陸の方言と、昔はジャズバー今はスパでアルバイトをする二十五歳の姉、彼女を反面教師に生きる親不知を抜いた二十一歳の妹、間に挟まれた優しい母の三人旅行。彼や仕事絡みの旅行前も含めどこか惚けてカラッとした力まない魅力。理不尽に言い負かす姉と受ける妹の喧嘩に軋み、後の母を喜ばせようという団結が家族らしい。

  • 正反対の性格の姉妹とその母親の、3人のグアム珍道中。

    ことごとくぶつかる姉妹と、その間でおろおろする母親、疎外されている父親……と言うと深刻そうだが、終始コミカルにテンポよく進んでいく。姉妹も父母もありがちな人たちで、特別なことが起こるわけでもなく、どこかのお茶の間の光景を切り取ったかのよう。家族の名前を一切出さないのも、あえてどこにでもある話を狙ったからだろう。
    個人的には、初めての海外旅行がグアムだったし、数十年振りに昨年家族で行ったので、ブームが去って置き去りにされたようなくすんだグアムの描写には、うんうんと頷いてしまった。

    最近は、今村夏子を立て続けに読み、その息苦しいまでの特殊な世界にどっぷり浸っていたため、息継ぎに軽めのものを読みたくなり手に取った作品。印象に残るものではないが、気分転換にはちょうどよかったかな。
    そうそう、うさぎが秘かに代々続くのは、奇しくも今村夏子の『あひる』と同じ設定で驚いた。世界はまったく異なるけれど。

  •  本谷有希子の描く“痛い女”がやっぱり好き。
     JR総武線と丸ノ内線と神田川に喩えられる母親と娘2人のグアム旅行。なんでこうも噛み合わへんねや!!って一周回って笑えてくるくらい、間が悪い。兄弟姉妹の性格が真反対やったりするのは、やっぱり互いに一番意識し合う存在だからなのか。
     鼻に葬式んときにドングリ詰めてやる、「いかんともしがたい」という寝言、「生理うつしたおかんが悪い!」という宥め方、とかセンスありすぎる。

  • 母親、姉妹の3人旅。
    何も考えず好き勝手にやってる長女。
    堅実でちょっと神経質そうな妹。
    そんな娘たちを気にかける天然な母。我が家も似ている。
    最後、姉妹は楽しいフリをしてオカンを喜ばす。オカンは嬉しかっただろうね。
    それにしても、天気に、生理…こんなにも負のオーラに包まれてしまうとは…

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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