- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103330622
作品紹介・あらすじ
生きていくことは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる――今秋映画化される『何者』アナザーストーリー六篇を収録。光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。理香と隆良の出会いは? 瑞月の父に何があったのか。拓人を落とした面接官の今は……。「就活」の枠を超えた人生の現実。直木賞受賞から3年、発見と考察に満ちた、最新作品集。書下ろし作品も収録。
感想・レビュー・書評
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ポプラ並木さんかわぞえさん、コメントありがとうございます。何者はストーリー性も好きだったので続編を読んで???でした。期待が大きかったのか、何なんでしょう...かわぞえさん、コメントありがとうございます。何者はストーリー性も好きだったので続編を読んで???でした。期待が大きかったのか、何なんでしょうね。でも6話のうち1話は面白かったですよ。2020/11/24
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moboyokohamaさんでは試しに読んでみようかなと少し思いました。では試しに読んでみようかなと少し思いました。2020/11/24
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ポプラ並木さんぜひ試してみてください、図書館本ですぐ借りられましよ。ぜひ試してみてください、図書館本ですぐ借りられましよ。2020/11/24
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「羊と鋼の森」以来、約10か月ぶりに小説のレビューを書きました・・・・・・。
朝井リョウは確かに成長しているのだろう。
でもその成長の仕方は辻村深月と似ているように思える。
小説を読む意味はどこにあるのだろう。
心が折れそうになったとき、どうしていいかわからない時、僕は小説を読む。
どこかに答えはないか?
胸が打ち震えるような感動を与えてくれるものはないか?
どこかでカタルシスを感じさせてくれないか?
ある意味、現実から逃避するように僕は小説を読む。この年になっても、いやこの年だからこそ悩むことがたくさんがある。
仕事であれ、プライベートであれ、多くの問題が今でも存在する。
直木賞受賞作「何者」のスピンオフ短編集とも言えるこの本は、初出を調べると一作目から最後の作品までかなりの時間が経っている。そこには彼の変遷が読み取れる。
「桐島部活やめるってよ」から始まる、類稀で光り輝くような表現が駆使されていた初期の時代。
そこには人の心を動かす言葉がたくさんあった。
心を揺さぶられる感動の場面がいくつもあった。
でもこの作品集の中で僕が本当に感動したのは2作目だけである。
もちろん他の作品も、人間の心理の奥底を鋭く突いている言葉で表現されているものがほとんどで、なるほどと唸るような場面がたくさんがあるのだが、最後に感動するという思いには至らなかった。
どちらかと言えば、心が重たくなり沈みがちな作品の方が多かった。
文学的な完成度で言えば、おそらく後半部分の最近書かれた短編の方が高いのだろう。
ただ小説の読み手の1人として考えたとき、読み終えた後の満足感、充実感、カタルシスは若い頃の作品のほうがより多くあったように思う。
そこでいつも考えるのだ。
小説は何のために書かれるのかと。
小説は誰のために書かれるのかと。
世に出た小説は誰のものかと。
「桐島、部活やめるってよ」「もういちど生まれる」「少女は卒業しない」「星やどりの声」。
彼の初期の作品で迸るばかりにあふれていたキラキラと輝く比喩や文章が最近の作品では少なくなってきたと感じるのは僕だけだろうか?
今までの作品ほど感動しなくなってきたと思うのは僕だけだろうか?
文学の完成度とはいったい何なのだろう?
この短編集を読み終えたとき、ふとそんなことを思った。-
koshoujiさ~ん、こんばんは~。
待望のレビュー、やっと読むことが出来ました!
お知らせを下さっていたのに、返信が大変遅くなって...koshoujiさ~ん、こんばんは~。
待望のレビュー、やっと読むことが出来ました!
お知らせを下さっていたのに、返信が大変遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。<(_ _)>
体調を崩してしまって、なかなかPCに向き合うことができませんでした。
早く読みたいです!待ってます!と、
ことあるごとに連呼して、忙しいセンパイをせっついて、
あれほど楽しみに待っていたレビュー。
あ~~もっと早く読んでいたら、元気が出たのかもしれないのに!
