スティグマータ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 996
感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103052555

感想・レビュー・書評

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  • とうとうサクリファイスシリーズを読み終えてしまった。アシスト役に徹するチカや伊庭がツール・ド・フランスで活躍する姿に胸が熱くなる。日本人は心の片隅に「日の丸」を背負っていて、これこそがサムライ・スピリットなんだ。チカは完全に二コラを優勝させる役割。チカの良い所はチーム内の雰囲気をよくするということも担う。そのためには敵との交渉にも応じる。このチカの性格により、二コラのマイヨ・ジョーヌ(総合優勝)が目前に迫る。最後、ニコラはどうなったんだ!このシリーズでロードレースではアシスト役が重要だということを理解した。

  • 白石誓の海外生活も5年となる
    スペインのバルセロナに始まり、フランス、ピカルデイ地方のアミアンという街、ポルトガルのリスボン、それからまた、フランスに戻ってバイヨンヌ

    グラン・ツール・・・ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、プエルタ・ア・エスパーニャという三つのステージレース

    白石はプエルタを二回、ツールを三回走っている
    なんだかんだ言いながら、5年も海外で走れるのは、アシストとしての力を買われ、実績をあげているからだろう

    このシリーズの最終巻にふさわしく、ツール・ド・フランスの三週間に絞った各精鋭の凌ぎ合い、人間模様、
    特に、ドミトリー・メネンコの物語、かつては自転車界の憧れの存在だったが、ドーピングでその座を追われ、またこのレースに復活してきた

    メネンコの周辺に広がるきな臭い気配、白石はそれにどう対応するのか
    チームメイトとなったニコラをアシストとしてどうサポートするのか
    なかなかの読み応えだった

  • 久しぶりにチカに会えた。
    一年後の契約がどうなるか不安の中、
    アシストに全力を注ぐ姿。
    やっぱり、チカは最高!

  • やっぱりこのシリーズは面白い!!一気に読んでしまった。
    前作からの人たちと仲間やライバルチームになっていたり、新しい人たちが出てきたり。そしてもちろんミステリー要素も。
    このシリーズのおかげですっかりツール・ド・フランスにはまってしまった。続編出たら嬉しいなあ。

  • うわー、チカちゃん、年取ったね。
    でも、格好良くなったな。

    ツールドフランスの過酷なレースの描写が
    無知な私にも少しだけ世界を見せてくれる。
    自分には理解できないけど、
    この世界で戦っている人たちには敬意を払いたい。
    皆、一人一人、すさまじいプロだ。

    そして、最後のチカちゃんは、プロ中のプロだ。
    あそこで終わっているのが憎らしい!
    近藤先生、ずるいっすよー。

  • 相変わらず、素晴らしいシリーズ。引き込まれます。
    チカの最高のアシストは日本人らしさに溢れていて誇らしくもあります。
    このシリーズがなぜこんなに好きなのか…それはチカの目線がとても健やかだから。ナイーブだけど空気を読む力に優れていて、決して卑屈ではない。己を制することができるクレバーなアスリートです。彼が天才ではないのも魅力。
    チカの目線で語られるロードレースは、正直リアルなレースよりも私を興奮させます。
    大好きなミッコとの交流もあったし、最後はチカにも春が来たのかな?
    幸せな読書時間でした。傑作。

  • 初読。図書館。『サクリファイス』シリーズ。チカがニコラのアシストとして、ツールを走る。伊庭もミッコも敵チームで走る。「おお、みんないる、いる」という高揚とともに、シリーズ前作の死の影を持ち込み、冒頭から不穏な気配。いつも思うけど、近藤さんのこの不安感の煽り方は本当にウマイ。さらに近松をぶち込むなんて近藤さんにしかできない。近藤さんの描くツールを走る競技者の「業」って、他シリーズの歌舞伎役者の「業」に通じるところがあると思う。ステージ優勝を手放すチカの恰好良さは、1作目のタイヤを譲る場面を思い起こさせた。

  • 「サクリファイス」「エデン」「サヴァイブ 」「キアズマ」に続く5作目。実際のツール・ド・フランスでは新城幸也が活躍中!堪能しました!!

  • サクリファイスシリーズ5作目、これの前に同じロードレース小説でキアズマというのがありますが白石誓の話しとは関係のないものになるので先にこのスティグマータを読みました。
    物語は前作からチカはチームを変わっていて以前ライバルチームであったニコラと同じチームで再びツールドフランスを走りさらに日本で同じチームで走っていた伊庭がライバルチームのキーマンとして登場します。
    とても面白かった
    ロードレースの肉体精神にかかる過酷さを描き、駆け引き心理ルール展開を難しく感じずに読ませてくれます、そこにミステリの要素も入っているので読む手が止まりません。
    そして読後感が爽やかなのは物語のベースとなる主人公チカの清廉純粋さがあるから、登場人物もそれぞれキャラクターがいい、このシリーズ続いてほしいなあ。

  • チカシリーズ全部読んだと思ってたら読み逃していた?
    今回も舞台はツールドフランス。主人公のチカはあれこれ考え過ぎでいつもならあまり好きじゃないタイプだけど、そこに陰鬱さがないからかすんなり読める。かつての名誉をドーピングではく奪されたメネンコ(モデルはやっぱりアームストロングか?)の復帰、彼の思惑は?ってのが一番の筋だけど、途中でだいたい想像がつく。本当にアシストに徹するチカ、新城幸也がモデルなのかな。終わりもまずまずスッキリの読後感。チカに彼女ができそうだけど続きあるのかな。このシリーズ、ロードバイクレースを題材にした小説では今のところ頭一つ抜け出している完成度。
    ちなみに私、今年のツールドおきなわでは落車しました。

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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