落日燃ゆ

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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103108146

感想・レビュー・書評

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  • 城山三郎さんの作品、ブクログ登録は12冊目になります。

    城山三郎さん、どのような方か、ウィキペディアで確認しておきます。

    城山 三郎(しろやま さぶろう、1927年(昭和2年)8月18日 - 2007年(平成19年)3月22日)は、日本の小説家。本名は、杉浦 英一(すぎうら えいいち)。

    経済小説の開拓者であり、伝記小説、歴史小説も多く著している。

    79歳にて亡くなられています。


    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    7人のA級戦犯のうち、唯一の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながらも、東京裁判ではその努力は認められず、絞首刑を宣告された。裁判を通じて一切の弁解をせず死を従容として受け入れた広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。次代にまで読み継いでいきたい吉川英治文学賞、毎日出版文化賞受賞の名作。

    実在した登場人物を、少し見ておきます。

    ・広田弘毅 (1878~1948年、70歳没)
    ・頭山満 (1855~1944年、89歳没)
    ・松岡洋右 (1880~1946年、66歳没)
    ・幣原喜重郎 (1872~1951年、78歳没)
    ・吉田茂 (1878~1967年、89歳没)
    ・佐藤賢了 (1895~1975年、79歳没)
    ・東條英機 (1884~1948年、63歳没)
    ・浜口雄幸 (1870~1931年、61歳没)
    ・昭和天皇 (1901~1989年、宝算87歳)

  • 文官と軍官との乖離など、今なら考えられないようなシチュエーションがあったことに驚かされた。教科書で満州は日本の一部だった時期があると教わった記憶があるが、それは正しくないのかもしれない。歴史観というものは実に偏った視点から語られるものであり、複数の視点からの検証が重要であるいうことを再認識させられた。

  • 先頃(3/22)亡くなった、城山三郎氏の代表作のひとつです。

    骨太・重厚なルポを読んでいる感じ。これって小説なんだよね・・・?^^;

    東京裁判にかけられ、文民として唯一A級戦犯となり処刑された広田弘毅元首相の物語。

    彼はむしろ戦争に反対し、軍部にブレーキをかけた。当時から「なぜ彼が裁かれなければならないのだ?」という声も多かったという(検察官さえ「死刑は重すぎる」と呟いたそうな)。が、「開戦の責任は私にある」として、頑として言い訳も他者の告発も行わなかったがゆえに、有罪となる。
    そこには、かれ自身の「中道の美徳」というものがあった。奢らず、ひがまず(威張らず、おもねらず)、公平に、そして運命のままに・・・。

    ただ、個人の覚悟としてはよくても、黙して主張しなかった(真実を必ずしも明らかにしなかった)ことは、日本の歴史認識をも停滞させてしまったのではないか? ・・・読後真っ先に思ったのはそのことでした。

    また、先の戦争の原因はもっぱら軍部の暴走にあったと思っていましたが、この小説を読むと、戦争はある気狂いのリーダーが起こすのではなく、時代の空気といったものによって必然的に駆り立てられていくものだ、という感じもして来ます。

    現首相の「暴走」の背景として、北朝鮮の非常識への怒り、中韓の「内政干渉」への不快感、テロへの不安、アメリカ国への依存(もしくは隷従)などがあると思いますが、それらは、そもそも我々の中にある物かも知れません。

    落日とは大日本帝國の終焉であり、「長州が作った憲法」の最期であったと小説は結ばれています。

  • 第9回(1975年) 吉川英治文学賞受賞
    東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。

  • 心に残る素晴らしい名作です。

  • 著書の努めて冷静かつ客観的な記述に好感が持てました。広田さんは何故このような判決となったのか、裁判官の視点で書かれた本も読んでみたい。

  • 自分にはどうにもできないような要因がいかにあろうとも、職責を果たす努力を些かも怠らなかったとしても、公人としての結果責任はどんな形であれ黙って受け入れる。。その精神は国家の公僕である政治家の、今は亡き理想の姿なんだろう。

  • オランダに飛ばされて「風車 風が吹くまで 昼寝かな」と呼んだ 外交官:広田 弘毅の伝記。
    第二次世界大戦前に外務大臣、総理を務め、平和外交に命を懸けたが、東京裁判(A級)で、自己弁明せず、高官として唯一人絞首刑に処された。

  • 首相,外相を歴任した広田弘毅の生涯をつづる、自ら計らわない生き方を貫き通しA級戦犯裁判で文官で唯一死刑を宣告される

  • [おもな理由]
    A級戦犯に指定され、唯一、文官として絞首刑となった
    元首相・広田弘毅の生涯を描いています。

    [おすすめの理由]
    私自身、恩師の方からおすすめしてもらいました!
    「広田さんは福岡の出身なので知っておくべき」と言われ
    読んでみたところ、どんどん先が読みたくなって地下鉄の
    中でも読んでいたほどでした。
    生きていく姿勢であったり、文章の書き方も素敵な表現が
    たくさんあったりして学べる部分が多いのでおすすめです!!

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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