逡巡

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103319214

感想・レビュー・書評

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  • オチが絶妙。
    悲しげなお話やワケアリなお話も入っているけれど、どれも味わい深くて、さらにニヤリ、あるいはププっと笑ってしまうものばかりです。
    2,3ページくらいの短いものが中心なので、電車に乗っていても面白すぎてウッカリ駅を乗り過ごす、という危険の少ない本でもあります♪

  • 読んでみて思った。
    逡巡≒妄想。
    どこにでもある日常の風景。
    せきしろにかかると、なんぼでも妄想の機会になる。
    今までの本と比べると大人しめな印象だけど、妄想世界は相変わらず目眩いている。
    「死」を扱った掌編もあるのだけど、この人が書くと「ただの哀しい話じゃないんじゃ…?」と訝ってしまう。
    「ここはしんみりするべきじゃなくて、ニヒルに笑うとこじゃ…?」と、何かを警戒しながら読んじゃうのだ。
    なんだか試されてるような、怪しげな本だ。
    お気に入りは、「金太郎の話」。

  • 虚無感、肩透かし、死、スタジャン、乾燥、毛玉、廃墟、無意味、静止、挫折、ケミカルウォッシュなどなど。
    短編の内容とは関係なく頭の中で浮かんだ単語はざっとこんな感じ。どれも今っぽくない、むき出し昭和の空気感が漂っている気がした。
    伏線があると思いきやどの話にも関連性がなく、でもなんとなく繋がっているような不思議な感覚。夢で見る風景のよう。
    描写が素晴らしく詩的なのにちょっとズレているのがいい。
    古ぼったい映りのフィルムで映像を撮ったらさぞかし綺麗だろうと凡庸ながら思った次第。

  • 毒な感じも満載で。せきしろイイ!
    大人のやるせなさ、一般人のやるせなさ、振り返ったり諦めたりは人間だものというところ。

  • 鋭い観察眼と、繊細な描写でせっせと組み立てた舞台を、ギャグでひっくり返す台無しの美学。

    短編を束ねる章のタイトルも、「野球チームを作りたいがあと八人足りない」といった、それだけでイメージがふくらみ、文学の威厳がしぼんで行くものになっている。

    ここまで心情や風景の描写が優れていると、もはや、文学とコントをどう区別したらいいのか分からない。

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著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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