焦土からの再生: 戦災復興はいかに成し得たか

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103322719

感想・レビュー・書評

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  •  日経新聞の編集委員の井上さんが、わかりやすく、各都市の戦災復興の経緯、実績を説明。

     後藤新平とか関東大震災のあとの震災復興の本はよくでているが、戦災復興をわかりやすく説明した本がでたことがうれしい。

     また、名古屋とか仙台とか、むしろ政令指定都市レベルで土地区画整理事業が先行していたため、東京のように大規模な中断にならずに、現在の広幅員の街路が整備できたことも丁寧に説明している。

     その際の先人の都市計画専門家の努力にも頭がさがる。

     その上で、東日本大震災、あるいは首都直下の復興にあたって土地区画整理事業がうまく機能するのかどうか、悩む。

    (1)東北の都市などや東京などで、街路の幅員を広げても、増進はないし、時間もかかるだけといわれないか。

    (2)震災、戦災のときと違って、厳しい経済の国際競争に曝されているときに、時間がかかる手法よりも早く、産業復興をとげる必要性がでてくるのではないか。

    (3)人口減少、都市の縮小という観点からは、都市が将来コンパクトになることを前提にして、核となる部分を買収方式ではやく整備し、その周囲は、グリーンベルトにするなど、都市縮小にあった仕組みが必要ではないか。

     もちろん、この本自体には、そんな問題意識はないのだが、ひごろ、悩んでいることが思わず頭に湧いてきた。

著者プロフィール

1961年大阪生まれ。86年日本経済新聞社に入社。東京、大阪の社会部で警視庁、大阪府警、法務省などを担当。現在、編集委員(皇室、近現代史)。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。著書に『非常時とジャーナリズム』(日経プレミアシリーズ)、『天皇と葬儀――日本人の死生観』(新潮選書)、『焦土からの再生――戦災復興はいかに成し得たか』(新潮社)、『熱風の日本史』(日本経済新聞出版社)、『忘れられた島々――「南洋群島」の現代史』(平凡社新書)、『昭和天皇は何と戦っていたのか――「実録」で読む87年の生涯』(小学館)、共著に『「東京裁判」を読む』『「BC級裁判」を読む』(ともに日経ビジネス人文庫)がある。

「2017年 『天皇の戦争宝庫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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