薬指の標本

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013012

感想・レビュー・書評

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  • すごく、曇っててモノクロかセピア色の感じの物語だった。主人公と標本士の関係が本当に変わってて、狂気じみてて、暗いまま終わった。

  • 薬指の標本は甘やか
    六角形の小部屋はもう少し厳しい
    わけがわからないままなのがいいんだろう
    種明かしをしたらそれはもうただのお話になってしまうからね

  • モノに吸われる人間のお話

    『薬指の標本』
    きっとみんな標本になったんだろうな
    靴と足が同化して、靴に連れられて標本になりに行ったんだろうな
    何か標本にしたいものを見つけた時、靴が導くようになっていたんだろうな

    『六角形の小部屋』
    「小部屋の外で、余計なことを語っちゃいけない」
    小部屋がずっと同じ場所にあると、小部屋と同化してしまうのかもしれない

  • 『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の2つの作品が収められていた。どちらの話も不思議な場所が舞台となっている。淡々と話が進むけど、それぞれ抱えた事情は苦しい感情を伴ったものだった。どちらの話にも謎の男性が出てくる。

  • 幻想的な作品を収めた一冊。
    一作目「薬指の標本」
    この作品のキーワードはおそらく「標本」と「靴」。この二つのキーワードはどう組み合わさっているのだろうか?
    吸い付いて離れられなくなる靴は標本とする枷?だとしたらなぜ彼女は薬指だけを標本としようとした?読めば読むほど疑問が重なる。

  • 初めからなんとなくわかっていた結末のようで、ラストを読むと、本当に背筋が凍るくらいゾッとする。不思議な体験でした。

  • 「薬指の標本」と「六角形の小部屋」2編の短編からなる作品。いずれも少しパラノイア的と言うか風変わりと言うか奇妙な読後感が残る作品でした。この作家さんとは「博士の愛した数式」が初めだったので遡っての作品を読むと、初めの頃からどんな風に作風が変わって行ったのか等も興味深い。

  • 『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の
    2編からなる短編集。

    『薬指の標本』
    フランスで映画化となった作品で
    以前から読んでみたいと思っていた。

    いかにもフランス人が好みそうな題材。

    不思議な味わいに満ちているけれど
    所謂、何でも標本にして保管したいコレクターのお話
    趣味と実益を兼ね備えた良い仕事を見つけたな〜と。

    そして青ひげのごとく、
    靴を履いた全裸の女性たちを収集。
    アンティークで美しいレースにふんわりと
    包まれた世界の猟奇的なお話と言えなくもない。

    『六角形の小部屋』
    告解室のような六角形の小部屋を持って
    旅をするミドリさんとユズルの親子。

    六角形の小部屋=カタリコベヤと呼ばれ
    様々な人が、その部屋で一人語る。
    誰も聞いていなし、誰に理解されなくても。

    私の中ではカタリコベヤとカタコンベが一緒になり
    まさに、語られ地に沈む言葉の埋葬地でもある。

    少し歪な救世する人、救世されたい人のお話。

  • 全く前情報なしで読んで、まず情景描写がすごいなと感じた。
    官能的な描写もあり(ちょっと苦手だった)それらが合わさって独特の世界ができている。

    話が進むに連れ、得体の知れないものを見たような気持ち悪さがこみ上げてくるものの、物語自体は現実離れしているわけでもなく、「六角形の小部屋」の方は有り得そうだしあり得て欲しい位に思った。

    「標本室」「語り小部屋」着眼点がものすごく好み。
    何かが起こりそうと予感させてくれる。

  • 私には解らなかった。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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