野火の夜

著者 :
  • 新潮社
3.20
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本棚登録 : 139
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103521921

作品紹介・あらすじ

野火がやってきたら、誰にもなんにも出来ん。次々と見つかる血塗れの五千円札と、一人のジャーナリストの死。フリーの記者・木部美智子は、複雑に絡み合った事件の根を追ううちに、由良半島の村で起こった戦中戦後の悲劇を知ることとなる――。遠い昭和から渇いた現代へ、時を越えて回る火の手は何を炙り出すのか。『蟻の棲み家』に続く「木部美智子シリーズ」最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • フリーのライターである木部美智子が、豪雨災害に見舞われ報じられたニュースの中でジャーナリストの死と次々と見つかる血濡れの旧5000円札の真相を調べるため取材を始める。

    お金の出所を辿ると愛媛の山と海沿いの小さな集落で起こった事件に関係する。
    過去を辿っていくうちに満州での日記の壮絶さが全てを語っているようだった。
    友情とか信頼があってこそ、人は人生に意味を見いだせるのかもしれないが、そこまでの気持ちは過酷な生き死を知らない者だからだろうか。

    少し想像とは違った結末だった。






  • 時代、歴史、土地の因習や人々の思い、
    さまざましがらみが複雑に絡み合った物語。

    複雑に混じり合った幾つもの事件と謎を
    フリーライターの木部美智子が、一つひとつ
    丹念に調べ上げ、紐解いて真実を明らかにする。
    男性色の強い業界で、老若さまざまな癖のある
    人たちから一目置かれる主人公(木部美智子)の
    スーパーウーマンぶりが際立ちます。

    真実を知ることが必ずしも最良ではなく、
    知った過去をどう消化し未来に繋げるかが
    大事なんじゃないかと考えさせられた小説。

    ページ数はそんなに多くないのに、時代描写が
    とても細かいので情報過多で若干話から
    気が削がれてしまいそうになりました。
    その分読み応えは十分ですが、謎の地図に
    辿り着くまでが遠かった。

  • 序盤の「血染めの五千円札」「ジャーナリストの死」という謎に惹かれて手に取ったが、途中から愛媛県由良半島のエピソードや満州のエピソードに切り替わりついて行くのが大変でした。満州のエピソードは壮絶で圧倒されましたが、結局色々な謎を詰め込みすぎてぼやけた感じ。「ジャーナリストの死」や「中古車屋の死」などはなくても成立する扱いだったので、そこの謎に惹かれた者からすれば残念な内容に感じてしまいました。

  • 安治さんの日記がスゴすぎた…

  • ちょっと壮大すぎて途中疲れた。
    時代も100年くらいに跨り、登場人物も多く、戦中の満州の話から原発まで。
    いったい今がいつの時代で何の話なのか、途中、頭がショート。
    最後はきれいに伏線回収して終わり良かったが、読了後の達成感はかなり大きかった。

  • かなり、重厚で複雑なミステリーだった。

    終戦の壮絶な満州での日記は、心に重く感じた。
    偶然にお盆の期間中に読み終わった。
    今年の終戦記念日は78年目。
    戦争の恐ろしさ、人の恐ろしさを痛感した。

    フリーの記者、木部美智子の推理、またまた冴えわたり!

  • 疲れた。壮大な大河ドラマのようで読み応えはあったが…。観念的で難解な文字ばかりが先走る。さらに話のスジと関係ない描写や突然振りかざされる大上段の社会正義に思考が散漫に。「真実を突き止めて公にする記者がヒーローだった時代。ペンによる正義がかっこいいと思われた時代。真実を伝えるという自負があった時代」そんな時代もあったかなぁ。満州のパートは大岡昇平さんの野火も意識したんだろうな。

  • 90大変な力作で登場人物も多くストーリーの組み立てが大変やったと思う。その結果血縁関係が複雑で三世代の100年の物語の全体がわかったのは最後の数ページという結果に。お疲れ様でした。

  • 雑誌の自動販売機などから、血がしみ込んで乾ききった旧五千円札が複数枚発見されたところから物語は始まる。弁護士のところに乗り込んできた、札の持ち主だという男の死や、記者の事故死、さまざまな不自然さを内包しつつ、現在と過去を行き来しながら、のっぴきならないしがらみが、少しずつ解き明かされていく。あまりに絡まり合い過ぎていて、心が重くなる。読後も引きずる物語である。

  • 読み疲れた

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。銀行勤務の後、学習塾を経営。デビュー作『神の手』が、電子書籍で異例の大ヒットを記録して話題となる。2011年、『大絵画展』(光文社)で、第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。

「2023年 『最後の記憶 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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