永遠とは違う一日

著者 :
  • 新潮社
3.08
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本棚登録 : 182
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103399315

作品紹介・あらすじ

ずっと続かなくていい、この一瞬がありさえすれば――。絶賛を浴びた文芸誌デビュー作! 恋に仕事に、ふと立ち止まりそうになるあなたの背中をやわらかく押す連作短篇集。アイドル失格の高校生、スランプの続く画家、キラキラしたくない事務員、腐れ縁に悩むスタイリスト……。トップモデル押切もえが圧倒的な筆力で描く、女性たちの希望と焦り、夢と曲がり角、そしてささやかだけれど確実な奇蹟。

感想・レビュー・書評

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  • 色々な女性たちの希望と挫折、そして続く日常。業界人だからわかる世界の裏側も交えてあってとても面白かったし、それでいて普通の感性も忘れていないので読んでいてとても心地いい文章でした。
    芸能人が書いた本という色眼鏡をかけて読み始めた事は否めなかったけれど、読んでいるうちにそんなことを忘れて読んでいました。読み終わった後で「あ、そうだった」と思うくらいでした。
    ぜひもっと書いて欲しいと思わせてくれる本でした。

  • 恋に仕事にふと立ち止まりそうな女性の心情をそっと掬い上げる連作短篇集。
    永遠じゃない、だけど、大事な1日、を6人の視点から丁寧に描きあげてます。

    インスタなどを見ていても、同じものを見ていて、こんなにも素敵な風景を切り取れるのか、と思うことがよくあります。同じように小説でも、作者の目を通して見た世界は自分の知っているものとは一味違って、それを楽しめることが小説の醍醐味だなとしみじみ感じます。

    押切さんの前向きで優しい視点を存分に楽しめました。
    ただ温かなだけじゃなくて、冬の日差しみたいな、寒さがあるからこそ染み入るものがありますね。
    書かれているのは日常なのに、日常だからこそ、辛いこともあれば嬉しいこともあって、それがそのまま自分の毎日でもあるんですよね。
    ちなみに甘いもの大好きな私からすると、ショコラについての描写も最高でした。

    どの短編もいいですが、「しなくなった指輪と七日間」にささくれた心が癒されました。

    「いつからか、夢を叶えたい一心で自分のことだけを考えるようになっていた。「出てって」と告げる前に、どうしてもっと楽に呼吸をしながら、ともに支えあって歩むことを選べなかったんだろう。」P104

  • 2015年1月号から2016年1月号まで、小説新潮に掲載された作品を収録した連作短編集です。昨年1月号の「抱擁とハンカチーフ」しか把握していなかったのですが、どれも読み応えがあり、いつの間にか引き込まれました。それぞれの登場人物が別の作品に出てくるので、この人はそういう決断をしたんだな、とか、そういう背景があったんだな、と分かり、同じ世界で生きている彼女たちの息づかいも感じられるようでした。ひとつの世界観で紡がれた作品集だからでしょう、各短編のタイトルはすべて「AとB」のように並列され、それをまとめたのが作品タイトルです。永遠ではなくても、今はこれが最善。そう信じる彼女たちは胸を張り、しなやかに生きていくのだろうと思えました。

  • 女子色が濃い小説たち。「バラードと月色のネイル」が良かった。

  • 押切もえ、今まで全く興味なかったけど、こんなに面白い文章書くなんて。

  • 我儘な売れないモデルのマネージャー、仕事に食らい付くスタイリスト、アイドルの娘と離れて暮らす絵画教室を経営する画家の母親、地方アナウンサーの親友らと旅行に行き上手くいかなさに踏み込んでする喧嘩、性同一性障害を隠し歌詞に思いを託すアイドル、降格し新しい夢に向かうアイドル。知らない業界の話は興味深い。

  • 押切もえの小説。
    ストーリーはしっかりしてるものの、面白いかと言われると?

  • 著者は押切もえさん。
    どんなに微笑む著者の写真を見ても、
    華やかな世界とは裏腹に
    私にはどこか寂しげな印象が残る人。
    初読みの作品でした。まぁ、まだ2作品くらいだったかと思いますが、

    同じような表現が続いたりして、
    ちょっと最初は「うーん」となる。

    ストーリーはどれもそれなりに面白いとは思った。
    7BOYSのアキの話がよかったなぁ。こういうのは切ないね。

    でも、新作が出たら読むか、と言われたら
    多分読まないかなぁ。
    彼女の印象と同じでどこか寂しげで薄幸な感じがまとわりつくのが
    しんどかった。

    にしても、同じ副詞が続いたり、わかりにくい表現が続いたり
    素人目にもどうかと思ったけれど、
    あれは狙いなのか、それとも編集者や校閲のミス???

    狙いだったとしたら失敗ですな。
    いや、受賞が伸びしろに与えられたものなら
    上手くできているのかも。

  • いくつかの章ごとが続く話ではなく、それぞれに心に残るコトバが出てきた♬
    自分の状況と重ね合わせると、励まされたり、胸に刺さる感覚だったり、考えさせられた!

    もっとキモチの余裕が出てきたときに、再度読み直したい!

  • 短編集。
    それぞれの登場人物が次の話にチラッと出て来る、私が結構好むパターン(笑)
    芸能界とかそれにまつわる人が題材の話で、スッと入って行きやすい。
    えー本当にこんなことあるのかな?とか
    押切もえが書くんだからこういうことあるんだろうなとか
    そんな邪な気持ちで読んでしまったけども。

    どれも興味深く読めたし悪くなかったけど
    説明が多いかな?説明が長いかな?とちょっと思ったのと
    どれも浅いかなー?という感じはした。

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著者プロフィール

押切もえ(おしきり もえ)
1979年、千葉県生まれのファッションモデル、タレント、小説家。十代の頃から読者モデルとして活動を始め、2001~2007年に『CanCam』、2007~2016年に『AneCan』専属モデルとなる。
2013年、長編小説『浅き夢見し』で小説家デビュー。2016年刊行の第2作『永遠とは違う一日』は第29回山本周五郎賞候補になった。

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