このひ弱さが情けないです…。
特にこのレビューは、今の私にとって何時にもまして心に響きました。
>心が折れそうになったとき、どうしていいかわからない時、僕は小説を読む。
すごくわかります。
私も現実から逃避するように、何かの答えを求めるように、
すがりつくように読むこともあります。
幼い頃から今まで、本はいつもそばにありました。
その時々で本は形を変えて、寄り添うように隣にいてくれました。
なのに、子供のころのように無垢な心で読めなくなってしまっている自分にイラついたり、
いかなる時にも、感動できる心を持ち続けていたいと思いながら、
最近は心配事や雑念に翻弄されて、心で読むことが難しくなってしまっていました。
それでも、読みたい本が目の前にあるワクワク感だけは失ってはいないんですが…。
>小説は何のために書かれるのかと。
>小説は誰のために書かれるのかと。
>世に出た小説は誰のものかと。
この病み上がりの頭で考えてみました。
少しでも心に響くことがあれば、何の疑いもなく自分のために書かれた本だと思い込む私(笑)。
少し俯瞰して読むことも大事なのかもしれませんよね。
列島大寒波、お風邪など召されていませんか?
お仕事お忙しいとは思いますが、お身体を大切に。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。2017/01/15
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「正しい」をテーマに書かれている作品が多かったように感じました。何者を読んで随分経ってしまっていましたが、それでも充分楽しめました。
1つ目の「水曜日の南階段はきれい」と、表題作「何様」が特に好きでした(*^^*) -
もっと「何者」と繋がっていると思っていたが、単に私が忘れてしまっただけかもしれないが、それほど繋がっていなかった。
しかし、たまたま就職活動をテーマにした作品を良く読んでるな。 -
「何者」の登場人物から派生するアナザーストーリー集。あの人の直接の話あり語り手にちょっと関わってくる形式あり。光太郎の好きな人の話「水曜日の南階段はきれい」はきらきらした話だけど、それ以外は若い時に特に苦しむ葛藤が描かれていて「何者」とは違う方向から刺してくる。どうしてもあぶれてしまう自分に苦しむ理香の話「それでは二人組を作ってください」(タイトルがまた怖い!)や、真面目に生きてきたのにやんちゃして更生した人物達に抜かされてしまって落ち込む正美の話「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」はあるあるで胸が痛い。表題作の就職一年目で面接する側になった克弘が仕事に葛藤する話、その視点忘れたら駄目だなと気が引き締まった。「逆算」のサワ先輩、相変わらずイケメンだな。
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「何者」のアナザーストーリー6篇、一気読みしてしまいました。どれも「何者」絡みの登場人物のストーリーだが、それぞれ微妙に手触りの違いを感じた。
一番気になっていたのは一話目『水曜日の南階段はきれい』、光太郎が何故就職先に出版社を希望していたのかの理由が明らかになる。高校時代のキラキラした日々が眩しくて、甘酸っぱさがパ~っと心に広がっていく描写が印象的。この短編は発表が「何者」より先だったのか。
理香と隆良の出会いを描いた『それでは二人組を作ってください』、本作のみ「何者」を読む前に別アンソロジーで既読。そのときから印象的な作品だったけど、「何者」読了後、そして映画を観た後に改めて再読すると、その痛さがハンパない。心の内側を引っ掻かれるようだ。見栄やプライドの高さで動いてしまう大学生女子の心情、何でこんなによくわかるかな朝井さん。
『逆算』(サワ先輩)『きみだけの絶対』(ギンジ)『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)、「何者」絡みの登場人物は脇役のため「何者」感は薄いけど、それぞれに心がざわざわする短編ばかりだった。いや~苦い苦い。
そして最終話『何様』。人事部が舞台、人を選ぶことに逡巡する新入社員の克弘。どこか煮え切らない、やたら「当事者」に拘る彼の理由が後半明らかになり、もう一度読み返して色々と腑に落ちる。朝井さんの視点の鋭さと構成の巧さに唸らされた。
朝井さんの作品を読むと、自分が無意識のうちに蓋をしていたネガティブな感情がちょっとずつ漏れていくような気持ちになる。その都度軽い自己嫌悪に陥るけど、それでもページを捲る手を止められないのだよな。 -
むしゃくしゃしてやった、がすごく苦しくてよかった。朝井リョウさんの本は見ないふりしてた現実突きつけられて読後苦しくなるし、苦しければ苦しいほどクセになる。
優等生だった自分より問題児で手がかかった妹の方が両親の喜怒哀楽を大きく引き出してることに、どこか違和感と不満を覚える姉。そこから展開して、やっぱり世の中真面目に頑張った人より不良だったり苦労が多かった人の方がちやほや評価されてるんじゃないかって展開していく。わかる。 -
朝井リョウさんは日常の悩みとかモヤモヤとか、言語化しづらいことを表現するのがウマい。読んでいて「あぁ、それそれ…」ってなる
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朝井リョウさん。
エッセイは大好きで読んできてるけれど小説を読むのはこれで3作目?ずっと読みたかったんです!
