ハイドラ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 151
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103045311

作品紹介・あらすじ

迫ってくる体温を感じながら感じた、世界が変わっていくのを-。堕ちてゆく痛み、翳りない愛への恐れ。自身に注がれる冷徹なまなざし。クールさと瑞々しさをともに湛えた最新恋愛長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 《Hydra》
    1《ギリシャ神話》ヒュドラ、ヒドラ◆レルネー(Lerna)の沼の九つの頭の怪獣。ヘラクレス(Hercules)が退治した。
    2《天文》ウミヘビ座
    3〔一度には解決できない〕多彩な側面を持つ難問
    4《動物》ヒドラ◆ヒドラ属(Hydra)や近縁属のポリプの総称。円筒形の体をしており、一方の端の口の周りには触手がある。
    5《天文》ハイドラ◆2005年にハッブル宇宙望遠鏡でニックス(Nix)と共に発見された海王星の衛星。

    金原さん5作目の長編小説。

    主人公の早希は噛み吐き行為を繰り返すことで自分の身体を成り立たせている。
    まるで口が肛門を兼ねている動物のヒドラのようだ。

    そんな早希は、2人の男性の間を揺れ動く。
    でも、そうか…結局は戻っちゃうんだよな。
    なんなのかな、とさみしくなりつつも、幸せを捨てて諦めを手にする早希の選択が賢い、と思ってしまうのは僕が年季の入ったおじさんになりつつあるから。

    翳りない愛は素敵だけど、失うことがこわい。

    • naonaonao16gさん
      たけさん

      ごはんはちゃんと食べましょう笑

      歳を取って、食事の好みに変化もあったりして、美味しいものが本当に美味しいのに、どんどん少食にな...
      たけさん

      ごはんはちゃんと食べましょう笑

      歳を取って、食事の好みに変化もあったりして、美味しいものが本当に美味しいのに、どんどん少食になっていくの、悲しいです笑
      2023/02/12
    • たけさん
      naonaoさん

      焼肉食べ放題とか、ケーキバイキングとか、年齢重ねるにつれてだそそられなくなってきますものね笑

      ひとり飲みの時のつまみも...
      naonaoさん

      焼肉食べ放題とか、ケーキバイキングとか、年齢重ねるにつれてだそそられなくなってきますものね笑

      ひとり飲みの時のつまみも、何品か目の前にないと寂しい気分になるけど、全部食べるのに四苦八苦するっていう…
      2023/02/13
    • naonaonao16gさん
      たけさん

      そうなんですよ~
      バイキングはどんどん元を取れなくなるし、ドリンクバーも、そんなにいらないなって思うことが多いです笑

      つまみ数...
      たけさん

      そうなんですよ~
      バイキングはどんどん元を取れなくなるし、ドリンクバーも、そんなにいらないなって思うことが多いです笑

      つまみ数種類、ほしいですよね笑
      先日は、ピクルスとポテト(小)で大満足でした…
      2023/02/13
  • 今年は寒いね
    ⁡⁡
    ⁡ってな事で、金原ひとみの『ハイドラ Hydra』⁡
    ⁡⁡
    ⁡金原さんの本にしては大人しめな感じかな
    ⁡⁡
    ⁡何かに抑制、抑圧されないと落ち着かない、自分自身を解放する事が不安で仕方が無いのか...⁡
    ⁡⁡
    ⁡マインドコントロールなのか、依存症なのか
    ⁡⁡
    ⁡じゃが、結果的には破滅型の話なんかなぁと
    ⁡⁡
    ⁡松木が何となくケイゾーと被る様な、新崎がワガちゃんと被る様な...
    ⁡⁡
    ⁡2022年60冊目

  • 面白かったです。初めてちゃんと金原ひとみさんの長編を読んだ気がします。
    とても好きです。もっと早く読めば良かったし、これからも読んでいきたいです。
    松木さんは人を傷付けたくなくて、新崎さんは人が傷付こうがどうでもよくて、早希は自分を傷付ける。
    どの生き方もとても辛そうで苦しそうで。苦しそうな人しかいなかったです。
    でもそんな中、新崎さんの元へ帰ったことで、もう松木さんとはいられないと決めた早希。幸せだとわかっているものを諦める、ふたつは選ばないというのは早希のまともさだと思いました。
    松木さんの熱を思い出して苦しい生だろうけど。

  • タイトルの『ハイドラ』は、首を切り落としても2本になって生えてくるという伝説の毒蛇である。本作の主人公は2人の男の間を彷徨うが、どちらを切り捨てるにせよ、彼女は毒で死ぬことが決まっている英雄ヘラクレスのように思えた。主題や構成などは『蛇にピアス』にかなり似ているけれど、主人公が理性的だからか、数段綺麗にまとまっている作品。登場人物の新崎は、かつてTwitterで池田エライザを撮っていた写真家とダブった。

