- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104525034
作品紹介・あらすじ
五十人の老婆が、奇妙なコミュニティを形成する現在の姥捨て山「デンデラ」。ある者は自分を捨てた村を恨み、ある者は生き永らえたことを喜び、ある者は穏やかな死を願う。様々な感情が渦巻く隠れ里は、一匹の巨大羆の襲来により、修羅場と化した。
感想・レビュー・書評
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想像したくもない描写が延々と続く。
どこにも救いはないのに、最後に残るのは奇妙な爽快感。
手放しで★を付ける気にはならないが、凄い小説だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
口減らしのため山に捨てられた老婆たちが作り上げたコミュニティ「デンデラ」。自分たちを捨てた村への復讐を企てるも、村が熊に襲われさらには疫病まで発生。老婆たちはパニックに陥り・・・
というストーリー。メインは熊との戦い(たぶん)。
えぇと、突っ込みどころ満載。とりあえずばぁちゃんたち元気すぎ。基本70歳以上という設定にも関わらず運動能力高くてびっくり。もちろん現代でも元気なお年寄りは多くいらっしゃいますが、口減らしが必要な時代のお年寄りとはとても思えない。そもそも70歳って当時の平均寿命をはるかに超えているのでは・・・。脳内では30~40代でした。
そして物語調の語り口もイマイチだし、喋りもセリフっぽい。さらにキャラの書き分けがほとんどできていないため一部を除き誰が誰だか。ご都合主義な部分も多いし。
ラストの妙に歪んだ爽快感は好き。「デンデラ」自体の設定は面白いんだけどなー。
スプラッタ好きなら読んで損はないですよ。 -
一晩で一気読みしました。
怖かったです。怖いけどやめられない勢いがありました。
口減らしのため、喜んで極楽浄土へ行く、と信じて山に入るカユ。
冷たさに思考も麻痺し気が遠くなり…しかし思いもよらぬ暮らしをすることになる。
これまで自分の考えを持たず、
言われるがままに生まれた村の中で働き、子を生み、年をとり山へ入ったカユが、
「デンデラ」でで暮らし、初めて自分の頭で考えることを知る。
村の中で、本当の意味で『生きて』いなかったことに少しずつ気がついていく様子や心の動きが
熊や伝染病などの出来事と重なりテンポ良く表現されていた。
自ら生きること。ちゃんと生きなければ、ちゃんと死ねない。
自分の意思で行動して生きることで、カユはちゃんと死ぬ勇気と満足を得たのではないだろうか。
壮絶な話だけれど、読後感は悪くない。
映画化間近、どんな風に映像化されるのか楽しみです。 -
積読解消。
今まで読まなかったのを後悔。
面白し。
つーか、発想がいい。
どん詰まりなのに、むちゃくちゃパワフル。
ばばさまたち、すげーよホント。
ただ、地味に精神的ダメージ食らいますが。 -
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羆とヒトが格闘するシ―ンは私の最も好きなもので、さらにこの物語では羆が心情を吐露する面白さ。数多い婆さんたちは、認知症もなくデンデラで活躍している。とても良い。
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姥捨て山に棄てられ、それでも生き抜いた50人以上の女達が秘かに作りあげた共同体・デンデラ。しかしそこに巨大な雌羆が現れ老婆たちは対決を迫られる。
いや~~、こういう話でしたか。まあ、70歳から100歳までの老婆の元気の良い事(苦)。跳び、走り、木槍で熊に立ち向かい。全く有り得ないけど、そこはまあ良いのです。
でも・・・。肉体的な元気さもですが、精神的にも枯れて無い。全ての老婆たちの中にあるのは恨み、妬み、憎しみばかり。生ぬるい愛情などかけらもなく。そうした悪意を吐き出す言葉に読んでいて疲れます。
遠野のデンデラ野に行ったことがあります。この小説の様な山中では無く、遠野盆地の山裾にある何もない野っぱら。陰惨さも無く拓けた所でした。おそらく老人たちが村から離れて自給自足の生活を送った場所なのでしょうね。そういう意味では村田喜代子さんの『蕨野行』のような場所です。自ら姥捨てに赴いた姑と彼女を実の母とも慕う息子の年若い後妻の愛情にあふれる往復書簡。悲惨さの中に靭さや逞しさを、さらに優しささえ見せる絶品の『蕨野行』とは全く異なる話でした。
映画化されたんですね。錚々たるキャストですがあまり評判は良くなく。題材としては面白いけど、映像化するともっと嘘っぽくなるのかもしれません。 -
老婆たちの壮絶な生き死に。
執着、達観、恐怖、逃避などなど
人間の生にまとわりつく様々な要素を
塊にして投げつけられた、ような読後感。 -
設定は抜群に面白い。
陰湿な共同体のルールに、無批判に思考停止したまま生きてきた主人公が、想像だにしなかった異世界に放り込まれることで生じる精神の葛藤…という深い人間ドラマ、心理劇を出だしでは期待させられたのだけれど、底の浅いエンターテイメントに終始してしまったのが極めて残念。
この小説もまた描写が過剰だなあ、と思う。
特に、羆(ひぐま)の主観パートまで設けられているのには辟易で、どうしてこんなに「わかりやすさ」が志向されるのか理解に苦しむ。
主人公・斎藤カユという異分子がデンデラの住民になるやいなや、次から次へと災難が降り注ぐというのも、如何にもご都合主義で。
もちろん、フィクションなんだからご都合主義でも一向に構わないのだれど、そのことを忘れさせるくらいの文学的魅力が伴われていないと興醒めしてしまう。
斎藤カユの造形にしても、『村』で受動的に人生を歩んできたというプロフィールと、そのハードボイルドな言動がまったく親和していない。
疫病騒動に興奮した老婆たちが狂っていく件りの描写などは悪くない。 -
人食い熊が出てくる有名な本ということで読んでみた。姥捨て山に捨てられた老人達が、村人に隠れて住んでる所に人食い熊がやってきて、それに立ち向かう。そんなアホな~と思いつつ、楽しく読めた。