普通の家族がいちばん怖い: 徹底調査!破滅する日本の食卓

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103058519

作品紹介・あらすじ

正月とクリスマス-家庭で最大の二つのイベントから、家族の実像を探る。調査のプロによる二百二十三世帯へのリサーチが、歪んだ幻想を解体していく。何気ない発言に社会を蝕む病理がにじむ。「個性」重視、「私中心」の行き着く先は?「モンスターペアレンツ」はあなたのすぐそばにいるかもしれない。76枚の「食卓」写真と720の主婦の「証言」で解く家族像。

感想・レビュー・書評

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  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/398709

  • ふむ

  • 代理店(アサツーディ・ケイ)所属の著者が、首都圏主婦を対象にしたクリスマス・正月の食卓アンケート(写真つき)とグループインタビューをもとにあぶり出す現代家族の肖像です。

    非常に(精神的に)貧しい食卓風景とともに、目を疑うような、背筋が凍るような、“普通の”主婦たちの「語り」が延々とつづられて行きます。

    好き嫌いという表層的な感情だけを行動原理とし、食事も、子育て・しつけも、文化継承も主体的にはしない(できない)親たち。結果、いつまでも自分の親から自立できず、子を王様のように扱う(のようにしか扱えない)…。

    日本の社会は、こういうところから崩壊していくのか。

    衝撃です。

  • タイトルが一番怖い。中身はどうって事ないです。

  • 年中行事の中でも最も家族で過ごすことの多い、正月・クリスマスでの食卓・過ごし方を家庭の主婦に徹底調査。しかも、1度だけではなく、1999年12月~2000年1月、2004年12月~2005年1月と、2回の調査から時代の変遷も追っています。

    【お正月にお節を作らない】

    【クリスマス飾りは一生懸命だけれど】
    出来合いのチキン・ピザ。クリスマスケーキもホールではなく、それぞれの好みのカットケーキ。

    両方に見えてくるのは、個々のしたいことだけを重視する風潮です。
    「楽しければいい」
    「面倒なことはしたくない」
    「ストレスになるから頑張らない」
    子供にも躾などでうるさいことを言わない

    それでも、調査票の最後には「お正月という伝統は大切なので、お節を作れるようになりたいと思います。子供に伝統を伝えていきたいと思います」と巧言します。

    最後に著者は今後の子供たちについて危惧しています。

    「現実を見ない母」「事実とは異なることを語る母」「言うことがすぐに変わる母」「現実に自分が行っていることとはかけ離れた考えや展望を語る母」たちと接して、子供たちは現実をどのように認識して言ったらよいかわからなくなり、自らの立ち位置や判断基準も見失ってしまいそうな気がする。
    そんな子供たちが、やり場のない怒りや言葉にならないイライラを募らせ、ある日耐え切らなくなって、家の中で暴力をふるったり自分を見失うようなことがあったとしても、私たちはそれを「不可解なこと」とは言えないと思う。この「普通の家族」の、「普通の主婦」たちの調査データを詳細に読めば読むほど、私はそんな胸騒ぎがしてくるのである。

    確かにここで語られている“普通の家族”は、調査家庭の全てについてあてはまるわけではなく、2割~4割という数字にはなっていますが、それでも第1次調査と第2次調査を比べてみても、如実に数字は増えているのです。
    著者の危惧が考えすぎであってほしいのですが、読んでいてあまりにも納得してしまいます。

  • クリスマスに盛り上がり、正月に何もしない主婦達に恥ずかしさや後ろめたさはまったくみられないという話を保守主義者ではない著者が延々と書いている本。

  • 2007年刊。主として正月行事の取組みに関する定性的検討をもとに現代家族の有りようを解析。まぁ、本書の表のテーマは、お節料理の準備、料理に込められた思いの認知度で、女性から見れば「やってられない」という項目だった点は割り引くべき。だが、現代の50歳未満男性も仕事という切り口であれば、同様の問題を喚起する気がする。本書の真のテーマ、自由の蔓延、他者の自由の過剰尊重、他者からの干渉の過剰排除、結果としての関係性・共同性の希薄さである。なお、あとがきにある伝統継承に関する言行不一致は、個人的にも耳が痛い。
    備忘録。①自分の好きにできるクリスマスは懸命に取組むのに、思い通りにならない正月行事はしない、②飾り付け等外見・外面を取り繕う一方、食などの内面(クリスマス行事の内実も含む)を軽視、③自分も歴史の時間軸の一構成員であるとの意識が希薄(伝統の肯否を問わず、その伝統を知らなければ始まらない)、④親子間でも関係性が希薄化。⑤親が子を一人前にする(躾け、教育、社会の実相を伝達する)役割の消滅・減退。家族の絆すら意識的にならなければならない。絆は家族の楽しい思い出作りでできる(本当にそうなのか)。

  • 一般家庭のクリスマスやお正月の「恐ろしい現実」を地道なアンケートによって調査し、まとめた本。「お正月は実家に行き、お客様待遇で過ごす」「子供に押し付けは良くないから、箸の持ち方すら躾けない」など、目を覆いたくなる惨状。タイトル通り、こんな育ち方した人が増え続けたら、日本は滅びると思う。

  • 家族の普段の食卓や、お正月などの行事の食卓にスポットを当て、豊富な調査結果や写真とともに“現代の家族像”を浮き彫りにした本作。

    お正月にはカップラーメンや、家族ばらばらのものを食べる。ご飯と一緒にポテトチップスが食卓に並ぶ。クリスマスは出来合いのものをお皿にうつさず袋のまま出す。さらに10代後半の子どもにサンタクロースの存在を信じこませる…この本を読んで違和感を感じなかった人は危険度大でしょう。「子供のため」「家族のため」ではなく、「自分のため」に「楽しく」「(極端に)手軽に」という姿勢を持った、大人になれていない大人たちのオンパレード。本当にこんな親が居るのかと、すえ恐ろしさすら感じる。
    「人それぞれ、家庭もそれぞれ」な考えを持つ私だけれど、こんな家族の在り方が当然となったら日本は崩壊します。反面教師として読むことをおすすめします。人間がいちばん怖い…。

  • 日本の食卓から、家庭の在り方や、核家族の様子など、
    衝撃的な「普通の家庭と思っている家族」、
    私たち親世代にも大きな責任があるのか、考えさせられる、データをしっかり取って描いているのが、怖い~

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著者プロフィール

1953年北海道生まれ。法政大学卒。大手広告会社勤務等を経て、現在大正大学客員教授、日本能率協会総合研究所客員研究員。1960年以降生まれの人びとを対象とした20年に及ぶ継続的な調査研究に基づき、現代の家庭や社会に起きるさまざまな現象を読み解くことをテーマにしている。著書に『変わる家族 変わる食卓』『「親の顔が見てみたい!」調査』『普通の家族がいちばん怖い』『家族の勝手でしょ!』『日本人には二種類いる』など。第2回辻静雄食文化賞受賞。

「2017年 『残念和食にもワケがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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