移民環流: 南米から帰ってくる日系人たち

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104121021

作品紹介・あらすじ

現在、日本に暮らすブラジル人は約30万人。ペルーも加えた南米出身の外国人登録者数は37万人を超え、中国人や在日韓国・朝鮮人に続く三番目のエスニック集団を形成している。彼らの大半が日系人だが、日本人社会との交流はきわめて希薄だ。日本からもブラジル人コミュニティーからも見えない存在になっている彼らの実相は-日本とブラジルの両国で彼らの姿と声を丹念に掬い上げたノンフィクションの労作。

感想・レビュー・書評

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  • 虐待のルポを書いた筆者がブラジル移民について書いたもの。ゴー宣の「新戦争論」でブラジルに行った人が日本の敗戦を信じなかった、というのを知って、ブラジルの日系の人に興味を持った。そもそもどうしてブラジルなんだろう。日本からあまりにも遠いじゃないか。しかし、そんなブラジルの人達がまた日本に来ているそうだ。出稼ぎに。1章、2章まで読んだけど、何か面白くなくてやめる。しかし、1章のソニアも2章のヒカルドも一生懸命働く気はあるのに、うまくいかない。外国人は差別される。島国・日本がやはり外国に慣れてないからだろうか。派遣労働とか、いいように使われて気の毒だ。そういう使い方をしている日本人がいるというのは嫌だ。国に関係なく、良い人も悪い人もいるというのはわかっているけど。それもあって読むのが嫌になったのかも。現実を見たくないというか。

  • [ 内容 ]
    現在、日本に暮らすブラジル人は約30万人。
    ペルーも加えた南米出身の外国人登録者数は37万人を超え、中国人や在日韓国・朝鮮人に続く三番目のエスニック集団を形成している。
    彼らの大半が日系人だが、日本人社会との交流はきわめて希薄だ。
    日本からもブラジル人コミュニティーからも見えない存在になっている彼らの実相は―日本とブラジルの両国で彼らの姿と声を丹念に掬い上げたノンフィクションの労作。

    [ 目次 ]
    第1章 惨劇の裏側
    第2章 日系二世の母と暮らすために来た日本で
    第3章 強盗「容疑者」の故郷を訪ねて
    第4章 デカセギからの帰国者たちの生活
    第5章 百年後の光景
    終章 次世代へ

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 帰宅電車からの一気読み。
    以前児童虐待(ネグレクト)の本を書いていた著者だったので、どういう切り口なのかな?と思いつつ読み進んだ。
    冒頭、いきなりブラジル人コミュニティ内の殺人事件になったケースにはじまり、全体的に事件になったケースを数多く扱う。ネグレクトの方は読んでいないのだが、ある意味「極端」なケースを通して、問題の所在を示していくというスタイルの書き手なのかもしれないと思った。

    しかし、出てくるケースが皆つらい。
    イジメ、不安定な雇用と金銭を通してしか自分の居場所を得られない生活、家族の崩壊。
    「定住」の在留資格が創設されてすでに20数年。なぜここまで,と思わずにいられない。

    単に人種差別であるだけでなく、派遣労働の範囲拡張など、日本社会のネオリベ化がブラジル人の労働環境や生活に大きな影響を与えた,と言う点で、彼らが現在の資本主義の犠牲者なのだ、という指摘にはなるほどと思った。
    しかし、同様に派遣労働によって困難な状況にある日本国籍を持つ人たちとの連帯のイメージが浮かばない。ブラジル人コミュニティも、不安定な雇用の中で、助け合うと言うよりも、互いに本音も明かせないほどに孤立した個人の集まりになっているのだという。

    エピローグで,著者自身が(おそらく戦略的に)、自分の子どもが不登校だった時期にこの取材を行い、外国人の子どもたちに対する支援に多くの人手が必要だという事を知り、「日本人」である我が子へのケアをもっと優先してほしいと感じた、しかしその考えが次第に変わっていった、ということを述べている。
    授業でも、外国籍の人が仕事や生活で直面する困難と、必要な支援について話をすると、一定数(2割くらい)は、そうはいっても、自分たちだって就職が不安だし、外国人に配慮することで日本人である自分たちが割りを食うのは納得がいかない、というコメントが来る。それに対して、どう答えていけるのか、が自分にとっての課題だと感じた。

  • 静岡県焼津市の水産加工業も人手不足。
    日本にいる在日ブラジル人たちはお互い協力し合わないらしい。いつ自分のクビを切られるかわからないから、自分の雇用確保が重要らしい。だからコミュニティが生まれにくいらしい。日本社会も世知辛いな。。
    犯罪を犯す日系ブラジルの少年も多い。1990年代から法律が改正されて日系ブラジル人が出稼ぎとして日本に来た。
    学校に行っていない在日ブラジル人も2-3割いるらしい。
    2008年9月現在、日本にはブラジル人学校が101校あるが、ブラジル政府の認可を持つ学校は半分。しかも認可されているからと言って、支援金をもらっているわけではない。

  • ■移民労働者問題を深く考えさせる
     今後日本は、総人口が減少し続け、高齢化がさらに進行し、そして生産年齢人口の大幅減少を迎えることになる。この生産年齢人口を補うための一つの方策として、各方面で考えられているのが、既に行われている外国人移民労働者のさらなる受け入れだ。

     本書では、主に1990年代から2000年代にかけて日本で労働従事した日系ブラジル人家族のその後を追っている。貧困、犯罪、一家離散。その内容は正直言って悲惨なものが多い。原因は流入労働者たちの無知さも勿論あるが、受け入れ側の企業・行政・地域社会の無作為、無関心も見逃せない。日本を愛しながらも、暮らしのためにブラジルに出稼ぎに出、数々の苦労を経験してきた日系人たち。その末裔たちが、状況は異なるが祖先と同じように日本での居場所をなくしていく様子は読んでいて辛い。彼らに感情移入してしまうのは、同じ日本人の血が流れているということも理由の一つかもしれない。

     多くの箇所で、日系ブラジル人の子供たちについて触れられているが、解決への第一歩は教育サポートに違いない。入国させるからには、日本で暮らしていくことがいかなることか理解させる必要がある。本書によれば、2005年にはやっと、国も重い腰を上げ、外国人の受け入れと社会統合、そして「共生」のために取り組み始めたという。移民労働者の問題を通して、「海外に向けての国際化」だけでなく、「国内での国際化」に向けて、自分に何ができるのかを深く考えさせる一冊である。

  • 新聞書評

  • 日本社会の底辺に組み込まれ、はい上がれずにいる人々の姿

  • 実は 家の周りでは 南米からの日系の方は それほど多くなく 圧倒的に 中国からの 人たちが 多いわけですが 似たような 問題は 起きているような気はします。ただ 中国から来ている人たちの場合 もれなく おじいちゃん おばあちゃんが いるわけなので 子どもだけで 置いていかれるのではなく 祖父母と子どもだけで 置いていかれる って感じかも

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