何様。
やっぱこの人の作風大好きです。
朝井リョウさんは日常に溢れる不満や違和感に敏感なんだろうなと。
それを物語にのせるのがとっても上手。
共感が止まらなかったです。
何様、もそう。
つい数ヶ月前まで御社御社言ってたのに弊社ぶれないよ!と思う私はとても共感できました。
あと、講師として働く女性の話も共感があふれました。
昔ヤンチャしてた人の方が人生ずっと真っ当に生きてきた人より評価されるって。大事なのはその飛躍度と言わんばかりに。
確かにそれもとってもすごいと思うけれど当たり前にずっと真っ直ぐ生きてきた人も評価されるべきですよね。いや、そういうひとは報われることが基本かもしれないけれど中にはこの主人公みたいに思った通りの評価を受けずに悩む人もいるんだよなあと。別に私は誰かを評価する立場では今はないけれど、きっと部下ができたり、子育ての際にこの基盤は大切だと思うから評価の対等性について見直そうと客観的に思いました。
いや、思い返すとほんとに全部よかったな!水曜日の〜は終わりが綺麗だし逆算もよくできた話だし!好きです。
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内容紹介(公式サイトより引用)
生きていくこと、それは、
何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。
光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。
今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。
光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。
収録作品(関連人物)
『水曜日の南階段はきれい』(光太郎)
『それでは二人組を作ってください』(理香、隆良)
『逆算』(サワ先輩)
『きみだけの絶対』(ギンジ)
『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)
『何様』(?!)
ただの前日譚、後日談におさまらない、『何者』以後の発見と考察に満ちた読み応えのある最新作品集。
朝井リョウさんにハマるきっかけになった「何者」のアナザーストーリー。
本当は文庫まで待つつもりだったが、結局我慢できずに購入…
でも全く後悔無し、購入して大正解の本だった(笑)
普段はあまり短編は好きではないのだが、気に入った話が3つ。
まずは「水曜日の南階段はきれい」。
バンドマン、光太郎の話。
青春ど真ん中、終始ニヤニヤしながら読んだ(笑)
なんて甘酸っぱい話なんだろう。
なにせ、最後の「おまけ」にヤラれる。
光太郎にとっても、そして読者にとってもまさに「おまけ」に違いない。
自分もこんな青春時代があればなぁ…
ただ、そこは朝井リョウの作品。
単純な青春ストーリーでは終わらせてくれない。
光太郎の「夢に向かって頑張っている人間と思われたい」感覚、すごく分かるなぁと。
自分は33歳になってしまったけれど、結局今の自分にも答は見えていない。
光太郎と一緒に、もう少し探してみようかな…
「何者」以降で2人はどうなったんだろうか、続きがとても気になる。
次に「それでは二人組を作ってください」。
自分を賢く見せようとする気持ち、人に弱みを見せられない弱さ。
そしてそれが壁になり、結果として人を遠ざけるてしまう感じ、痛い程分かる。
こういうことに、そしてこういう自分に気付かせられてしまうから、朝井リョウさんの作品は困るなぁとつくづく思う。
自分を変えることはなかなか出来ないけれど、同じ感覚・考えを持っている人がいると思えること。
それが、少し気持ちをラクにしてくれることもあるような気がする。
きっとコレを書ける作者も、同じ感覚を持っているに違いない(笑)
ちょっと「何者」の理香のイメージとは少し違ったかもしれない。
そして最後に「何様」。
「100%誠実でなければいけない」という強迫観念的な思想、ものすごく共感できた。
自分も、そう思ってしまい身動きがとれなくなるタイプだ。
「間違ってはいけない」、「正しいことを言わないといけない」という感覚。
それが結果的に自分を制限してしまっている気がする。
