エロスでよみとく万葉集 えろまん

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  • 新潮社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103350934

作品紹介・あらすじ

ナンパする天皇に、パンツを脱ぐ乙女?! 万葉集はこんなにエロ面白かった! 「君、センスいいね。俺、天皇」といきなりナンパしたり、「彼氏が来るからパンツ脱いで待ってよう♪」って赤裸々過ぎたり、単身赴任先で愛人に入れあげてたら本妻が乗り込んできたり! 新元号「令和」の出典として大注目の『万葉集』は、現代のツイッターも真っ青、エロ面白い歌のオンパレードだった! 衝撃の古典超訳。

感想・レビュー・書評

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    https://www.dailyshincho.jp/article/2022/01081058/?all=1&page=1

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    大塚ひかり 『エロスでよみとく万葉集 えろまん』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/335093/

  •  タイトルのポップさとは裏腹に古代日本人と現代日本人の繋がりを感じられる味わい深い一冊でした。
     今から1300年近く前の人々も浮気を心配したりメンヘラになったりBLの人もいたり…と現代との親近感が湧きました。当時の人々がその気持ちを周囲の自然に投影しているのは雅に感じ、その背景にある政治や風俗などの当時の息遣いのようなものを見られたのは良かったです。
     貴賤問わず人々が恋を患い、それにめいめいの方法で向き合っているのがよく感じられました。

  • タイトルにひかれ手に取った一冊。古典を味わい尽くす十分な知識を持っているわけではないのですが、「エロ」から万葉集を読み解くというコンセプトに惹かれました。
    確かにエロい要素が詰まった歌がたくさんあるのですね。また多くの歌が掲載されていることの効用として、古典における語句の使い方で頻出するケースがあることがわかり、学生時代にこういった数をこなす勉強をしていれば古典に対する成績ももう少し違ったものになったのではないかと思いました。また万葉集の時代には「ひらがな」が存在しておらずすべて(音を当てた)漢字で表記されていたんですね、これも学校の教科書を読むだけではわからなかった発見です(もしかしたら習っていたかもしれませんが…)。
    それにしてもそれぞれの歌を読んで想うのは、現代との生活環境の違いからくる男女間のコミュニケーションのあり方についてです。携帯やスマホはなく、お互いの住まいを訪れるため移動するにしても効率的な交通手段もない時代、ちょっとした意志疎通にもそれは相当な時間、というか日数を要したわけです。それゆえ「逢う」ということ自体がもつ意味が現代とはまったく違っていたのでしょう。また自然光を中心とした暮らしですから、「夜」の暗さが現代とは段違いなはず、当然エロな営みにおいても”暗さ”が支配するなかでのことだったでしょう。
    そう考えるとこの時代にあっては現代より格段な想像力が育まれ、またそれを駆使した生活が営まれていたのではないか、そんなふうに想えるのです。

  • ツィッター感覚の短歌。

    その場の即興性、想いを「ほの隠す」美学。

    酔った席でみんなで詠み合う。

    今にも通じる芸能。

  •  万葉集の歌のなかでも”エロス”を詠んだ歌に光をあて、思い切った現代語訳により、当時の日本人の恋愛感や性に対するモラルについて、楽しく解説してくれる本。

     天皇や貴人から名もなき庶民まで多くの人が詠んだ歌の内容を知ると、現代の常識から見てかなり性に対する意識・嗜好が違うこともあれば、現代に通じるものもあることがわかった。
     下着を交換する習慣や、人妻ブーム、「俺のヨメ」発言、BL歌など、著者の現代語訳によって生き生きとよみがえる当時の世相や人々の感情は、読んでいて微笑ましい。

    「それで改めて感じるのは、当時の歌がまるでツイッターのつぶやきのようにカジュアルで身近なことだ。約四千五百首中二千首近くが作者未詳であるのも匿名性の高いSNSに似ている。敷居が低いのだ。後世であれば、決して歌にされないようなゴシップや軽口がうたわれている。それでいながら、後世の雅びな歌につながる美しい音や光景もうたわれている。」(P.182)

     授業で習った知識でとどまっていた日本最古の和歌集に、あらためて興味がわいた。

  • へー……と思いつつサクサク読めました。日本人のルーツっていうけどなるほどね……普通に使ってる比喩とか、ここからだったのか~みたいな。

  • 籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ しきなべて 我こそいませ 我こそば 告らめ 家をも名をも

    その籠、ナイスだね。スコップもセンス抜群だね。超おしゃれな籠とスコップ持って、この岡で若菜を摘んでるそこの君、家はどこ? 名前を教えて。見てごらん、視界の限り、大和は俺が治める国さ。隅から隅まで俺の息がかかっているんだぜ。俺こそ教えてやるよ、家も名前もね。
    (巻第一・一)雄略天皇

  • 毎度ながら、作者のツッコミが楽しい。
    万葉集には恋の喜び、性の謳歌が詠まれている、という主旨の本。それほど専門的ではないし軽く読めるけど、題名が強烈なせいか、しばらく図書館に入らなかった……

  • もっと生々しい恋愛の感情や性愛に関する表現が盛り込まれているかと思った。落ち着いてパラパラと読み返すとそこそこのものは書き込まれているようにも思った。本のタイトルから期待が大きすぎたのかもしれない。

  • いい意味で、古典文学と呼ばれるものの敷居の低さを感じられる1冊。

    常々「日本の定型詩とSNSは通ずるおもしろみがあるのでは」と思っており、個人的に
     短歌→Twitter(お気持ちが重視される)
     俳句→Instagram(写真のように情景を切り取る)
     川柳→2chなど掲示板(棘とユーモアが滲む)
    という印象を持っていた。

    本作を読んで、万葉集の和歌にもTwitter的要素が色濃く感じられるとことに驚き、とても面白かった。
    あとがきで「約4500首中2000首近くが作者未詳であるのも匿名性の高いSNSに似ている」と書かれており、そういう要因もあるのかと納得。

    テーマが「エロ」というのもあり、勅撰の和歌集とは違う、ある種の俗っぽさ・生っぽさ楽しむことができた。

    最後に気に入った歌を引用

    このころの 我が恋力 記し集め 功に申さば 五冠の位
    (巻第十六・三八五八)

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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