聖灰の暗号 上

著者 :
  • 新潮社
3.61
  • (9)
  • (27)
  • (27)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103314141

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 題名からも判るようにキリスト教を題材に取ったミステリです。
    フランス南部で根強く信仰されたカタリ派の異端審問に絡むミステリなので苦手な人もいるかも。
    舞台はダヴィンチ・コードと同じくフランスですが、こっちはトゥルーズ。
    同じキリストの教えを掲げながらカタリ派を弾圧するローマ教会の姿は狂気に近く、本を読んでゆくうちに信仰ってなんだろう、と思う気持ちが湧いてきます。
    美しすぎるものは長続きしないのかな。
    前半の疾走感に比べるとエンディングがあっさりして、もうひとつの真相はわからず仕舞いなのが勿体無い。
    あまり禁忌には触れないってことか・・・

    それにしても作中で主人公たちの食べているご飯がなんと美味しそうなこと!
    バゲットにパテ、なんていうそっけないメニューもなんだが美味しそうに描かれているし、
    南部の郷土料理の描写なんて読んでいるだけでよだれが出てきてしまう。
    水で戻した塩ダラをほぐしてホワイトソースと合え、香味野菜を散らしたグラタン風とかむっちゃおいしそ〜ダヴィンチ・コード読むならこっちのがおススメです。

  • 友人「I・M」に紹介されて購入した小説。
    舞台はフランス。
    カトリック教会によって焼き尽くされ、この世から葬り去られた<B>カタリ派</B>の物語。

    <読書中>

  • 半年のフランス留学。偉人の墓を訪ねる。迷っているフランス人女性クリスチーヌと出会う。
    異教徒として虐殺され全滅したカタリ派がいた場所の出身。オキスタン語を話す日本人に驚く。1週間通った図書館の地下室での最終日に七百年前の「手稿」を発見。地図の中にまぎれいていた。火刑の壮絶なシーン。学会でプレゼンすると手稿の贋作の疑いを教授から問われる。パリの日本人家族を病院に通訳として付き添うと、クリスチーヌと遭遇。手稿の調査場所に引っ越すことを告げると、付近の病院に勤務していたことを教えてもらう。図書館には問い合わせが来ていた。
    行方不明の図書館長は死体で発見された。ナイフ職人の男からヒントをもらい、洞窟を発見。他の手稿を発見。

    手稿では、諮問においてバチカンが都合の悪い内容は、記録されず。


    手稿を書いたマルティンの両親は、カタリ派の「良き人」「全き人」だった。
    自分も、火刑になった。

    学会で贋作疑いをかけた教授は逮捕され、自殺。

  • カタリ派研究の歴史学者である須貝彰は、フランスの図書館でカタリ派弾圧に関する14世紀の手稿を発見する。そこから分かるカタリ派虐殺を研究会で発表したことから、彼の周りで事件が起こる。
     須貝は残りの手稿を求めて、手稿に書かれていた印を頼りに南フランスへ旅に出る。
     一人、二人と殺されていく中、700年前の手稿の行方を探します。宗教の話が多いので難しいけれど、手稿を探す旅は自分も共に旅をしているようにドキドキします。

  • 700年前にキリスト教の異端として弾圧を受けたカタリ派について、新たな歴史的史料を日本人の学者が発見し、物語が始まってゆく。
    フィクションとはいえ、様々な史実を参考に書かれていると思われ、非常にリアルで、ぐいぐいと読み進めさせれれた。
    昔の異端審問について書かれているため、拷問のシーンや道具、そして火あぶりの様子についてく書かれているあたりは、非常につらかった。。

    700年の時間と、宗教と、いろいろな人の成長とが上手く織り交ぜて書かれている非常に読み応えのある小説だと思う。

    ただ、ふだんミステリーはあまり読まないので、ミステリー小説としての“謎解き”の出来栄えは、客観的にはどうなのかな?と思わないではない。
    それと、帚木さんの小説はいつもラブシーンがパッとしないので、その2点を減点して、☆4つ。

全25件中 21 - 25件を表示

著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

帚木蓬生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×