- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103331810
作品紹介・あらすじ
先生、エクスタシーの瞬間、脳は何を感じているんですか?作家が人気の脳研究者を徹底尋問。限界ギリギリ、超アダルトな男と女の脳科学。
感想・レビュー・書評
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作家の中村うさぎさんとの対談形式で書かれていてわかりやすくて読みやすかったです。それにしても脳の研究がここまで進んでいるとはびっくりしました。最後の 『神』 のくだりはなかなか興味深いものがありました。
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脳の興味深い話あれこれ。
後半二人のDNA鑑定結果を元に話が進むが、驚くような事までわかるようだ。100万箇所調べてくれるそう。病気のかかりやすさのみならず、足が速いかどうか、創造性があるかどうかまで分かるなんて。母方、父方のルーツも分かるらしく、うさぎさんの母方は南米とか。
ほんとに究極の個人情報。
あけすけな会話だからこその深度がある。 -
この本は、グループのメンバーが異動するときに贈った3冊のうちの1つ。代官山の蔦谷書店で、どの本を贈ろうかとさんざん悩んだ挙句に決めた一冊だ。・・・で、自分も読みたくなって買ってしまった。(笑)
池谷裕二先生は、本書以外にも沢山の脳科学の本を書いている。最先端のデータや論文をもちいて、分かりやすく書いてくれるので、知的好奇心がむくむくと湧き上がる。
本書は、その池谷先生と中村うさぎの対談本。最高に面白かった。「なんで、中村うさぎ?」と思ってしまうけど、池谷先生はずっと中村うさぎのファンだったらしい。先生曰く、「表面的な娯楽性と哲学的なメンタルトラベルを両立させる”離人症”すれすれのバランス感覚」だと。
一方、中村うさぎだけども、この本を読んで、頭がいい人なんだなと思った。思春期のころからずっと、「私とは何だろう?」という疑問に頭を悩ませてきたらしい。「自分でコントロールできない化け物みたいな自分」に出会ったことは、彼女の著作にも書かれている。だから、彼女は脳科学にも非常な興味を抱いていて、かなり詳しいと思う。そんな二人の対談だからこそ、面白い本に仕上がっている。
本書の構成は4段落構成。最初に池谷先生が全体構成の説明をしてくれているから、わかりやすいと思う。
第1章 無意識の「わたし」
第2章 心身論
第3章 進化と人類
第4章 生命の尊厳
※目次と章タイトルは異なる。章の内容を自分なりに整理。
編集工学とも重なる部分が多々あると思う。しばらく経ったら再読したい。 -
脳みそ関係って、理系っぽいからどうも苦手。この本は池谷・中村両氏の対談形式なので、けっこう気楽に面白く読めた。本当に脳って不思議。そして、俗説にまみれている。というのも、時代時代で研究が進んで、定説が塗り替えられていくにも関わらず、曲解されていたり古い情報のままだったりして、ごちゃごちゃしているからなんだよね。あんまりわかってしまうと、女性のほうが先天的にかしこいってことになってしまうのを避けたい男社会の陰謀だったりして!?
