- Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103078111
作品紹介・あらすじ
若き戦死者への鎮魂の思いがこめられた現代日本文学の開拓者による最後の作品集。大阪大空襲で生家が焼けたことも知らず、終戦から半年後に復員してきた兄。混みあった電車のなかで、「君、結婚は?」と声をかけてきた兄の友人は、すでに戦死していた。誰にも言うなよと言って聞かされたその話を、語っておきたい――。若き戦没者たちを哀しむ表題作など八十七歳で書かれた三つの短篇に、詩三篇、日記を付す。
感想・レビュー・書評
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図書館で借りた装丁と違う。この装丁だったら借りていなかったかも。赤みがかったオシャレなお菓子たちだった。
でも内容はまったく違う。「歌の声」はちょっとわからなかったけど、「好き嫌い」と「考えられないことは」は一昔前の事で興味深い。
今年の1月に永眠されたんですね・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2015年6月30日発行の本を図書館で手に取りました。
暗い赤い色の箱や花、バッグを細々と並べた美しい写真に惹かれました。
初めて読む作家さんだったのですが、戦中戦後の話でした。
耽美な雰囲気でもありつつ、淡々と表現されていく感じは読みやすいかった。古語ではないけど、『轅』とか馴染みない言葉もあり、調べつつ読んだので、心に入ってくるという訳ではなかったけど、こういうものなんだろうなぁと受け取りました。 -
《図書館》【再読】短編小説。好き嫌いが好き。
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短編やエッセイ・日記・詩など
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表題作.このような戦前と戦後間もない時期の話を書ける人がいなくなった.こういう時代があったことを忘れないことが大事だ.「歌の声」ではオペラへの愛着が迸り出た文章だ.淡々と話が進む中で,ふと考えさせられる件がとても快適だ.
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文章は潔くて無駄がない。
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「考えられないこと」河野多恵子
新聞で「どの作品も幸福な気分になれる」とあったが...
今年1月に亡くなった河野さんの自伝的な作品3編と詩3作。軽妙な書きぶりだが、幸福な気分というより重く残る部分が多かったが..
表題作には「乳房をくわえさせた赤ん坊を抱いて座ったまま、親子ともに死んでいる母親もあった」とか書かれていたり、 -
心の通った端正な文章が美しい。