編めば編むほどわたしはわたしになっていった

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103547815

作品紹介・あらすじ

ずっと息苦しさを感じていた少女が、ニットの世界に居場所を見つけるまで。「書く」ことは「編む」ことと似ている──。学校になじめなかった自分と父との関係、おもしろいことが大好きだった母、人生の道標となった叔父のこと、アルバイト先で出会った夫との恋。傷つきながらも一歩ずつ進み、編みもの作家となった著者。その半生を追ううちに、読者それぞれの「あの頃」が蘇る極上のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃からチマチマと編むのが好き。
    最近は指なし手袋や短めマフラーなど小物ばかり。自己流だから長く編んでいても一向に上手くはならないんですが(涙)
    でも毎年秋になると続々と発行される編み物の新刊はマメにチェックして、編み地のデザインや素敵な配色のセーターを眺めてはうっとり♪
    実は眺めてる時間の方が長いです。

    三國万里子さんは大・大・大好きな作家さん。
    数年前個展に出かけて、編まれたセーターを直に目にすることが出来とてもとても嬉しかった!
    信じられないくらい細かい編み目、素敵なデザイン、配色の妙…。

    このエッセイには編み物のことは最後の方にちょろっと出てくるだけ。子どもの頃や学生時代、20歳代のアルバイトの話、家族のことが中心。でも文章から「あぁこれが三國さんなんだなぁ」と納得させられ、三國さんの制作する編み物に思いを馳せたのでした。

    • メイさん
      こんにちは、koalajさん。
      いつもいいねありがとうございます。

      編み物されるんですね。すごいです。私も母に教わりながらやったんですが、...
      こんにちは、koalajさん。
      いつもいいねありがとうございます。

      編み物されるんですね。すごいです。私も母に教わりながらやったんですが、続かなかったです。
      不器用でこれは私には無理だと思いました。だから、編み物(手芸全般)好きと言う人は尊敬してしまいます。まったく出来ないというわけではないんですけど…。
      2022/11/03
    • koalajさん
      メイさん、こんにちは!
      こちらこそいつも有難うございます♪

      編み物は無心になれるのが好きですねー。
      サイズが大き過ぎた、小さ過ぎた、模様間...
      メイさん、こんにちは!
      こちらこそいつも有難うございます♪

      編み物は無心になれるのが好きですねー。
      サイズが大き過ぎた、小さ過ぎた、模様間違えた…と編んではほどき、を繰り返しているので、なかなか出来上がりませんが(涙)

      編み物しなくても三國さん知らなくても、このエッセイお薦めです。一人の女性の生き方として、読んで良かったと思いました。
      2022/11/03
    • メイさん
      koalajさん、こんばんは。
      お返事ありがとうございます。

      無心になれるのっていいですよね。私だったらなんだろうなと考えたけど、ウォーキ...
      koalajさん、こんばんは。
      お返事ありがとうございます。

      無心になれるのっていいですよね。私だったらなんだろうなと考えたけど、ウォーキングしてる時は無心になってるかもしれないです。

      エッセイ、面白そうですね。探してみます。
      (^ ^)
      2022/11/03
  • ニットデザイナーである三國さんが綴るエッセイ。それは子供時から現在までほぼ半世紀の出来事があっちへいったりこっちへ行ったりと語られる。
    その気ままさがこの本の魅力になっている。人生って、OLDがあってNOWがある。Then&Now。私にとっても、梅新時代、宝塚時代、南港時代、そして今の岸和田時代、単に順につながっているだけではなく、相互に感化されながらつなっがていますな。

    書きたいことを探し、拾いながら、物語の糸をたぐり寄せると、いつの間にか歩いた分の地図がつくられ、しかるべきゴールにたどり着くと・・・私も、ぼちぼち多少記憶のあるうちに書き始めなければと思った次第でございます。

  • ときどき無性にエッセイが読みたくなる。
    こちらは去年から読もう読もうと思っていた、ハンドニットデザイナーの三國さんのエッセイ。

    毛糸を編み上げていくように、三國さんの中に仕舞い込まれていた一つ一つの言葉が丁寧に紡がれていて、読んでいて心地よかった。
    幼少期から成人し、現在のご家族との日常まで、時系列はあちこちに飛ぶけれど、そのゆらぎの中に人生の何気ない一場面が情感を伴い浮かび上がる。
    独特の言葉のセンスがときに面白く、ときにほっこりしつつ、家族との他愛ない会話や大切にしてきた物への愛情がとてもいいなと感じられる一冊だった。

  • ほぼ日のミクニットで、彼女のことを知った

    “編む動物”とご自身のことを言うだけあって、爆音でロックを聴きながら、一心不乱に編む姿は、まさに“編む動物”に見えた

    彼女のエッセイを書き下ろしたこの本
    ニット作家、という側面を持つけど
    その前に1人の人で
    彼女の頭の中にある
    思い出の美しい断面を、すこしずつ並べてる

