絡新婦の糸:警視庁サイバー犯罪対策課

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103370130

作品紹介・あらすじ

凶器は140字、共犯者は十数万人。SNS×社会派ミステリ! ネット界最恐の情報通<市民調査室>。芸能人の醜聞、政財界の不祥事など、様々な暴露ネタで、物議を醸していた。しかし、ネットの炎上が現実に飛び火して、人命に関わる事態に発展する。サイバー犯罪対策課の延藤は、執念深く捜査を進め、特定寸前まで追い詰めるのだが――明日は我が身、体中が粟立つSNSサスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • SNSで絶対な支持を集める謎のインフルエンサー〈市民調査室〉がフェイクニュースを流し、コロナ禍で苦戦中の老舗旅館に致命的なダメージを与えた。狂信的フォロワーが悪評を瞬く間に拡散させ、予約のキャンセルや株価暴落、銀行の資金引き上げ等を引き起こしたのだ。旅館の女将夫婦は自殺してしまう。自責の念に駆られた警視庁サイバーセキュリティ対策課の延藤は、犯人検挙に執念を燃やすが、自分もフェイク動画で攻撃を受けてしまう。

    ネット上で政治家や芸能人等のスキャンダルを煽り、正義の鉄槌を下す昨今の風潮がリアルに描かれていて怖い。オチはあっさりしすぎていてちょっと物足りなかったかな。

  • 的確な回答、紳士的な態度、正確な情報で信頼される、インフルエンサー〈市民調査室〉。
    しかし、次第にデマを流すようになり……。

    巧妙に風評被害を発生させる〈市民調査室〉と、その発言を鵜吞みにし、攻撃を加速させていくフォロワーたち。
    元ネタも実際に起きた出来事たちで、ネットの炎上ぶりが「あるある」でリアル。

    テンポもよく、おもしろかった。

  • 身近なテーマと読みやすい文章でページをめくる手が止まらずあっという間に読了。
    AIが進化し、フェイクニュースもどんどん巧妙になっていくから、迂闊に拡散などしないようにしなければ。主人公の融通のきかなさに逆に好感がもてた。

  • SNS時代に一石を投じる、といったような作品。
    ミステリ慣れしている人には、犯人は秒で分かると思うけれども、炎上、フェイクニュース、コラ画像などなど、現代のネット社会が抱える問題を盛り込んでいるあたりは良かったなーという感じ。

  • 昨今問題となっているSNSを巡る事件。

    インフルエンサーはもとより、便乗する人たちの気が知れない。自分や他人を盲信できる人、盲信したい人の狂気にゾッとする。理由があれば他人に石をぶつけてもいいと思えることにも同意しがたい。当事者ですらないのに。(当事者ならいいとも思わないけれども、まだ理解はできる。)

    別シリーズだが、某弁護士には彼らのような人たちへの損害賠償請求を頑張ってもらいたい。

    途中、宮藤刑事や葛城刑事の名前もチラ見えして、ちょっとにやける。

  • SNSの恐ろしさを再認識する。

    アカウント名は『市民調査室』。
    その発言は多くの人に影響を与え彼を教祖の様に崇める輩が続出。
    正論の中にフェイクを交え、ネットの海を巧みに泳ぐさまに胡散臭さしか感じない。

    デマはフォロワーが拡散する事で事実にすり替わり、何の罪もない人達が追い詰められていく。

    サイバー犯罪対策課の延藤と共に、なかなかボロを出さない『市民調査室』なる人物を追い続けた。

    匿名性を盾にしたSNSの誹謗中傷の数々。
    言葉は使い方次第で凶器へ変わる。

    顔が見えなくても向こう側に同じ人間が存在する事を忘れてはいけない。

  • SNSでのフェイクニュースって本当に怖い。
    個人情報も特定されて様々な嫌がらせも止まらないし、自分だったら気が狂いそう…

  • 見ず知らずの匿名の他人によるSNSでのバッシングや風評被害で自ら死を選ばなければならなくなるなんて、悔しくて、悔しくて、死んでも死に切れないだろうな…。

    身近で、便利なネットだけど、本当に怖いよ。

  • ミステリー仕立てで、SNSのネガティブな部分を描く。
    ミステリーとしての評価は分からないけど、SNSあるあるで一気読み。SNSとうまく付き合えるようになるには、あと何年かかるのだろう。何年か後に、この作品が「何書いてんだ?」と読者から思われるといいけど。

  • SNSによってデマを拡散され、自殺に追い込まれた高級旅館の夫婦。ほんの些細な気持ちでフェイクニュースを拡散するモラルの低さにゾッとしました。
    罪の意識なんて殆どなくて、それを正義だと言う。誰もがなりうるその手軽に広めてしまうネットのあり方が怖かったです。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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