- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104393060
作品紹介・あらすじ
歓楽の灯りが海辺を染める頃、ありえたかもしれない自分を想う。『脊梁山脈』で「戦後」を描き、大佛賞に輝いた著者の「現代」小説。宝石のような時間もあった。窮屈な現実にも追われた。まだ思い出に生きる齢でもないが、やり直せないところまで来てしまったのか。房総半島の街で自己を見失いかけ、時に夢を見、あがく、元海女、落魄したジャズピアニスト、旅行者、女性郵便配達人、異国の女……「これぞ短篇」「珠玉」としか言いようのない滋味あふれる13篇。
感想・レビュー・書評
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短編小説13篇、心地良く進む物語がどれも文量の程が良い。
なかなか馴染めないと言うものがいくつかはあるものだが、この短編集はどれもそんな人達が…と心に染みを作っていくようだった。
最初のインザ・ムーンライトは、引退した海女の話だが「えーそれは墓場まで持ってって!」なんてちょっとイラッとしたものだから筆者の勝ちだわね。
どれも房総の海にまつわるお話しだけど、自分を律して行けそうだと感じるものが多く、次のお話を読むのが楽しみでならなかった。
病気をした女性の話では、仕切り直して女に戻ってから次を考えらば良いと思えたのも私には学びになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短篇集で読みやすかった。
どの作品も正直で、気取ったところがなくて、すごく良かった。
女性が靭く、男性が最低なところも良い(苦笑)
乙川さんの小説はトーンが好き。
☀︎
乙川作品によく出てくる千葉県の御宿町は幼少から大学生まで頻繁に訪れていた場所で、海の家も手伝っていたし、人も場所も言葉も私にとっては馴染み深く、読んでいて変な気持ちになります。 -
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作者は時代ものから、現代恋愛ものに切り替えたが、私は成功したとは思えない。少し理屈っぽい。
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短編集。大人の男と女のあれこれ。バーでお酒を片手に語られているような、濃密な夜の雰囲気。どんな話だったかすでにほとんど覚えていないけど、読んでいる時は文章が綺麗で引き込まれた。静かな余韻が心地よい。
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ある者は夫のいない時間に「知らずにすんだかもしれない凡庸な人生」を目にし、またある者は「熱く生きて死ぬだけ」という当初の信条が急速にしぼみ、年々小さくなる自らの器を嘆く。「やり直せないところまで生きてしまった」と薄く笑う男や、休日は読書にひたすら没頭することで重たい現実を軽くし、生きている空間を色づかせる女など。房総半島のある小さな街を舞台にした連作で、いずれの短編も、奔放な夢や希望に満ちた足どりが、たそがれには目の前の地面だけを見つめ、その影に年齢以上の歳を感じるような重々しい歩みに変わるようで切ない。
乙川の端正で簡潔な文体は相変わらずで、中には一段落ですべてを了解させる短編もある。「ひとりの失業者となった今も威風にこだわり、見栄を張る男は頼り甲斐のない夫に堕ちてしまったらしい。失った肩書きに代わるものを欲しているとしても、海辺の小さな街にそんなものは落ちていない。あと十年の人生かもしれないというときになって方向感覚を失い、足下を見つめ直すこともしない。そうして干涸らびてゆく男のために女は食事を作り、掃除をし、草取りをし、買物にゆき、隣人に無愛想を詫び、好きでもないロードスターを運転する」たまらないな。
心に残った文をいくつか。「剥き出しのコンクリートは生活音を跳ね返して、かわりに柔和な感情まで冷やしてしまう」「夏がゆき、海の色の深くなるころ、馬渕光一の絵が完成して、宵のアトリエの空気を優しいものにした」「都会の夜の街にはそんな関係がどろどろしていて、痛みを伴う密やかな恋愛や不埒なりに抑制した情といったものはどこかへ追いやられてしまった。そこでは美しい嘘もつけない」「彼らの愉しみは優雅な旅行を語り、進行中の充足を美化することで、未亡人の過去を知ることではなかった。それはすぐに分かった」