君島さんの言葉に少し気が楽になったかな。
それにしても君島さん、なんか憎めない。
なんか好きになっちゃうなぁ、ズルいなぁ…
<印象に残った言葉>
・神谷くんも同じ気がする。(P28、夕子)
・俺は、夢がぎゅうぎゅうづめになっている教室の中で、とにかく一番大きな音を出さなければ、と、必死だった。自分には夢があるって思いたかった。夢に向かって精いっぱい頑張っている人間だって、誰かに思ってもらいたかった。あの人ならミュージシャンになれるかもしれない、そう誰かに思ってもらうことによって、自分のやわらかい、覚悟のない夢を固めていきたかった。夕子さんは違った、ぎゅうぎゅうづめの教室の中で、擦り減ってしまわないよう、摩耗してしまわないよう、外側からの力で形が変わってしまわないよう、両腕でしっかり自分の夢を守ってきた。(P54、光太郎)
・結局私は、自分よりバカだと思う人としか、一緒にいられない。(P102、理香)
・本当か嘘かもわからない情報の渦の中にいると、人間は、とにかく何でもいいから「○○は××だ」とはっきり言い切ってくれる人に惹かれる。それは、就活生も面接官も同じだ。(P212、正美)
・ああいうの、不思議ですよね。昔遊んでた人のほうが、人生分かったような気になるのって。(P229、田名部)
・そして私も、こういうふうに正しくないことを、してみたかったはずだ。栄子や東郷晴香のように、衝動のままにしてしまった正しくないことの上に立ったときだけに見える景色を、見てみたかったはずだ。そんな場所にだけ眠っている何かがあるならば、掘り出して、きれいに洗って、つぶさに観察して、そのうえでそうかこんなものなのかと投げ捨ててやりたかったはずだ。(P249、正美)
・その子の名前は何だっただろう。私はそう思いながら、目の前の男の舌を吸った。(P250)
・あらゆる行動において、これといった動機なんて、ないのだ。もともと当事者でない限り、行動に見合った動機なんて、ない。こちら側に座っている誰だって、きっとそうだ。だけど、面接を受けに来る学生には、切実な動機を求める。当事者としての、切実な、誠実な動機を。胸の奥の、奥の奥の、源泉から湧き上がってきたような理由を、その理由を表現する濃厚な言葉を。(P296・克弘)
・面接してる自分嘘っぽいなーとか何様だよーとか私も思うけどさ、そんな中でも、あ、この学生のこともっとちゃんと見抜かなきゃやばいとか、この学生採用すべきとか、そういうことを本気で思う瞬間みたいなものもちゃんとあるんだよね。その一秒からちょっとずつ拡張していくっていうか。だから、あんたを面接したときの武田さんは、必死に面接官やってたんだよ。あんたがこれから必死に父親をやるみたいに。その中で、あんたを採用したいって、ほんの一秒でも、本気で思ったんだよ。その一秒間が、もともと面接官でもなんでもなかった武田さんが、今みたいな姿になるはじめの一歩だったんじゃないの。あんたもさ、子どもができたって言われて、うれしいって本気で思った一秒くらい、あったでしょ?すぐ不安な気持ちに呑み込まれたのかもしれないけどさ、でも、その一秒だって誠実のうちだと思うよ。(P313、君島) -
短編。6編。「何者」(直木賞受賞作品)のアナザーストーリー集。
バンドにハマるばかりで大学受験勉強がおろそかになってしまうタイプの神谷。夢を追い続ける彼を見つめていた女性。(水曜日の南階段はきれい)
「何者」では面接をされる側だったが、本作で面接をする側に回り、自分に採用面接をする資格などあるのかを自問自答する克弘。(何様)
さらっとした感じで描かれているのだが、鋭い人間観察眼はさすが朝井節といった感じ。「いったい何様なんだよ」とうなずくことも。
一番面白かったのは、最初の「水曜日の南階段はきれい」だった。 -
既視感のある登場人物と設定に首を傾げながら読んでいた。調べてみると、なんと「何者」のアナザーストーリー!「何者」は原作も映画も見たことがあるので、ワクワクしながら読んだ。
ストーリーとても面白かったし、何よりタイトルが秀逸。
自分は何者なのか、そしてこれから何者になっていくのか、ひたすらそれを自らに問う就活がテーマの「何者」
今度は面接官側の立場で、自分は「何様」なんだろうかという気持ち、葛藤が出てくる「何様」。(短編集なので、表題作以外は面接に関係ない話も入ってます)