  • 久しぶりの金原ひとみ、よかった。
    ラストシーンはどっちなんだろう?とも思うし、金原さんが書きたかったことを僕が受け取れきれてないんだろうなとも思うけど、読んでいる間はストーリの中にシンクロだか、トリップだか、ジャックインできた。
    これぞ、小説体験じゃないかと思う。

  • 愛されていない女と思われるくらいだったら、どんな嘘だってつく。愛しい恋人に、死ぬほど愛されている。本当は、そういう目で見られていたい。





    …もっと平たく言えばこの人と二人きりになって見つめ合ったら私絶対この人のこと好きになる。その確信が怖かった。でも怖いっていうのも本当は愛しい感情で、何というか、結果として本当に私は彼が好きになった。でもそれが、晴天の霹靂のように降ってきたライブの感動と、わーっと出会ってしまったシチュエーションと、アルコールのせいで盛り上がっているのも要因のひとつだと、冷静にも考えていて、でも私は彼が好きになった。






    …突如頭の中に膨大な情報が湧き上がってきて、しかし感情は何一つ沸き上がらない。松木さんの手の温度は私の手の温度よりも高かった新崎さんとのセックスは約二週間ぶり松木さんの鎖骨は頭を乗せるのに最適な形状新崎さんのピストンは兎のそれと似ている松木さんの髪の毛は非常に柔らかい新崎さんのぺにすは目測十七センチ。新崎さんが後ろから手を伸ばし、胸を揉む。執拗に胸を揉みしだくその行為は決して愛撫ではなく、射精という排泄をするために必要なだけの性的興奮を促すためである。もう面倒くさいここで私がバターとかになってこの体温が上がっていくのと共に溶けてしまえばいいのに。






    「松木さんと一緒にいて、どうですか?」

    「楽しいよ」

    「無理してないですか?」

    「してないよ。松木さんといると、十代の頃みたいに、無邪気にはしゃいだり笑ったり、してられる」

    「そんなに簡単に、簡単な人間に戻れると思いますか?」

    「簡単な人間って言い方はどうかと思う」

    「楽しいことを楽しいことと感じたり、悲しいことを悲しいことと感じたり、腹立たしいことを腹立たしいことと感じたり、そういう一足す一は二、っていうような人間のことです」

    「なにそれ」

    「一足す一はゼロみたいな、歪んだ図式で世界を捉えていた人が、常識的な世界に戻るのは、難しいと思います」

    「歪んだ図式で生きていても、一足す一は二っていう常識は捉えてるよ」

    「そこに違和感は感じませんか?」






    新崎さんはきっと、私が噛み吐きをしていると知っても、私が太るのを恐れてまともに食事すらとれないと知っても、私があんな気持ち悪い怪物になっていると知っても、傷つかない、何とも思わない、唯一の人間だ。…新崎さんはそういう私を受け入れるでもなく愛するでもなく、ただ私を私でいさせてくれる唯一の人間だ。分かっているもう二度と、私は松木さんの元に戻れない。







    ---

    「洗脳された意識」の私は、

    早希の姿と重なる。

    たぶん、私の求める愛は歪んでて、

    食べれない私や

    自傷する私を

    受け入れてくれる「フリ」をする人を過敏に感じる。

    結局みんな、自分がヒーローになりたいだけ。

    だからこそ、新崎さんが魅力的に写る。





    …私自身、悲劇のヒロインになりたいだけなんだけどね(笑)

  • 不安定で言い表しにくい心の中身を、まるで見えるものみたいに細かく描写する文章。人間の考えてることって、こんなふうに文字にできるんだ。ただただ圧巻。

  • またシンクロしてしまったー。つらい。せつない。
    主人公に共感しまくってしまうせいで、この人の本には正しい感想書ける気がしないです。私と金原ひとみさんの思考回路って、根本的に似てるんだろうなあ。

    とにかく新崎さんから離れられない気持ちがしぬほどわかる。
    松木さんのような王子様がある日突然現れないかなあと思っているけど、現れてもやっぱりだめなんだなあ。
    ラストが絶望的でぞくぞくします。星5個つけたいけど、自重して4個で。

  • 噛み吐きチューイング。毎度思うけど金原ひとみの作中に出てくる食べ物に対する嫌悪感がすごい。

  • ちょっと切なくてよかった!
    今までとは違うタッチだから蛇〜とかアッシュベイビーで苦手に思った人にもおすすめしたいです

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2004年にデビュー作『蛇にピアス』で芥川賞を受賞。著書に『AMEBIC』『マザーズ』『アンソーシャルディスタンス』『ミーツ・ザ・ワールド』『デクリネゾン』等。

「2023年 『腹を空かせた勇者ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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