以下は、脳のことに限らず目に留まったことを列記。
○女性は脳梁後部が太いからおしゃべりだとされているが、実際には男女差は見出せない。(p.22)
○竜安寺の石庭は黄金比率(「心」の配置ともいわれる)。人間は追い求めると自然と黄金比率に至ってしまうものかも。(p.54)
○「スキンシップ」は和声英語。今では欧米に逆輸入されている。(p.115)
○いずれにしても、「適者生存」は科学的讒言。人類が後からこしらえた怪しげな理論武装に思えて仕方ありません。理由を後付けして、勝手に自己納得するのは簡単ですが、一種の逃避ですよね。思考停止。進化の経緯については、どんなに正しそうな仮説であっても、その正しさは永遠に証明できないものです。いや、そもそも「進化に意図があるかないか」という問いを立てること自体が、「進化」という巨大な怪物に比して、ちっぽけなヒトの脳による限定的な思考に過ぎないわけです。(p.121)
○どんな哺乳類も一生の心拍総数は15億回。人間は41歳くらいでその数に達する。(p.129)
○顔はパーツそのものより全体のバランスが大事。パーツ一つひとつが美しくても、バランスが悪いと不細工に見えてしまう。「顔立ち」よりも「顔つき」こそが重要。(p.156)
○池谷氏の定義による勘とは「経験によって培われた無意識で自動的な判断力」(p.201)
○平等なルールでゲームをしても、不平等をなくすことはできない。不平等は自然の摂理なんですよね。この数学的に極めて自明な事実を、世間の人々は、意外と知りません。自由主義や平等主義という理想が行き着く先を知らないまま、理念だけを高く掲げるのは滑稽です。(p.228) -
人間の脳はほんとに不思議だ。
ものすごく複雑なことができるのに、実は基本的なシステムを使いまわしてるとか。
遺伝子だけですべてが決まるわけではないようだけど、でも生物は遺伝子が規定してる部分が基礎なんだから、やっぱり遺伝子で決まる、ということは言えると思う。
科学者が真理を追求すればするほど「神」の存在を意識せざるを得なくなるというのはやっぱりあるんだな。
たぶん、人間の存在、ひいては地球の生物の存在は、極めて強い偶然の賜物なのだと思う。ヒトは偶然を嫌がる。それは意味がないように思えてしまうからだが、意味がなくてもいいじゃないかと思う。
不平等な作りの脳を、偶然持ってしまったヒトという生物。それ以上でもそれ以下でもないと思うことは、ある種の救いになる。
そんなところでも「救い」を想定してしまうのも、ヒトの性なのかもしれない。 -
新潮社の「波」に連載されている時から注目していました。
おっもしろいから皆にも「読んでみて!」と声を大にして言いたい。
っていうか、薀蓄ネタとして使ってみたい話ばかりなので、
実は秘密にしておきたい本です。
イヤイヤ
やはりここは知的共有財産として皆さんに広めなくてはいけませんね。
遺伝子の検査受けてアレコレ自分の知られざる一面を見つけてみたいと思いました。 -
●神経倫理学と言う点で脳科学の成果が悪用されないための学問がありますが、そこでもオキシトシンは議論されています。人工的に化学合成することもできるので、慎重に対応していかなくてはならない。
●確かにひらめきは男性の方が得意かもしれません。ただ全く新しいアイディアをひらめくのは女性の方が得意だと言われている。
●アルツハイマーによく効く画期的な薬。治療も予防もできるが承認されるかどうかは別問題。患者数の多さが問題になる。
●この世はベキ則に従っている
●子供の記憶は簡単に操作ができる。虚言癖の人は子供っぽさが抜け切れない人なのかもしれない。赤ちゃんはまだ現実と夢の世界を区別できていないようです。成長に全て区別がつくようになる。
●イメージとしては、出力が結果であると思いがち。出力が原因になって、結果がついてくる。覚えるためには出力をせよ。
●作り笑顔をすると、もうそれだけで、報酬型の活動が変化します。笑うと微笑では、脳の状態が違う。
●現代人は忙しいとよく言われる。50年前の平均的な生活水準の人が、1日どれくらい自由時間を持てていたかと言う調査。1日あたり1時間も自分の時間が持てなかったそうです。それに比べて今の人は3時間弱も自由時間がある。逆に暇になっていた。暇になると人間は何かを考えるものでしょう。だから悩みが増えて鬱になる。 -
先日、続編を先に読んでしまったので、今回は初編を拝読。こちらのほうが、より自由に柔らかい話が多かった印象。純粋に面白かったです。人間の脳が精密である一方、厳密さを緩くした一定程度の「錯誤」が人間の創造性を飛躍させたとか。「サピエンス全史」の「虚構」の議論を思い出しました。
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理系全般苦手だけど、この対談は面白く読めた。
最新の科学を取り入れた場合、どんな社会になっていくのか…ということも語っていて、楽しく読める。 -
最近発売された「脳はみんな病んでいる」の前作にあたる本。こちらのほうがより医学や科学寄りかも。
この本を読んで「人間って人間が考えているより動物だ」ってことを強く感じた。
進化論について語っているときの「進化における敵者生存は証拠がない。結果論。」という意見に共感した。これまでも、「進化論最強!正義!」みたいな扱いに、なんとなく納得がいかなかったので。
『神とは「科学ではわからないナニか」のこと。だから神を科学で解明しようとする試みは科学的に矛盾している。』という箇所は、宗教について興味をもっている自分にとっては衝撃的だった。でもわからないから知りたいんだよね。
中村うさぎ氏の著作をもっと読んでみたいとも思った。