21世紀を信じてみる戯曲集

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 79
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103405160

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  • 「ザ・キャラクター」
    この戯曲がもつコトバをどこまで理解できているだろうか。
    問題は、このマドロミという存在だ。
    私たちははじめ、マドロミとともに「俤」の中の「弟」を探そうと書道教室にするりと入り込む。
    そして、探るために、自分の言葉でこの集団の狂気を増長させていくにつれて、あることを知る。
    弟は、地下鉄サリン事件(そう言い切ろう)の犯人であった、と。
    書道教室に騙されていた、殺された、被害者の家族という立場から、
    結局最後に気がついてみれば自分は加害者の身内であり、
    また、自分さえあの事件を増長させていった人間の一人へ。
    私たちは、間違いなくつきつけられている。
    お前は、まだ目を覚ましたくないのか?
    まだ、それでもまどろんでいる気なのか?
    批判するその言葉、慰めのその言葉一つ、すべてに責任がある。
    「幼い」では許されないのだ。
    幼くてもいーじゃん!な論調に断固としてNOを突きつける。
    勇気のいる話でもあると思う。
    マドロミは私たちだ。
    自分は、あの集団の狂気と、この社会で起きているできごとと、
    それらを傍観しているだけの存在で、まったく関係がない、
    と心のどこかで思っている私たち全てのことだ。
    私たちは、今起きている何事とも無関係ではない。
    一人一人が自分の問題として、引き受ける必要性のあることだらけなのだ。

  • やっぱり野田が好き。

    野田の戯曲を読むと、日本語を改めて好きになる。

著者プロフィール

2018年10月現在
東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授。
劇作家・演出家・役者。

「2018年 『野田秀樹×鎌田浩毅 劇空間を生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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