対話篇

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103051510

感想・レビュー・書評

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  • 3つともじわっときた。
    後悔がないように
    勇気を持って毎日をいきたい
    と思う本なのでした。

    ※ボクなりの要約

    「恋愛小説」※
    30を超えた僕は今でも
    英語の筆記体が読み書きが苦手だけど、
    14歳の頃、初めて真剣に好きになった彼女のコトをも想い出す。
    大学生のころの友人のコトを思い出すことをきっかけに。

    友人と呼べるかどうかってカンジの友人のコト。
    その彼が持つ、近しいひとに死を近づさせるコト。
    そんな彼とわかってても、
    それでもつき合う女性との会話を。


    「永遠の円環」※
    僕は大学生で好きな先輩がいるけど
    その彼女は不倫の後、自殺しちゃった。
    僕は、その不倫相手の教授を殺したいのに
    ガンで死を待つだけと思っている。

    で、ひとりの同級生に手伝ってくれと頼むと
    芸術的なやりかたで、殺してくれていた。
    その彼との会話を。


    「花」※
    動脈瘤を持ってしまった僕は
    手術をするのも、周りに告げるのも怖くて
    仕事も辞め、実家に戻り何もしないに等しい日々。

    そんななか、アルバイト話。
    最近著名な弁護士と、スターレットで
    東京から国道で1号、2号、3号線を使って
    元妻が亡くなった鹿児島のホスピスのとこまでに
    回想する彼と元妻との話と僕との会話。

  • ミステリーでもサスペンスでも無いので、大きなオチがあるわけでは無い。
    それでも、読んでいる内にゆっくりと暖かさが心に広がる。
    愛と死を綯い交ぜにした、人間の関係性を読み取る事が出来る。

    話はザ・ゾンビーズ第3弾の『SPEED』につながっている。

    手元に残しておきたい小説。
    良作と言って差し支えなし。

  • 本の中の「対話(言葉)」が自然と自分の中に入ってきて、とても読みやすい作品でした。
    それぞれの命への向き合い方も、ぐっときます。
    蛇足ですが、「恋愛小説」(本の中にある中編の名前)は映画があって、個人的には映画の方が「いいなぁ」と思える作品でした。

  • 2人の対話から成り立つストーリー3本。

    双方が選んだ言葉が絡み合って生まれる世界。ここに1つだけしかない瞬間。

  • 何度となく手に取り、読まずにきた本。かつての恋人の強いすすめで手に取ることに。それ以来、何度読んだだろう。
    手に取ることが躊躇われ、しかし一度読むと、また読み返したくなる。そんな本です。
    そして僕は、クリスマスの夜の持て余した時間にまた読んでしまう。

    本は対話篇の名の通り。ふたりの対話の中で、進んでいく。ふたりの会話と、会話の中の物語。巧みなやりとりを挟み展開するその構成と、しっとりと染み込むような筆力。ほんと、よくできてます。

  • 3つの話が収録された短編集。すべての話がタイトルどおり対話形式で進行されている。1.ぱっとしない大学生が話す自分の過去。 2.がんに侵された者の最後の願いとは。 3.青年と老人のドライブの行き先は。 こんな感じの3つです。SPEEDとリンクしている部分があるのでよかったらそちらも。 ちなみに僕の天鳳IDкは恥ずかしながらここからきてます。

  • 本当に金城一紀は面白い。
    うさんくさくなくてドロドロしてなくて
    後味もすっきりしながら、しっかり感動を届けてくれる。
    「恋愛小説」「永遠の円環」「花」と3つの物語で成っているが
    個人的には「花」が一番良かったかな〜と思う。
    人物像、物語の進行、起承転結。
    あまり作品を多く手掛けてる作家ではないので、もっと書いてほしいな〜とつくづく思う。

  • 2009.05.04. 久々に再読、しかも新装版。

  • 「恋愛小説」

    この小説にケチをつける人とは友達になれない。

  • 人に中々打ち明けられない重くて深い悩みを孤独に抱えた人がそれぞれ対話者を得ることで少しずつ悩みを飽和し、穏やかになっていく。そんな3つの中篇で構成されていました。
    読み進めていく中で、この著者の作品は(と言ってもまだこれと『映画篇』しか読んでないけど…)アンパンマンみたいだなと思いました。
    シンプルに愛と勇気を守ってやるぜ的な雰囲気を随所に感じることが出来ていいなって。
    ぜひ、著者の全作制覇したいと思っています。
    3つの中で一番良かったのは最後の『花』かな?
    ちょっと似た設定のものを昔に読んだような気もするけど本当に大切にしなければならないことを学べた気がします。
    『僕はハードボイルド小説の愛読者なんで、階段のうまい転げ落ち方を知ってますから』
    『やけに殺人者の心理に詳しいんだな』――『僕はミステリ小説の愛読者なんだよ』 
    が特に印象に残りました。
    (2008.5.16)

著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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