- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104509010
作品紹介・あらすじ
言葉がすうっと胸にとどいてくる-窮屈なこころを揺り動かし、うつむいた顔を上げさせ、世界に新鮮な風を吹かせる強さと明るさ。男と女の確かな姿が、前を見据える力を与えてくれる。今、注目の女流詩人登場。
感想・レビュー・書評
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男たちは急いでいた
屋上から言える
ことは
限られていた
雨を雨と名づける前に
永遠に遅れていた
雨がふりやんだとき
樫の樹に
なった氏は みぶるいした
ふりそそぐ水滴が
石英を目覚めさせる
のも
時間の問題だ
山男はまた ふもとからバスにのり
豆を挽きたいとおもう
あの香りをかぎたいとおもう
そのあいだにも
滴る汗が
永遠の遅れと 過去の重みを
千の錐にして あしもとの岩肌に
スプーンで掬ったような
なめらかな穴をあける
かつて木蓮だった女が登ってくる
花の出産を果たしに
ふしくれだった 指をそ
っと
すべりこませた
それが朝焼けを張りめぐらす
鍵穴だとも知らず
滝 しぶく
胞子体が 無数の鈴となり詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冷たい時刻表の
15
そして
25
そのまわりに降り積もる
時間のふかさ -
「棒」
「言葉の溺死」。 -
とても整頓されている、と感じた。
紙は白、書かれた文字は真っ黒より少し柔らかな黒。
トランプみたいに、全部が違うけど、ひとつのものになっている。
この詩集は、食器みたい。
少しひんやりしているし、読むより観るためのものみたい。
ことばでできていて、でも本当は景色でできている。
景色といっても大きな景色ではなくて、山とかもなくて
触れるくらいに近い、ひとりの人の景色でできている。