個人的に好きな章は
〈水曜日の階段はきれい〉
光太郎の、高校時代の恋の話。
ラストシーンの夕子さんの手紙に書かれた、
誰にも言わなかった本当の夢
毎週階段を掃除する理由。
そしてそれを読んで、ミュージシャンを目指している光太郎の、本当の気持ちが露呈する。これらのシーンが本当に、最高だった。
好きだった言葉は
『本当に本当に本当は、自分がミュージシャンになれるなんて思っていない。
大学のサークルでバンドを組んで、ライブして、ちょっとキャーキャー言われて、でも就職は普通にしてーー正直、それで十分だと、心のどこかで思っている。
自分には夢があるって思いたかった。夢に向かって精一杯頑張っている人間だって、誰かに思ってもらいたかった。あの人ならミュージシャンになれるかもしれない、そう誰かに思ってもらうことによって、自分のやわらかい、覚悟のない夢を固めていきたかった。
でも夕子さんは違った。両腕でしっかり自分の夢を守ってきた。』(一部略)
誰にも夢のことを打ち明けず、ずっと胸の中で夢を育ててきた夕子さんがかっこよかったし、光太郎の気持ちがすごくわかるから、読んでいてクゥーーっとなった笑
朝井リョウ、まだまだ読むぞー! -
奇数の人数しかいないのに、
「はい、2人組になってくださーい!」
とか簡単に言える人、に
とても違和感を感じる人。
そんな人にオススメします笑 -
私はたぶん、朝井リョウという作家がとても好きなんだと思う。
紡ぐ物語が好きというのではなくて、
この人が持ってる人に向き合おうっていう覚悟みたいなものがとても好き。
そしてそれを、自分が必要としているときがあると感じる。
朝井リョウが書く人間は本当にフラットに人間で、かっこいいとかかっこ悪いとかもなくて、まるまるその人で、きっとこの小説に書かれていないその人物もまだまだあるんだろうと思う。
朝井リョウが覚悟として持っているのは、自分は人を勇気づけるために本を書いているってことだと私は思う。
その勇気づけを決してきれいごとにはしたくないっていう意思を感じる。
人の色んな所をみて、そんな中にもただひとつでも、信じられるコレはどうかなと差し出されているような気持ち。
主人公たちと同じようなことで悩んだりは決してしていなくても、
その差し出されたものに、確かに私は勇気づけられて、それで少し前に進む。 -
初めての朝井リョウさん。
「何者」のアナザーストーリーとは知らずに読みました。
展開が読めるところや、ん?って思うところや、オチつけたがるなーとか色々思ったけれど、ちゃんと全部読めました。
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少し前に「何者」を読み返しておいて良かった。
まったく別物の本を読む気分になってたと思うから。
「何者」のアナザーストーリーなんだよね、これ。
最後の「何様」だけ、どこに誰が???だったけど今いろいろ検索して納得しました(笑)
最初の「水曜日の南階段はきれい」が好き。 -
階段を掃除する物語は良かった。高校生の純愛を素直に受け入れる事ができる作品。
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短くて軽いけど重い何かを一つ残していく短編集。生き方の本質と偽りを暴いていくような物語だった。正しく生きることを求められ続けたのに、正しいだけではつまらないと言われることへの葛藤、人が人を評価する資格もないのに人を選別していかなければならない人事の悩み等、誠実に生きることに真剣な人の悩みがとても共感できた。本当に困っている人は日々を生き抜くのに必死で、届けたい想いが、届けるべき人に届かないもどかしさからは、筆者の執筆業に対する意義を見つめる謙虚な姿勢が垣間見られる。軸を定め、状況変化に応じ片足だけ動かす、ピポットっていい言葉だな。そして、1秒だけでも誠実さがあれば、それも誠実のうち。その1秒から自分がどうありたいか、どうあるべきかを拡張させていくことに背中を押される言葉に出会えた。
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学生&若手社会人あるある!
