消えない月

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 593
感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103394822

作品紹介・あらすじ

どうすれば、気持ちが伝わるのだろう? 出会ったことは、運命だったのか? この感情は、恋なのか、ストーカーなのか――。なぜ、さくらは、僕から離れようとするのだろう。どうして、松原さんは、別れてくれないの。婚約までした二人の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない――。緊張感に満ちた文体で、加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」を描いた価値観を揺さぶる衝撃作。本から顔を上げた時、あなたは「愛」を信じられなくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 悲しいよ
    仕事も失って、誰にどう思われようと構わなくなった加害者は無敵だから、執念さえあれば、家族や友人を尾行してどこにいようとも必ず被害者にたどり着いてしまう。
    諏訪湖の近くにあのまま隠れ住んでれば大丈夫だったのか?
    海外に逃げる?
    家族とは縁を切って会わないようにする?
    なんで一人の異常者のために、被害者の人生がそんな台無しにならなきゃならんのか?金も時間もかかる、心もすり減る。

    どちらか死ぬまで終わらないと感じる。
    被害者の方の死は絶対にあってはならないのに…

    家族や友人、恋人があんなに大切に思って、
    みんなでこれからまた少しずつ前を向いて生きていこうっていうときに
    あんな結末を迎えさせられたさくらが悲しいしやるせない。

  • ストーカーの被害者と加害者の視点で展開していく。ただただ怖い。被害者女性ももっとはっきりガツンと言ってやればいいのにと思うけど、そんなの相手の思い込みの前では無力なんだとすれば恐怖以外の何物でもない。ストーカーの描き方がリアルで恐怖しかない。

  • いや、怖すぎだろ、、、ストーカー。

    加害者と被害者、ふたつの視点から書かれていて
    臨場感があり 一気に読んでしまいました。

    加害者サイドに共感は全く出来なかったけど、
    彼の背景にも性格が歪む原因があったのかもしれないと思うと、虚しい感情に襲われました。

    せめて自分は、他人にネガティブな感情を植え付ける言動に自覚的でありたいし、出来るならそういう言動を減らしていきたい。切実に思わされました。

  • 怖いけど先が気になっていっきに読みました。
    全く話が通じない感じがとても恐い。

  • 今まで何度もストーカーに関する事件などを目にしてきたが、被害者加害者の両者の視点から語られるものを初めて読んで戦慄した。
    それだけ衝撃的でのめり込んでしまう一冊だった。
    加害者の持つ歪んだあまりにも一方的な思考回路は理解に苦しむが、誰しも何か些細なきっかけでもあれば一線を越えてしまうことがあるかもしれない。
    自分の思考や行動が「正しい」のだと、決めつけ信じてしまえば、
    必然的に相手が間違っていることになってしまう。
    「愛」があれば何をしても許されるものではないということ、相手には相手の生活や人生があり、感情もそれぞれが持っているものだということ。
    恋愛において、一方的に別れを告げられることは悲しいし苦しいことだけれど、話し合いがもう出来ないのであれば尊重してあげることしか道はないのではないだろうか。
    現在の法律や警察によるストーカー対策の遅れや当事者に対する対応に関して憤りを感じると共に、一日でも早く整備改善されることを願うばかり。

  • 怖すぎたので星2にしてしまった。
    ストーカー本人の、心の歪みが尋常じゃなかった。
    主人公の優しさや気遣いがストーカー本人にはが曖昧さに変わっていき、歪みが加速していく様子が怖かった。
    警察は動いてくれない、とニュースでも耳にするけれど、被害者と加害者目線で書かれた本書を読んでいく限り、具体的にこういうことなのかと感じた。
    こういうった歪んだ心を持った人間は、家庭環境の劣悪さで同情の余地を乞う事があるけれど、社会に出てくるなと言いたい。
    そもそもこういう人間は、存在しないでほしい。

  • このようなストーカー被害が現実にも起きていると思うとおそろしい。
    このストーカーはどこでどう育成に失敗して誕生した化け物なのか。
    母親も祖母もまともではなく、こんな風に育ってしまったストーカー野郎がいっそ哀れに思える。ストーカーの加害者視点で語られる物語は珍しいが、1µmも共感できず、さくらが不憫でならない。
    部屋の鍵を替えないことや、一度よりを戻したこと等、さくらの行動にも落ち度はあるように思えるが、ストーカー野郎が逆上する可能性を考えると、こうするよりほかなかったのかもしれない。
    ストーカー野郎に関しては速やかに一人で地獄に落ちてほしいという感想しかない。

  • 読まなきゃよかった。何故この様な作品をかいたのか?何がきっかけで好きだった作家から離れてしまうかわからないが今回は地雷だったかもしれない。

  • さくらの優柔不断さにはかなりイライラしたものの、正しい対策しているときもあり、逃げても逃げても、ついてくる消えない月のようにずっと見られているのが怖かった。

  • ゾクゾクした。
    同じ事柄でも人によって、捉え方が違う。そして、自分の「常識」は相手にとっての「常識」ではない…そんなことを改めて。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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