カーテンコール!

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1032
感想 : 175
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513919

作品紹介・あらすじ

幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだった――。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない!

感想・レビュー・書評

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  • 良くも悪くも、子どもは親の影響を本当に強く受けてしまいます。
    例えそれが所謂毒親の所業でも、子ども自身気づかないままに蝕まれ、身動きが取れない状況に陥っていることもある。
    悲しいことに、親の不出来や不機嫌を、自分のせいだと自らを責めてしまう素直すぎる子もいます。

    自己を抑圧したまま不格好に大人になりかけている少女たちに、柔らかな日差しのような救いの手を差し伸べてくれる角田理事長の愛情深さが心に染みる短編集でした。


  • いつも飄々としている理事長の学生たちへの最後のメッセージに感動して涙が出ました。

    『もう駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接助けてと言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい。』

    『あなた方は未来の自分に対して、きちんと責任を持つべきなのです。未来の自分に、過去の自分が選び、成してきたことを悔やませてはならないのです。』

  • 深い

    精神的に追い詰められたり自分の意見を聞いてもらえないことでそのことが自分にとって大きい時は私も逃げる

    こんな理事長素敵だな

    閉校が決まってる大学で卒業できない人たちを集めた特別補講

    でも集まった人たちにはそれぞれいろんな訳があって

  • 加納朋子さん、久しぶりに読めて嬉しい。

    「未来の自分に対して、きちんと責任をもつべき」
    「未来の自分に、過去の自分が選び、成してきたことを悔やませてはならない」

    本当にそう思う。
    良いスピーチだったなぁ。
    私も日々、できるなら前向きに、後悔のないようにしていたい。
    無駄に思えることも、遠回りも、悪いことばかりじゃない。

    そうか。
    彼女たちにとっては軟禁のようでも、家族も含む、すべてから隔離することがポイントだったんだな。

    いざ逃げる時には、その為の力(体力も含めて)を持ってないと、残しておかないと、逃げるに逃げられないのもそう。
    心身が整ってないと、視野も狭くなりがち。

  • 萌木女学園
    肥育
    フィーダー
    命を守る行動
    ひまわりの花言葉


    卒業単位が足りず、補講を受けるポンコツ女子たちの奮闘記かと思って読み始めたら
    ごめんなさい
    泣くお話でした

    安心できる存在であるはずの家族が
    時に同じ家族の一員を追い詰め
    病ませる
    そんな時は、「逃げるが勝ち」
    逃げる力を育てる
    未来の自分は自分が守る
    そんな理事長の語りに
    じわーっと目に胸に熱いものを感じる作品
    図書館本

  • 『あなたは素晴らしい』

    分かっとるわ!

    はい、加納朋子さん『カーテンコール!』です

    経営難で閉校した女子大を卒業できなかった子たちに与えられた最後の補習授業「カーテンコール」

    それぞれに「ワケあり」な子たちに向き合うハゲ頭の角田理事長の授業が泣かすのよ
    どうしようもなく辛いことからは逃げてもいいんよ!
    ただ逃げるためにはちゃんと逃げられるそこそこ健康な体と逃げ込む先をつくっとかなきゃならんのよって考えに納得

    そして自分が主人公の人生を生きるのだ
    挫けそうなときは魔法の言葉を唱えればいい

    『わたしは素晴らしい』

    分かっとるわ!

    • ひまわりめろんさん
      いや女子大生って乙女じゃないから(問題発言)
      いや女子大生って乙女じゃないから(問題発言)
      2023/10/24
    • 1Q84O1さん
      あーぁ、ひま師匠やっちまったなー!w
      女子大生を敵に回しましたね…
      あーぁ、ひま師匠やっちまったなー!w
      女子大生を敵に回しましたね…
      2023/10/24
    • ひまわりめろんさん
      最初から敵じゃオラァヽ(`Д´#)ノ
      (真実は最初から相手にされてない)
      最初から敵じゃオラァヽ(`Д´#)ノ
      (真実は最初から相手にされてない)
      2023/10/24
  • 多感な時期の女子大生のオムニバス。一人一人が抱える悩みは様々な形で家族から与えられた時限爆弾のような毒だ。それらは長い時間をかけて心を蝕み、人間としての生活を危うくする。そんな状況に置かれてもなお救いの手を差し伸べてくれた角田理事長の器の広さと、物語の終盤にわかる切なさが彼女たちを少しだけ救うことになる。
    まだ若い人生において、未来を見据えて適切な習慣を持つことが心と身体の健康に最も重要であることがわかる内容だった。
    自分も教育に携わる人間として、子どもたちの未来の一助になれるように環境作りをしていきたいと感じた。

  • 経営難で閉校が決まった萌木女学園、敷地は売却されるため、なんとかして全員を卒業させようと、課題のハードルを下げたものの、それでも卒業できない「ワケあり」の女学生が、半年間、学園の尞に閉じ込められ、補講する事となった。
    そこには、普通に暮らす事が、生きることさえ、アップアップしている彼女たちが。
    健康に生きていく力をつけるということは、簡単でいて、実は、結構難しかったりします。
    暗くならず、この難しいテーマに前向きに挑んだ良い小説です。

  • 6編の連作。廃校となる女子大の卒業できなかった最終期生を集めて合宿によって補講する。縛られた生活な中、口に出すほど不満はあるもののアットホームなほのぼのした感じを受ける。人を観察すること、話し接することで他人をそして自分を理解する。単位習得以上の経験ができた幸せな人たちである。2023.9.12

  • いろんな人の人生を覗き見している気持ちになった。

    人それぞれ、色々な事情を抱えている。
    いろんな思いをもっている。

    その気持ちを分かることはできないかもしれないが、知るということはとても大切な気がした。

    何かあった時に「自分は素晴らしい」
    そう思えたら楽になるかもしれない。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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