    初めて作品が売れた時のこと
    やりたいことを見つけて、お金を貯めるために働いた秋田の温泉宿のこと
    家族のこと
    育った新潟のこと
    正体を無くしたバナナのこと
    かたつむりのお姫様のこと
    転校生の匂いをさせていたころのこと
    日記に“おばさんになったら、もっと鈍感になって、生きることが簡単になるかな。でもそうしたら生きてるっていえるかな。そうして鈍感になってまで生きる意味なんて、あるかな”って書いてたこと

    私はひとりっ子で、中学生の時に担任の先生に
    「ひとりっ子、というだけで病気みたいなもんです」
    と、言われた。いまだにこの先生の名前を覚えてる。その時には、あんまりわからなかったけど、世間一般で言うところの、わがままであるとか、甘やかされて育っているとか、そういうことが人格形成の中で“良くないこと”とされていたんだろう。

    もちろん、人見知りだし、どうやって同世代の人と仲良くなるのかもよくわからなかった。1人で遊ぶのは楽しいし、1人の方が楽だと思ってた。誰かといると、疲れちゃうなーって思ってた。

    万里子さんの視点から見えてる、子供時代にも同じような孤独と安心を感じる。万里子さんには食べ物に対する記憶力がものすごい妹さんがいるんだけど。

    子供の時って、こうやって自分の中をいろんな事で満たしてて、知らないことが少しずつ減っていって、世界と馴染んでいくんだろう

    一番好きなのは

    “佐藤くんとクラブのダンスフロアの向こうに映る映画「グラン・ブルー」を見るともなしに見ていた。目の前がふいに暗くなる

    「どうしたの?」彼が腕を伸ばして、私の目を手のひらで覆っていた

    「これからこの人死んじゃうよ。怖いから見ない方がいい」

    言われるがままに30秒ほど、彼が作ったふわふわとあたたかい暗闇の中にとどまった”

    このシーンをこうやって覚えていること

  • なかしましほさんとの共著で知っていたけれど、ラジオ「飛ぶ教室」に出演されていて、ほっこりした雰囲気と高橋源一郎さんの感想から、興味を持って。

    子どもの頃の記憶を、鮮やかに描いていて、著者はいろいろな時代にまだ住んでるかのようだった。

    装丁のお人形さんは、ロシアの作家さん。この本にぴったりな装い!

  • 一番初めに書かれていたのが喫煙の話で、一気に印象が…
    そして書いてることも興味が持てなかった…
    もともとこの方を好きな人ならおもしろいのかも?

  • ニットの図案と同じくとても繊細な方で、小さい頃から色々悩まれながら生きてこられたという三國さんの人生を、正直な力の程良く抜けた自然体なお話と、何より巧すぎる文章力で引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。
    同世代だからか私の子どもの頃の出来事にも重ね合わせて住んでいるところは違うけどあの頃の思い出が私にも蘇ってきた。
    三國万里子さんはお菓子作りのなかしましほさんの実姉であり、いやもうなんて多才な姉妹なんだろう。それぞれの世界を持っててそれを作り出して世に出せてる。すごい。

    三國さんの図案は初級者の私にはまだまだ難しすぎて小物しか作れないけど、いつかセーターやショールが編めたらいいなと思う。

  • ニット作家の著者が、自分のこれまでを語る。
    決して裕福な家庭では無かったといい転校も多かった幼少期や、東京の大学での生活や卒業後のフリーターのような生活などなど、ステキなニットのバックには、こんな来し方があったんだ!

  • とてもぜいたくな読書体験だった。言葉の選び方が、ちゃんと自分で経験して腑に落ちたから使っている、という感じで信頼できる。今後も本業だけでなく、文筆業もつづけてほしい。

  • すごく素敵な本だった。
    作家なのかな、と思うくらい、文章も上手です。

    最初の「三國さん」の話が一番好き。

    他に印象に残ったのは、風邪くらいでは病院に行かないタイプらしかったけど、息子さんがインフルエンザにかかり、一週間も入院して(そんなことあるんだ…)、その時までゲーム機を与えなかったことが、子どもに負担になっていたのでは…と反省するところ。

    パテック・フィリップのアンティーク腕時計の写真も素敵だったし、花見に寿司を持っていくのも真似したいと思いました。


    妹のなかしましほさんのエピソードも出てきて、なかしましほさんファンにもオススメ。


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著者プロフィール

ニットデザイナー。書籍やキットでの作品発表で活躍する一方、プロダクトデザイン、ヴィンテージの洋服や雑貨のバイイング、スタイリング、エッセーの連載なども手がける。気仙沼ニッティングデザイナー。
著書に『編みものこもの』、『編みものワードローブ』、『きょうの編みもの』、『冬の日の編みもの』、『編みものともだち』、『アラン、ロンドン、フェアアイル 編みもの修学旅行』(以上文化出版局)、『うれしいセーター』、『I PLAY KNIT.』(以上ほぼ日ブックス)がある。

「2020年 『ミクニッツ 大物編+小物編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三國万里子の作品

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