仮想儀礼 下

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133629

感想・レビュー・書評

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  • 新興宗教ものだが、「上」は社会派小説の範疇に収まっていたような気がする。
    「下」は、やや新興宗教者らしさが厳しすぎるかも。

    参考文献

    実践 チベット仏教入門
    クンチョック・シタル, 斎藤 保高, ソナム・ギャルツェン・ゴンタ
    春秋社

    宗教法人ハンドブック―設立・会計・税務のすべて
    実藤 秀志
    税務経理協会

    税務重要計算ハンドブック〈平成24年度版〉
    中央経済社

    まるごとわかる「法人税」―仕組みを押さえて大きく節税! (基本&実践BOOK)
    北村 義郎
    かんき出版

    宗教法人法はどこが問題か
    弘文堂

    新宗教事典〈本文篇〉
    弘文堂

    新宗教事典
    弘文堂

    性差別する仏教―フェミニズムからの告発
    大越 愛子, 山下 明子, 源 淳子
    法蔵館

    カルト資本主義 (文春文庫)
    斎藤 貴男


    発行年の記載がないため、最新または当時のもののand/orを掲載した。

  • 「宗教」を経営する話。
    上巻はサクセスストーリーなので、サラッと読めます。
    なるほど、こんな風に新興宗教は大きくなるのね、みたいな。
    下巻はある事件をきっかけにカルト扱いされて、
    転落していくのだけど、その内容がかなりドロッとしていて
    上巻との対比が面白い。
    もう最後らへんは気分が悪くなるくらいカルトですw
    でも、その中でも主人公はやっぱり普通の人で、そこにも注目。

    ラストまで救いはありませんのでご注意を。
    最近読んだ作品の中では一番面白かったなぁ。
    人間の心の純粋さや歪み、闇が垣間見える。

  • ストーリーの面白さに一気に読み終わった2冊組の本。
    読み終わっての第一印象は、
    何が大切で、何に頼るべきか。
    自分で判断してよく考えるべきだということでした。

    まだまだ人に知られていない宗教も数多いと思いますが、
    それを信じる人の心構えが大切でしょう。
    純粋に神の教えを信じるだけならいいのですが、
    小説の後半では、
    宗教団体の中心の女性たちは、
    自分たちの信心を侵すものは「悪魔がついた」として、
    大勢でよってたかってリンチをするようになります。
    教祖でもある主人公たちを拉致して逃亡するようになるのです。
    いったいどうしたらこんな行動を起こせるのか、
    信仰心をあまり持ち合わせていない私は驚くばかりなのですが…。

    そんな行動に走ってしまう集団心理。
    作者はやはり人間の弱い心理を追求するのがうまいと思います。

    それにしても、
    ○○信仰や新興宗教は一つまちがえれば
    戦争にまでも発展するから恐ろしい。
    そして、それをどっぷりと信仰する女性はもっと恐ろしい。

  • 転職に失敗して底からスタートした宗教の似非教祖の話で、徐々に成功していきかなりの規模の宗教まで発展するけど、些細なところから一挙に転げ落ちていく。
    落ちてからはドロドロで飲み込まれるように呼んでしまう
    話がダレる所もなく楽しく読み終えた

  • 勢力を拡大し、大きな収益が転がりこんできた教団ですが、下巻ではカネの問題をきっかけに落ちるところまで落ちていきます。
    全て終わりかと思いきや、信仰心の強い信者が組織に残り…。かつて世間をにぎわせた某教団のように、先鋭化した組織が社会に背を向けて暴走していきます。いわゆるホラー小説ではないのに、それ以上に怖い。下巻にずっと緊張感が漂っていて、読み終わるとドッと疲れが。

  • 最後まで、おもしろかった。
    宗教の真実と、金銭欲、権力欲の見極め。
    実に深い話だった。
    人を信じ込ませる口のうまい人間、真摯で真っ直ぐな眼をした人間でも全てが嘘で塗り固められているのかもしれない。
    なにを信じればいいのか、難しいです。
    ただ、ラストにはすくわれた。

  • 上下巻、けっこうなページ数にもかかわらず、
    苦にならず読了。

    自分の頭で作りだした宗教なのに、自分が飲みこまれていく。
    信者の暴走。
    宗教団体の末路って、悲しい。
    救いを求める人たちばかりなのに、誰も救われてない。
    いやいや、もしかすると、そう思うのは信仰心がないから?

    なにかを盲心的に信じることの、強さとおそろしさ。
    そうならざるをえなかった人たちは、哀れなのか、幸せなのか。

  • 中盤から後半にかけて怒涛のように押し寄せる自己問答 
    やがて宗教という虚構が現実になる様は人間の業と複雑さ 
    この世の恐ろしさがにじみ出ていて恐ろしかった。
    圧巻

  • そして下巻。
    自分で作ったはずの張りぼて宗教なのに、自分の手を離れて信者の間でどんどん変形されて濃厚になっていく。
    もういまさら、嘘だったなんて言えない。
    そんな引き返せない感じがリアルです。
    転がり落ち始めてからの筆力は圧巻。
    手に汗握ってしまいます。
    最後まで一気読みでした。
    かなりのページ数ですが、量に怯まない方、宗教がらみの話が大丈夫な方、お薦めです!!

  • 上に書いたので省略。

著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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