分かるなあと思わされる場面が多々ありました。
何者、既読なのですが ずいぶん前に読んだため、全く人物繋がらず…!(悲)
でも、この本だけでも楽しめました。 -
知らずに読んだが短編集だった。「何者」に出てくる登場人物の過去や未来の出来事が出てきたりして、合わせて読むと面白い。
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何様って、米津玄師が主題歌歌ってた映画だぁ。と、思って読んだのですが、それは何者でした。
何者のスピンオフ作品みたいで、なんというか、自分を騙して自分を作っていたり、自分はこうでないとと思っていたけど、それって本当にそうなの?と、言われているような。
自分のことを自分が一番よく知っているはずなのだけど、その自分に、「何様?」と、言いたくなるような、そんな感じを受けました。
それにしても、逆算の最後はびっくり。私、9月16日生まれなので。 -
光太郎の「水曜日の南階段はきれい」
が良かった。
かわいてて
空気が透き通ってて
きーんって寒い感じ。
純粋で何かに向かって一生懸命で
全力って
ただそれだけなんだけど
美しい。
そんな時期って学生特有なのかもしれない。
神谷くんは大丈夫。
頑張ろう、私も頑張るから。
仲良くなってくれてありがとう。
光太郎はこの言葉だけで
一生頑張れるんじゃないかな。
それにしても朝井リョウ
知られたくない、見られたくない感情えぐるのうまいなー。 -
全体的に何者の話とリンクしていて、読んでいて飽きない。特に水曜日の南階段はきれいは素晴らしい。何度も再読したくなるクオリティ。逆算の仕掛けや発送も好き。朝井リョウさんは初めと最後の一文にこだわっていて、伊坂幸太郎っぽさを感じる。
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『何者』のような衝撃はなかったが、短編それぞれに何か胸に引っかかる台詞があり、読んだ後自分のいろいろな気持ちが蘇ってきた。
『それでは二人組を作ってください』はタイトルからして嫌な話になるなと予想していたが、想像したよりキツめの話だった。理香と朋美の会話に恐怖を感じた。理香はだいぶ自意識過剰に描かれているが、合わないグループに所属しているとこういう人間関係のズレって私もあった気がする。えっ、そういうつもりで喋ってたのか、額面通り受け取ってしまってた、みたいな。女子の会話って表向き無意味なくだらないことを話しているように見えて実は高演算機で相手がどれだけイケてるか値踏みしていて、それができない子はおいていかれる。そのことを描いてて怖かった。
『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』は、MR.TANABEというまさかの人物をとりあげて、真面目に生きてきて行き詰まってしまった女性を主人公に描いていた。案外こういう女性は多い気がする。私も、ずっと真面目に生きてきた人より、破茶滅茶に生きて更生した人の方がより評価されることが不思議だった。きっとみんな、怖いもの見たさなんだろうなあ。自分は出来ないし、そういう人生送りたくもないけど、話は聞いてみたいっていう感じ。だから私個人としてはずっと真面目に生きてきた人のことを信頼したいけど。
表題作の『何様』。人事って仕事は、確かに大事な仕事だが、いくらでもテキトーにできる仕事のような気がしていた。働いてる時は、あんな数分の面接で何がわかるんだよ、適材適所でちゃんと異動させてるのか、人事って何がわかってるの?といつも思っていた。きっと人事に配属された人もこうやって悩んでるんだろうな。みんな異動した場所でよくわからないなりに"誠実に"仕事してるんだなと思った。 -
「何者」のアナザーストーリー。
6編からなる短編集。
「何者」を読んでいなくても無理なく読み進められるとは思うけれど、読んでいた方が楽しめる1冊。
何者を読んだ後のガツンとくる様な衝撃を期待して手に取ったのだけれど、恥ずかしくなるくらいの鋭いヒリつき感は少なめ。
表題作が良かったなぁ。
大人といわれる年齢になり、親にもなったものの、
自分みたいな勝手な人間が何を偉そうに…
と、ふとした瞬間に思ってしまう。
初めから100パーセントなんてのはムリなのだ。
少しずつ、そうなっていくのだろうな。 -
作者が以前書いた「何者」の登場人物達が出てきたりその登場人物の更なる知り合いが出てきたりという設定に、自分の近くには色んな人がいて色んなことを考えているんだ、という当たり前のことを思い出させるには十分すぎるほどのリアリティを感じた。登場人物それぞれが自分の中に気にしている思いを抱えていて、それと物語がつながっていく流れは同じなんだけれど、決して無事に着地しないような終わり方に、物語は終わっても今もどこかで登場人物たちが続きを生きているような感じを与えてくれて親近感のような不思議な感情が残った。
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『何者』はだいぶ前に読んだから、あんまり覚えないけど、1つの短編の気持ちで読みました。
人間の中にある書きにくいモヤモヤを表現するのか上手だと感じました。個人的にはすごく様々なシーンで心に刺さったと思います。
特に印象に残ってるのは、『きみだけの絶対』かな。
多分この本を読んでも感じ方はそれぞれの価値観によって違うということを、本を読んで感じさせられました。
私にとって拾っちゃった言葉の多かった、好きな一冊。そんな感じ。 -
何者のことはすっかり忘れてしまったので、
まっさらな気持ちで。
ちょうどやってしまったと思うことがある今、
とくに表題作は読んでて辛かった。
前半3作は何かで読んだことがあり再読。
水曜日の南階段はきれい
この話はかなり好き。夢って。夢とは。