- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103858027
作品紹介・あらすじ
なんだか変!いったい何が起きてるの?大好きな和おばさんは、愛娘を亡くして大きなショックを受けているはず、だからあたしが力づけなくちゃ。でも、それにしても。-何かがおかしい。澪湖は、その謎を探り始める。失われた記憶と、関係のなかで醸成され増幅される呪詛…著者ならではの軽妙な文体でつづる濃密な物語。
感想・レビュー・書評
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あーっ、この本人にしか分からない悲しみはいったい何なんだ!
現実にはないような新たな悲しみを、わざわざ作り出すようなことする、SFって、いったい何なんだと思ったものの・・・。
でも、これってある意味、いつ終わるか分からない人生を大切に生きていこうという、メッセージもきっとあるんだよね。
私はそう信じたい。
『いっそ泣いてくれればよかったのに』
真実を知ることによって、上記の言葉がいかに想定内のことのみでしか考えていないのかということ、プロローグを最後にもう一度読むことで、その印象が大きく変わること、そして、タイトルには二重の思いが潜まれていて、表紙の絵も改めて眺めると、その深みがよく分かる本書でしたが、新井さんの口語体の親しみやすい文体に反した、所々の内容の重さとのアンバランスさが、最後まで気になってしまい、やや、まとまりに欠けたかなといった印象でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すんごい久しぶりに新井素子らしい本を読んだ気がする。
でも、ちょっと物足りないかなぁ。
やっぱりと言って良いのか分らないけど、いちばんハマってた時期の作品とは微妙に違う。
私も著者も成長したからかな?!
でも、これからも「新井素子」ってだけで読んでしまうんだろうな(笑) -
本当に久しぶり・・・久しぶりの新井素子さんの長編。
なんで、こんなに間が空いたのかしら?と思ったら、
これを書くのに8年も掛かっていたのね。
産みの苦しみが物凄かったのね。
独特な素子節とでもいいましょうか、クセのある文章。
確かに昔からクセがあったのだけど、
それは こんな風にクドイ感じだったかしら?
私が年を取ってしまったのかもしれないけれど、
凄く読み難かった・・・
題材は物凄く興味深いのだけど、
上手く活かされていないような・・・・
8年もかけずに、3箇月くらいでサラサラッと書けるように
復活してもらいたいです。 -
久々の素子さん。SF的要素はあるんだけど、読み終わってみると母:陽湖さんの主張ばかりが強く残りました。出産・子育てや家族関係における女性の苛立ちや叫び。そこまでため込む前に相手にぶつければいいのに、とも思うのですが。陽湖さんの今後が気になります。ところで、素子さんも今年50歳なんですねぇ……。
(図書館で借りた本) -
不妊治療の末ようやく得た娘の死。気遣う兄、姪。不幸ばかりに遭遇するのに、悲しみに対して強いのは何故?ほんもののおばちゃんなの?
楽しく一気に読めました。ENDINGを読み終わって、そして改めてOPENINGを読み直して、なるほどって。 -
7年ぶりの長編。でも文体も反復して底を流れるテーマも、新井素子は変わらないなぁと思う。変わっていくのは自分の方なのかもなぁと思う。誰もが悪人ではないまでも微妙に勝手で視野が狭くて、ラストは切ないというより心がざわざわした。
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市図書館にて。
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あくまでも筆者が自分の体験を流用してないという前提であれば、この想像力のリアルさはすごい。主観が真に迫っている。窓際のトットちゃん並の主観。
しかし物語の進みが遅い。牛並みに反芻する。最初は感心して読めるのに、一冊終わるまでに陳腐化してしまう。
語順とか句読点とか、色んな人が色んなことを試みているけど、結局きちんとお行儀よく書かれた文体が、一番感動が大きいのではないだろうか。 -
デビュー当時、新井素子ファンだった、そしてこの「素子調」ともいうべき文体が当時どれくらい衝撃的で魅力的だったかを知っている身としてはとても遺憾なことなんだけど・・・ 複数の視点が章ごとに入れ替わる一人称なのに、どの視点人物になっても変わらず「素子調」の文体というのは、それぞれの人物の個性をきちんと表現できていないということなのではないかと感じた。
それに、私は年齢的に「素子調」で語る登場人物に感情移入できなくなっているのか、主人公が持つ「疑問」にどうしても共感することができなくて、その「疑問」が物語の主題になってからは急速に興味を失ってしまった。
読了してみると、設定に関してはなかなか魅力的な要素を秘めていると感じたので、「他の人の書いた文体で読めれば、もっと惹きこまれる作品になっただろうに」と残念に思ってしまった。デビュー当時の素子ファンとしては、そう思えてしまったことが悲しい。