晴子情歌 上

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103784029

感想・レビュー・書評

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  • 高村薫さんの小説に合田雄一郎シリーズというのがあるが、それと「福澤彰之シリーズ」が交差する。

    この小説、今までの高村ものと全然毛色が違うんですな。第一、事件が起こらない。人間の内面に深く切り込む新境地、というように説明されているが、確かにそういう野心が感じられる。

    「晴子」というのは母である。
    「母と息子は本質的にわかり合えるのか?」 それがテーマのように思われる。

    息子彰之は、大学を出てから遠洋漁船に乗り込んでスケソウダラとかを獲っている。
    息子に、晴子は長い長い手紙を送る。
    その手紙…青森・野辺地から北海道・初山別などを舞台にした母の少女時代から息子を産む辺りまでの回想と、現在(といっても昭和五十年頃)の北方の荒れ海を舞台にした息子を取り巻く人物や心象風景とが、交互に描かれる。

    母は鰊漁に湧く北海道や戦争に向かう日本を背景に、一方息子は労働争議や学生運動を背景に(双方の空気感は少し似ている)、それぞれの生を生きる。時に女として、時に男として。

    二人の時空の隔たりは、物語を追うにつれ次第に近づいていく。ラストシーンでクロスするのかと思っていると、二人のラインは微妙にすれ違ったまま終わる。

    母と息子はクロスしない…それが作者が描きたかったポイントらしい。

    作者が描きたかったといえば、そもそも作者の根元的な動機は、母の手紙の舊仮名遣ひや青森弁(南部弁か)を書きまくることにあった気もする。

    なんにせよずっしりと重い作品であった。

  • 感想やらなんやらは下巻にて。
    20120929読了。

  • 旧仮名遣いの部分が戦前の純文学のような雰囲気をかもし出し、すんなりとは読みづらいものです。

  • 太平洋上で漁をする息子へ宛てられた母の手紙と、それを受け取り記憶するほど読んだ息子の現在が交錯する。
    母の少女時代から女性になるまでの上巻はまだ長い導入部といった感じか。
    少しずつ母の過去が明らかになり、息子の気持ちも自身の記憶と重なりつつ揺れ始める。

  • 難しい…

  • 難しい。

  • 学校でパクリました。まだパラ読みしかしてません。

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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